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証明

 翌朝、ノアは村人たちとともに広場へと向かった。

 そこには、大きめの木の台が用意され、その上に新鮮な肉の塊が並べられていた。


 「さて……やるぞ。」


 ノアがそう言うと、エルナは腕を組んでため息をついた。


 「ったく……なんで私がこんなことしなきゃならねぇんだ。」


 「お前の力かどうか、はっきりさせるためだ。」


 「……わーったよ。」


 エルナは不満げに肉の前に立つと、ためらいながらも手を伸ばした。


 彼女の指先が肉に触れる。


 ――その瞬間、ノアの目にははっきりと”ツナガリ”が見えた。


 (……やっぱりか。)


 エルナのツナガリが、肉と結びつく。

 それは通常のツナガリとは違い、微かに揺らぎながら、じわじわと変化を促しているようだった。


 だが、エルナ自身にはそれが見えていない。


 「……何も起こってねぇけど?」


 「いや、確かに”何か”が起こってる。」


 ノアは静かに言った。


 「これをしばらく置いて、夜にもう一度確認する。それで結果が分かるはずだ。」



 そして、夜。


 「な、なんだこりゃ……!?」


 村人たちは目の前の肉を見て驚愕していた。


 「こんな短時間で、まるで数週間熟成させたみたいな……!」


 見た目はさほど変わっていないが、肉の表面にはわずかに深みのある色合いが出ている。


 一口食べてみた村人が、目を丸くした。


 「……旨い。信じられねぇくらい旨味が増してる!」


 ノアは満足そうに頷いた。


 「エルナ、お前の力は”熟成を促す”ものみたいだな。」


 エルナはまだ信じられないように、自分の手をじっと見つめていた。


 「……本当に、私がやったのか?」


 「お前が触れた肉だけがこうなったんだ。他の肉は変化していない。だから、間違いない。」


 エルナはしばらく考え込んだ後、ぼそっと呟いた。


 「……悪くねぇな。」


 ノアはその言葉を聞いて、少し笑みを浮かべた。


 こうして、エルナの力が明らかになり、村の特産品改良に向けた第一歩が踏み出された。

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