恐怖
俺は外に出た、
夜になっても夏の湿った暑い空気のままだった、
「夜でも暑いな・・・」
俺は星を見上げた星は殆ど見えない、
静かな住宅街、ここは記憶の世界、俺以外の人間はいないのか?
想像を超えた世界がある、でも今は深く考えないようにした、
そこにエネルギーを使いたく無いからだ。
このままきつねのお面の子が現れない、ということは無い、
大丈夫、また元の世界に戻って普通に生活出来る。
俺の心は恐怖でいっぱいで深く息を吸うことが出来なかった、
少し前までは自分の人生なんてどうでもいい、と投げやりな気持ちでいた、
でも、本当に無くなってしまうかもしれないと思うと、
俺は怖かった、今まで感じたことの無い恐怖だった。
俺は静かに家に戻った。
「大丈夫にゃ?」カイが言った、
「今日はこのまま明日に行かないで、日の光を浴びたいんだ。いいかな?」
「いいにゃ、日の光は大切にゃ!」
その日の夜、俺たちはそのままそこにとどまった、
そして数時間が過ぎて朝日が昇って来た、久しぶりに見る朝日、
日の光を見てこんなに感激したことはない。
子どもの俺は起きて学校に行った、
朝ごはんを食べないで登校時間ギリギリに起きて、
顔だけ洗い走って学校に向かった。
俺とカイは近所の公園に行きベンチに座り太陽の光を身体に浴びた、
不思議と気持ちが明るくなる、真夏の公園は人が少なくゆっくり出来る、
目を閉じると公園の近くのどこかの家から聞こえる赤ちゃんの泣き声、
木々の揺れる音、風の音が聞こえる、
自然の中にいるとどうにかなる。そんな気持ちが湧いて来た。
そしてそれから3日が過ぎて、10日目の夜ついにきつねのお面の子が現れた。
この日は夕方に塾の面談があり、
母親と一緒に塾の先生と話しをして、希望の学校は今の成績では無理だと言われ、
ランクを少し下げないといけないという話しだった、母さんは静かに頷いただけだった、
怒ることもなく、残念な感じでもなかった、
俺に興味が無いのかもしれないとこの時に思った。
この夜の俺は落ち込んでいた、
学校の宿題も塾の宿題も手を付けないで、ただ音楽を聞きながら天井を見ていた、
天井に何か書いてあるのかと、俺とカイは天井を見たでも何も書いて無かった。
子どもの俺がイヤフォンを外して音楽を消した、カイは急いで外に出た。
子どもの俺は布団に潜った、泣いているのかもしれない、
15歳は多感な時期で子どもでも、大人でも無い。
少し前までは子ども扱いされて、急にもうそろそろ高校生だから大人だろ!と言われても、
何が大人で何が子どもなのかもわからない、子どもの俺は混乱していた。
体も心も急に成長して不安定なこの時期に受験というのは、
なかなかつらい、受験をもっと子どもの深く考えない時期に終わらせて欲しい、
なんてことを考えていると、
カイが驚いた顔でこっちを見ている、
「なんだよ!」「後ろ見るにゃ!」
「え?」俺は後ろを見たするとそこにきつねのお面の子が立っていた。
俺は驚いて飛び上がった!「わぁ!!」
きつねのお面の子に俺は見えていない、
この前と同じで子どもの俺はゆっくりと起きて、2人で手を繋いで家を出た。
「2人の後をつけるにゃ!」
「行き先はわかっているから大丈夫だ!」俺は言った。
俺とカイは祠しかない暗い神社に向かった。
2人は細い階段を上り祠の後ろに行った、
そこには橋があり橋を渡り赤い螺旋階段を上りツリーハウスに入った。
この前と同じ行動だった。
「俺もツリーハウスに行く!」
カイが驚いてこっちを見た、
「おまえもいくにゃ?大丈夫にゃ?」
「俺のことは見えないから大丈夫だ!」
カイは関心するような顔で、
「おまえたくましくなったにゃ!気付けて行くにゃ」と言った。
ゆっくりツリーハウスに向かった、
俺のことは見えていないのに、
音を立てないように注意して螺旋階段を上り、
ツリーハウスの前に立った。
つづく




