深まる謎
俺は集合ポストで誰かわからない相手を待った、
しかし少し待っても誰も来なかった「気のせいか・・・」
重い荷物を抱えて螺旋階段を上った。
部屋に帰り買って来た肉と野菜を冷蔵庫に入れてから、
カーテンを少し開けて外を見た、そこはいつもと同じ光景があるだけで誰も人はいなかった。
カーテンを隙間なく閉めて夜ご飯を作り始めた。
半額シールの貼ってある少ししんなりした唐揚げと少しパサついたサラダを買って来たので、
レンジで唐揚げを温めて2日前に冷凍にしたご飯を解凍して俺は一人で晩ごはんを食べた。
もう一人には慣れた。
寂しいという感覚はなく、
これが俺の日常だと身体にも頭にも染み込んだ普通になっている。
ウィルスが流行り今までの日常が無くなりみんな孤独を感じている、
孤独に耐えられなくて心のバランスを崩してしまう人もいるらしいが、
俺には今まで通りの日常だから大丈夫だ。
ご飯を食べて風呂に入りいつも通りベッドに潜り込む。
いつも通りの日常が今日も終わった。
次の日、
目が覚めてスマホの時計を見ると、
午前8時30分だった。
俺はエアコンのスイッチを入れてスマホを見た、
ニュースを少し読んでベッドから出て顔を洗いに洗面所に向かった、
その時に机の上に置いてある真夏の空色の手紙を見て、
今日も手紙が入っているかもしれないと思いスウェットのまま、
鍵も閉めないで外に出て赤い螺旋階段を走り下りてポストを開けた。
なぜこんな行動をしたのかわからないでも身体が勝手に動いたのだ。
キンキンに冷たくなったポストを開けると、
暗く小さな四角い空間の中に真夏の空色の手紙が1枚入っていた。
10、9と来たら次は8が来ると想像していた。
俺は手紙を持って部屋に帰った。
予想は当たった8と書いてある手紙で後ろに書いてあるイラストは手紙のイラストだった。
「明日は7か?」
滑り台、プール、手紙・・・共通点がわからない。
誰のイタズラなのか?イラストになんの意味があるのか?
夜の闇に紛れてこのポストに投函している。
いったい誰が?
ポストの前で見張ってようか?と考えたたが、
この寒さじゃ無理だ、警察に通報されても面倒なので投函者を確認するのは無理そうだ。
その日は昨日買い物に行ったので、
1日家を出ることもなく過ごした、イラストの依頼が3件もあるので、
1日机から動くことも無く絵の具のキツイ香りのなかで過ごした。
そして夜になった。時計の針は午後9時を指している。
遅めの夜ご飯を食べて見たいテレビも無いのでテレビを消して、
音楽をかけてソファに横になる、そして手紙のことを考えた、
また明日もポストに入っているのか?
いや!!もしかして夜の間に入れてる?
またスウェットのまま寒い外に出て、
螺旋階段を下りてポストを開けた中は暗く冷んやりしていて何も入っていなかった。
いったいいつポストに入れているんだ?
ポストの前でため息を付いて家に帰り、
風呂に入り髪を乾かして少しテレビを見てからスマホを持って電気を消してベッドに入った。
時間は午後11時だったまたポストを見に行くか迷ったが、
ベッドから出るのが面倒だったので明日の朝に行くことにした。
寝る1時間前のスマホは眠りを妨げるなんて聞いたことがある、
しかし寝る前のスマホが習慣になりインスタ、Twitterを確認しないと、
眠れないようになってしまった。
暗い部屋でスマホの青い明かりに照らされた俺の顔はホラー映画の脇役のように怖い顔になっている、
でも今この時間、同じように青く顔を照らしながら、
スマホの小さな画面の捕らわれている人はどれくらいいるのだろうか?
そんなことを考えながらいつものように眠りに落ちた。
夜中にハッと目が覚めた、何時かわからない、スマホを見ようとしたが身体が動かない。
真っ暗な部屋の中に人の気配がする誰かいるのか?
その時の俺はやけに冷静だった。
つづく