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記憶の世界の探しもの  作者: yukiko
16/28

プール

昨日と同じで途中までは雲の中で、

ある程度上るとスカイツリーや富士山が見えて、更に上ると昨日と同じ強い光に照らされた、

目を閉じ開くとそこは真夏のプールだった。

青い空、夏の蒸し暑い風が肌にまとわり付く。

水の音、人のはしゃぐ声、そしてセミが鳴いている。


「ここは・・・市民プール?2枚目のイラストに描いてあったプールだ。」

「おかえりにゃ!」

下を見ると足元にカイがいた。

「ここは昔に良く来た市民プールだ、懐かしいな。」

「おまえがあそこにいるにゃ!」

カイが指いや手で指した方向を見ると、

俺は和也と郁人と一緒にプールで遊んでいた、

紺色の水着で腰の部分に1−3宮本と名前が貼ってある、

ヒョロヒョロの体の子どもの俺は楽しそうに遊んでいる。

そう言えば小学生の時はいつも、和也、郁人と一緒だった、

あいつら今は何をしているのかな?


社会人になっているのかな?俺のこと覚えているかな?

俺が通うはずだった中学校が一学年16クラスのマンモス校で、

少し離れた所にもう1つ中学校を作り、俺たちは家は遠く無いが学区の関係で別々の中学校になり、

だんだんと疎遠になってしまったのだ、

俺は20歳で家を出てから実家にはほぼ帰っていないので、

みんなが何をしているのかわからない。

今の時代ならLINEのグループがあり卒業しても繋がっている人はいるけど、

俺の中学生時代はまだLINEなんて無かった、

いやもしかしたら俺は知らないだけでみんなは繋がっているのかもしれないな。


カイは子どもの俺の方向に向かって歩きだした。

「おまえはここで溺れる、今からそれを阻止するにゃ!」

「え?記憶を変えていいのか?」

「昨日も変えたにゃ、本人がいる時は変えることができるにゃ!」

「そーなんだ!」

「大きく変えることはできにゃい、誰かを殺すとか、誰かと付き合うとか、

 誰かと別れることは出来ない、でも自分のだけの過去はある程度は変えることができるにゃ」

「じゃ今から俺を助けるってことか・・・でも俺溺れたかな?」

「あと5分で休憩時間ににゃる、その時におまえはプールサイドを走って深いプールに落ちてしまう、

 監視員が気付くのが遅く近くにいたおじさんに助けられる、忘れたにゃか?」

「思い出した!アイスを買うのに走って飛び込み用のプールの横で足を滑らせたんだ、

 あれから俺はプールに行かなくなり、海も怖くなった、これが原因だったのか!」

「人間の記憶は曖昧で都合よく変えてしまうにゃ、

 プールに落ちたことが恥ずかしくてその記憶を忘れたにゃ。」

「それは記憶の番人が消したのか?」

「違うこんな記憶は消さない、これはただのまぬけな記憶で、

 恥ずかしいから忘れただけにゃ。」

そういってカイは鼻でわらった。

まったくムカつく猫だな!

その時にアナウスが入り10分の休憩時間になった。


みんな川から上がるカバのように、ゆっくりプールから出て来た。

子どもの俺たちもプールから上がり思った通り、

走って売店に向かった、カイが子どもの俺の前を横切る、

「あっ猫だ」子どもの俺は走るのを辞めた。

そしてプールに落ちることは無かった。カイは俺のところに帰って来た。

「助けてあげたにゃ!感謝するにゃ!」

「ありがとう・・・」言い方がなんかムカつくな・・・

「あと、手紙、アップルパイ、ハチ、

雪だるま、きつね、橋、螺旋階段、くまの置物、みんな確認するのか?」


「これから順番に行くにゃ、行った場所に記憶の番人がいるか確認して、

 番人がいる場所がミスターブラックの探している記憶のある場所にゃ!」


「記憶の番人ってどんなやつなんだ?」

「黒くでふわふわしたヤツにゃ!」

「黒くてふわふわ?」

「見たらわかるにゃ!」

カイはイライラしながら答えた、

「俺はここでは誰からも見えない、俺が自分で自分の過去を変えることは出来ないってことだよな。」

「そういうことにゃ、過去を変えることが出来るのはオレだけにゃ!

 おまえは記憶の番人を見つけて記憶の奥に行くことが仕事にゃ。」

「わかった・・じゃ次の手紙の記憶場所に行こう!青い螺旋階段出してくれよ!」

「うるさいにゃ、今出すにゃ!」

カイはシッポを回して青い螺旋階段を出した。


青い螺旋階段は昨日とは違い上から降りて来た、

「いちいち上るのか?」

「そうだにゃ!がんばるにゃ!」

俺はしぶしぶ青い螺旋階段を上った、

後ろを見るとカイも付いて来ていた、短い足で階段を上る姿がかわいい、

話さないとかわいい猫なのにな。

今回は雲の中だけで景色は見えなかった、そしてまた眩しくなり目を閉じて目を開けると、

そこは俺の通った中学校だった。そして季節は冬だった。

「寒いな、さっきの場所との温度差がすごいな。」

「オレは寒さに弱いにゃ」

そう言って下駄箱の少し開いてるドアからカイと俺は中に入った、

学校の中は外より暖かいがやはり寒かった、

下駄箱の匂いが懐かしい、カビ臭い独特の匂いがする。

俺とカイは下駄箱の前でこれからどうするか話してした、

時計を見ると午後17時30分だった、

下駄箱から校庭が見える、校庭にも生徒はいなかった

「もう生徒は殆どいないみたいだな!番人もいないみたいだ。」

18時が完全下校でその時間までにみんな帰らないと行けない決まりだった、

俺は自分の下駄箱を探した、1−7に宮本正樹の名前が貼ってあった。

「俺は1年生みたいだ。」

そんな話しをしていると後ろで音がした、

驚いて振り向くとそこには石井いずみが立っていた、俺と目が合っている、

驚いた、「俺が見えているのか?」


つづく

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