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楽園の島にて

ここは、科学が発展した町、テクニカルシティ。

ここには多くの人々と、モンスターと呼ばれる新たな種族が暮らしていた。


毎日研究や作業に追われる人々のなか、一人のんびりと町を歩く女がいた。

黄色いツインテール髪に桃色のリボン、桃色のスカート。緑の瞳の、高校生くらいの少女だ。

彼女の名はれな。姿形はまるっきり人間そのものだが、彼女はアンドロイドだ。



「待ってーお姉ちゃん!」

れなの後ろから、小さな影がついてくる。

れなよりも少し濃い黄色の髪、れなよりも短いツインテール髪の少女だ。

彼女はれみ。れなの妹のアンドロイド。

いつもなら喧嘩ばかりしているような姉妹なのだが、今日は何やら互いに機嫌が良い。


なぜなら今日は、彼女らの友人「ドクロ」の案内で、とある楽園の島に遊びに行く事になっているのだ。

こんな日くらいは仲良くしようと考えているのだ。


「れなーれみー」

…と、丁度ドクロがやって来た。

沢山の通行人がいるなかでも目立つ紫の服に赤い帯、ドクロマークを模した髪飾り。白く長い後ろ髪に短いツインテールが特徴の、つり上がった赤目の少女だ。

彼女もまた、人間ではない。こう見えて、死神だ。


死神とアンドロイド…縁もゆかりもないような二つの存在がごく普通に話し合っている光景は、第三者から見れば異質だ。まあ見た目が人間そのものなので見た目だけなら違和感はないが。


「ねえドクロちゃん、早く!楽園島へ!!早よ!」

異常に急かすれな。彼女は基本姿勢はいつもこんな調子だ。

そう。基本姿勢は…。

ドクロとれみはれなのテンションには慣れている。

はいはいとばかりに島へ向かう「準備」をする。


三人は意識を少し集中させた。

…すると、三人の足が宙に浮く。

れなの白い靴、れみの緑の靴、ドクロの赤い靴…。

それぞれ異なる足が、同じペースで地上から離れていく。

三人は空を飛べるのだ。

非日常的な光景だが、こんなものも三人にとっては歩くのと同じくらい普通の事。

三人の飛行速度は少しずつ速くなっていき、やがてテクニカルシティの遥か上空…白い雲まで一瞬で飛び移る程の速度となる。


雲の上はとても寒い。だが、飛んでれば暑くなる。

飛行するドクロについていくれな姉妹。

どこまでも続く雲の下には何があるか分からないが、ドクロは場所を把握している。

れながふと視線を横に向けると、れみが寒そうに両腕を組んでいた。

「お姉ちゃんが温めてあげますよおおおおお」

れながれみの方へ両手を広げながら向かう。

それを見たれみは、鬼の形相でれなの頭をぶん殴った。

これが、いつもの調子だ。

「もうすぐつくわよ」

頭を撫でながら、れなはドクロと共に速度を落としていく。

そして空中で静止し、真下へ降下していく。


…雲を突き抜けて降りていくと、真下に広がるのは水色の美しい海、緑の草原や森が広がる広大な島。

あの島が、ドクロが見つけた楽園の島だ。

一気に降下する三人。



「あ、おせーぞー」

島の海岸に、紫の長髪の女性と、緑のサイドテールのおしとやかそうな女性、そして色黒で、二メートル以上はある高身長の逞しい大男が。

大男の目は白一色。一見すると中々異様な目だが、彼は心優しい怪人、「粉砕男」だ。


降り立った三人に駆け寄る紫の女性はラオン、見守る緑のお姉さん的な雰囲気を放つのは葵。

皆れなの仲間達だ。皆で「あること」を乗り切っていた者達。


そのあることとは…。



「ん?」

粉砕男が、何かに気づく。

島に激しい地響きが響き渡っているのだ。

足元の黒い石ころが転がっていき、島が揺れてる事が分かった。


全員の表情が固くなる。



…直後、一同の頭上から大量の緑の草が舞った!

振り替える一同。



そこには、全身草まみれの巨大なカブトムシのような怪物…モンスターがこちらに突撃してくる凄まじい光景があった!

普通の人間なら踏み潰されてペシャンコだ。だが彼等は違う。

粉砕男が怯まずカブトムシの角を両手で受け止める!

カブトムシの巨体がピッタリ止まり、隙を見せる。

同時にラオンが飛び出し、ナイフでカブトムシの前足を軽く切りつけた!

カブトムシはバランスを崩して土砂をあげながら倒れこむ。

次に葵が飛び出す。

その手には銃…ハンドガンが握られている。後ろ足に向かって発砲し、カブトムシは両足のバランスを崩してしまう。

そこでドクロが右手の平から黒い光弾を発射!

カブトムシの目の前に放って爆発を起こさせ、その勢いでカブトムシを吹っ飛ばす。

吹っ飛んでるところへれなとれみが向かっていき、れなが拳、れみが右足を構えた。

そして、目にも止まらぬ勢いでカブトムシの全身に打撃を叩き込む!

最後に、二人で同時に背中にかかと落としを決め、カブトムシを大地に叩きつけた!


硬い岩の地面に叩き込み、クレーターを発生させた。周囲に飛び散る岩石…。


…その衝撃により、カブトムシの足が刺激され、元の感覚を取り戻した。

カブトムシは一同のチームプレーに恐れをなし、一目散に逃げていった。


そう。戦いだ。

これまで、数多くの戦いを乗り越えてきたのだ。

「…おい、あんなのがいるなんて聞いてねえぞ」

ラオンが不満そうにドクロに言う。ドクロも困惑している…。

どうやらここにあんな狂暴なモンスターがいる訳ではなかったようだ。



「…これは調査が必要だな!!」




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