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プロローグ
誰かがこの話を聴いたら、口を揃えて馬鹿にするだろう。
だが、これは紛れもない現実だった。
─────ただの恋の話。
世界を脅かす最悪にして、最高の初恋だった。
十二月三十日
新しい年を迎えようと、人々は新年を迎える準備に追われていた。
大型ショッピングセンターのアパレルで働く奏もその一人で、大晦日とお正月のセールのため、夜遅くまで働いていたのだった。
タイムカードを切った時には、既に日付が変わっていた。
活気が消えた町の中を冷たい風に殴られながら、奏はロードバイクで走らせる。
雪が降るとスマートフォンのニュースで流れ、少し急ごうと、ロードバイクを加速させようと力を込めてペダルを踏んだその瞬間、
「─────なっ?!」
爆発音と共に地響きを立てて町が揺れ動く。
奏は、泡得てブレーキをかけ、辺りを見回す。
道の先に車が二台止まっているは見えたが、それ以外はこれといった変化はなかった。
炎もない。人の騒ぎ声もない。煙の一つすらない。
だが、確かに爆発音は奏の直ぐ後ろからした。
息をのんだ瞬間、何か大きく黒い影が奏の前を横切った。
それを認識した途端、頬がじんわり熱くなる。




