初めての戦い
広がる草原を歩きながら、ノアは手に持った短剣を軽く振る。
「……しっくりくるな。」
短剣の柄には細かな装飾が施されており、手に馴染む感触があった。
それもそのはず。この短剣は、村を出る前に村人たちから贈られたものだった。
◆
――回想:村の鍛冶屋にて。
「これはお前に合うと思ってな。」
鍛冶屋の親方がノアに差し出した短剣は、シンプルながらも洗練された作りをしていた。
「軽いな。」
「お前はスピードを活かすタイプだろ?だったら、無駄に重い武器よりも、こういうのがいい。」
ノアは短剣を握りしめ、軽く振るってみた。確かに扱いやすい。
「ありがたい。大事に使うよ。」
◆
「ノアさん、敵です!」
『A』の声に、ノアは意識を戦闘に切り替える。
目の前には、獣型のモンスターが数体、鋭い牙を剥いてこちらを睨んでいた。
「……さっそく実戦か。」
ノアは短剣を構え、モンスターたちに向かって走り出した。
◆
エルナは後方で戦況を見極めながら、風の精霊の力を操る。
「――風よ、軌道をずらせ!」
ノアに襲いかかろうとするモンスターの動きを、一瞬だけ乱す。
その隙をついて、ノアの短剣が正確にモンスターの喉元を貫いた。
「ナイス援護。」
エルナは軽く指を鳴らしながら、「当然だろ」と笑う。
◆
戦闘が終わり、倒したモンスターの中から、食用になりそうなものを選び取る。
「……なあ、これ、食えるのか?」
エルナが獲物をじっと見つめる。
「たぶん、焼けばいけるんじゃないか?」
「試してみるか。」
焚き火を起こし、肉を焼き始める。だが、少しクセのある臭いが気になる。
「エルナ、お前の力で何とかならないか?」
「……熟成の要領で試してみるか。」
エルナが肉に触れると、じわりと”ツナガリ”が生まれた。
数分後――焼けた肉を口に運んだノアは、驚きの表情を浮かべる。
「……美味い。」
『A』も頷きながら、「エルナの力、やっぱり食事にも役立ちますね!」と嬉しそうに言った。
こうして、彼らの旅は戦いと発見を交えながら進んでいくのだった。




