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東部第二連邦高等女学校の日常  作者: キュッチャン
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最終話『デッドライン』

東校校舎の屋上には、ミサイル打ち上げ試験の野次馬たちがつめかけていた。

「おー、飛んだ飛んだ」

模擬弾頭装備のスカッドミサイル複製第一号が、空に飛び立つのを眺めながら部長は言った。

「これで少しは西校を牽制できるかな」

ストレロクが、打ち上げ自体には興味が無いというふうに言った。

「あれに弾頭が乗ったらどうなるか、試す気は連中にはないだろうさ」

「だといいが」

その時、なんとも朗らかな大声が聞こえた。

「は~い皆さ~ん、見物料はこの箱に入れてくださ~い」

メガネが笑顔で見物料を徴収している。

「なにやってんだあいつ」

「さぁ…?」


──東校生徒会室

生徒会長は、正規軍の国宗大尉と会談していた。

「平和維持軍ですか?もちろん、我が東部第二連邦高等女学校は受け入れます」

「素晴らしい。これで少なくとも、本格的な武力衝突は阻止できるわけです」

国宗大尉が言った。そしてちらりと窓の外を眺めて言った。

「しかし、スカッドの再生とは思い切ったことをしましたな」

「平和維持活動の見返りとして、提供してもいいですよ?」

「…それは」

国宗大尉はツバを飲み込んだ。

「もともと西校への牽制のために作ったもの。

正規軍が介入してくれるのなら、ミサイルを独占する必要はありませんから。」

「いやぁ、上層部もきっと気に入ってくれるでしょう。

素晴らしい手土産を感謝しますよ」

今回の件で上官に睨まれている国宗大尉にとっては渡りに船の提案だった。

「ここまで平和維持軍派遣に尽力していただいたお礼ですよ」

山城生徒会長は微笑んだ。

国宗大尉は、来たときよりもずいぶんマシな面持ちで帰っていった。



「生徒会長、やりましたね。これで全面戦争は回避できたわけです」

国宗大尉を見送ると、藤崎が嬉しそうに言った。

「えぇ、瀬戸際のところでなんとかね。

あとは西校内部の話…。またクーデターでも起きるのかしら…」

生徒会長は頬杖を付いて、窓の外を眺めた。



──西校生徒会 会議室

「東校がスカッドミサイルの発射実験に成功した模様です…」

「もはやスカッドどころの話じゃない!

正規軍が平和維持軍として部隊を派遣したんだ!

今にここにもやってくるぞ!」

「生徒会長、残念ながら、東校への進攻は…」

「クソ…!」

重々しい空気の中に突然、荒々しいノック音が会議室に響き渡る。

「なんだ、会議中だぞ!」

生徒会役員の一人がドアを開けると、

完全武装の特殊部隊員たちと、行方不明のはずの嶋倉元生徒会長が立っていた。

「現生徒会の皆様、ただいまをもって、あなた方全員を逮捕します。

…理由はもうおわかりでしょう?

あなた方のスポンサーにも痛い目を見てもらうことになります」

嶋倉生徒会長が言った…。



『日常は続く』

──部室

部長たちが進級して数日が経った。

「あたしらもさぁ、そろそろ就職とか真面目に考える時期なんだよな」

部長が呟いた。

「と言っても、私達コレだけでしょ」

ストレロクがAKを掲げて見せる。

「そっか…部長達、今年で卒業なんだ…」

新入りが言った。


「大変大変!金塊を積んだ輸送機が境界線近くで墜落したって!!」

メガネが部室に飛び込んで来た。


「だ、そうだ」

ストレロクが言った。

部長は大きくため息を付いて立ち上がり、はしゃぐメガネを眺めて言った。

「結局全部、いつも通りってことか」



『東部第二連邦高等女学校の日常』 完


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