3/16
プロローグ3
視界に広がるのは、崩壊した街だった。
あったはずのビルは、瓦礫となり、木々は燃え盛り、地面は砕け、ガソリンと焦げた匂いが充満している。
その異常と言える光景の中で彼女はいた。
灰髪をたなびかせ、武士にも似た和装を纏う。
手に握られた刀は白熱し、蒸気を上げる。
九本の白い尻尾、右耳の欠けた獣耳。
見た目は、少女なのに、その容姿とは程遠く、周囲の空気を凍結させるほどの殺気を放つ。
彼女の見る先には、7メートルいや8メートルの四肢を壊れた鎖で繋がれた巨大な狼がいた。
「フェンリル……」
そう少女が呟いた瞬間、姿を消した。
次に認識した時、フェンリルの四肢は根元から断ち切られていた。
暴れながらもその巨体が崩れ落ちる。
少女は、フェンリルの背後に立ち、呼吸の一つすら乱れていない。
圧倒的な力量。
その強さに奏は気が高揚する。
だが、終わってない。
フェンリルの断面から液体のようなものが四肢を象り、再生を始めた。
「面倒……」
少女が刀を鞘に戻し、駆け出す。
「妖式抜刀術」
静かな声と共に抜刀し、赤い炎の中から黒く巨大な骸骨が姿を現す。
「躯の化身蛾者髑髏」




