魔王の意思を継ぎし者
アメリアを壊れたおもちゃのように投げ捨てた獣人は、ソフィアの方へ向き直った。
「次はあなたの番よ。楽しませて頂戴ね」
ソフィアは五〇の強化で身体能力を底上げする。身体の損傷など気にせず、獣人に突撃した。
獣人の顔に突き刺さった拳は色々な方向へ折れ曲がってしまった。回復を使いながら、ソフィアは後ろへ飛び退く。
獣人が口から獣火方息を発動する。ソフィアは躊躇せずにその中へと突撃して行った。魔法壁で身体を多いながら少しづつ近付いていく。
後ほんの少しで獣人に手が届くという距離まで来ると、ソフィアは魔法壁に宛てている魔力も全て強化に使い更に加速した。
まさか炎中で身を投げだすとは思いもよらなかったか、獣人は反応すること無くソフィアの攻撃に身を晒した。
「魔王の炎」
左右両方の手からそれぞれ発動させる。そしてその二つの魔法陣を合わせ、新たな魔法を生み出した。
「魔王の鎖牢」
闇の炎鎖により獣人はぐるぐる巻きにされる。
ソフィアは一歩後退り、更に魔王の炎を撃ち続ける。
魔法による煙が晴れるとソフィアは目を見張った。
「なっ……一体どこに言ったのよ」
そこには鎖だけが存在し、獣人はどこにもいなかったのである。
「どこなの。出てきなさいよ」
ソフィアの問い掛けに返答した。
「出て来てあげたわよ」
後ろからソフィアの頭を鷲掴みにする者がいた。
「鬱陶しいわね」
ソフィアは後ろに反れると勢いよく前に倒れ、獣人を前に飛ばした。
だがそうして油断したソフィアに爆速で飛んでくる。思い切り前に身体を倒していたソフィアにそれを避ける術は無く、そのまま受けてしまった。
「ちょっとやり過ぎたかな」
獣人は一息つく。
すると彼女の立っている地面に突如として魔法陣が現れ、彼女を掴まえた。
そして木の陰からソフィアが現れる。
「手応えはあったのに」
「あれは私の分身よ」
獣人は驚いた。五〇もの強化を偽物なんかに無駄遣いしたのかという事だ。
ソフィアが発動した魔法は反拘罠束この魔法は掴まえた相手の魔力を使い、相手を縛る。自分自身に縛られるため解けない。そして相手が手練であればあるほどその効果もよく働く。
「これで終わりよ」
ソフィアは全魔力を注ぐ勢いで魔法陣に魔力をゆっくりと込めた。
「魔王の炎」
爆音が轟き、光で森が包まれる。この世の滅炎を感じさせる炎が直撃した。
光が落ち着くと、ソフィアは前を見た。彼女が先程まで居た場所だ。そこには全身が焦げた獣人が倒れていた。




