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東部第二連邦高等女学校の日常  作者: キュッチャン
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第30話『クーデター』

「西高への先制攻撃を主張する強硬派が部室棟の一部を占拠、現生徒会の退陣を要求しています」

「戦車も参加している模様です、このまま規模が拡大すれば衝突の危険があります」

「西校のクーデターにあてられたか!馬鹿者め…!」

保健室で報告を受け取っていた山城生徒会長が吐き捨てる。

強硬派の襲撃により負傷した生徒会長は、簡単な手当を受けていた。

幸いにして襲撃者は周囲の生徒会や一般の生徒に取り押さえられていた。


「クーデター部隊の数はそう多くありません…会長の人徳の賜です」

「馬鹿なことを言うな!」

生徒会長が藤崎を一喝した。

「生徒会長、佐藤が来ました」

「案外元気そうだな」

普段どおりの部長の様子に、一部の生徒会生徒は顔をしかめた。

「佐藤、よく来てくれた」



"クーデター派"の立てこもる部室棟の一角は、風紀委員の白黒に塗られたBMP-2とバリケードに囲まれていた。

部長たちはひらひらと手を上げながらそこに近づいていった。


「佐藤か、何しに来た」

部下と状況を確認していた風紀委員長が、部長をジロリと見て言った。

「バカを説得しに来たんだよ。生徒会長のお墨付きだ」

最後の部分は、小馬鹿にするように大げさな身振りをつけて、部長は言った。

「ふぅん、アテにはしてないが、やるだけやってみろ」

「少なくともあの戦車はどかせると思うぜ」

「なに?」

風紀委員長が顔を上げた。

「笹嶋とは知り合いだからな」

「戦車同好会か。あいつらが居なくなれば後はどうとでもなる」

「物騒な事言うなよ。戦車が抜けた途端、建物ごと蜂の巣なんてのはごめんだぜ」


先程よりもう少し真面目に両手を上げながら部長たちは、クーデター司令部と化している建物へ向かっていった。

「よぉ!佐藤!お前らも来てくれたか!」

T-72のハッチから、笹嶋が身を乗り出して言った。

「笹嶋、何やってんだお前は」

「おぅ、西校に先制攻撃をかましてだな…」

笹嶋はパンチの素振りをしながら語りだしたが、部長は最後まで聞く気はなかった。

「この人数でか?」

「うん…ちょっと、集まりが悪いな…」

笹嶋がバツが悪そうに呟いた。

「今ならお咎めなしで済むから、さっさと帰れよ」

「お咎めなし?本当に?」

「あたしからも会長に言ってやるからさ」

「ふーん…。よし!撤収だ!部室に帰るぞ!」

「あぁちょっと笹嶋さん!?」

近くに居たクーデター派の生徒が情けない声を上げた。

「ほら、戦車もいなくなったんだ、お前らも帰れ帰れ!」

部長は生徒たちを追い返す仕草をしながら、建物に入っていった。



部長とストレロクは"司令室"に通された。

メガネと新入りとPPは廊下に残って気まずい時間を過ごすことになる。

廊下の窓からは包囲網を敷く風紀委員が目に入った。



「さて、ここで降参すれば生徒会長は許してくれると言ってる」

部長が切り出した。

「こちらには戦車もある、風紀がかかってきてもただではすまんぞ!」

クーデター派のリーダー生徒が語気を荒らげる。

「あぁ、戦車ならさっき帰ったぞ」

部長は椅子にもたれ掛かれながら言った。

「馬鹿な!」

「本当です!笹嶋たちがいません!」

廊下に出て、窓から周囲を確認した生徒が血相を変えて報告した。

「BMPに蜂の巣にされるよりは、マシな道があるだろ?」

クーデター派の生徒は無言で肩を落とした。


やれやれと首を回しながら部長が"クーデター司令部"の一室から出てきた。

「あ、終わった?」

廊下でクーデター派生徒と睨み合っていたメガネが部長に言った。

「終わった終わった。帰って飯でも食おうぜ」

「気楽なもんだよまったく」

ストレロクも部長に続いて部屋から出てきた。


一同が廊下を歩いていると、背後から一発の銃声が聞こえた。

「あー……ああいう奴らってなんでこう、こういうのが好きなんだろうな」

「叱られるのが嫌なんだよ、きっと」


東校のクーデター未遂事件は死亡者1名、負傷者6名で終結した。

"蜂起"から6時間ほどの事だった。

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