8話 繰り広げられる会話 その2
(ウォーレス視点)
「なあ、アーチェ。君は照れているだけだろう? 私は分かっているんだよ」
「はあ? さっきから何を言っているの? ウォーレス、現状を理解出来ているかしら?」
「おいおい、やめてくれよ。本当に連れないな……」
アーチェは私の言葉に否定的に対応していた……ニーナも言っていたのだから、彼女が私のことをまだ好きなのは明白なのだ。しかし、今の彼女からそんな様子は感じ取れない。となれば、理由は1つしかない。
照れているのだ……若しくは、婚約解消をした間柄だから、仲良くし過ぎるのはマズイと考えて、敢えて距離を取っているのか。馬鹿だな、そんなこと一切、気にしなくて良いのに。
「ネプト国王陛下……こうしてお会い出来るなんて、本当に光栄でございます」
「ああ……そうか。それはありがたいことだが……」
ニーナは国王陛下が珍しいようで、そちらに興味が向かっているようだ。国王陛下の前で失礼かもしれないが、本日はパーティーの席でもある。ネプト国王陛下はニーナとの会話に忙しいようだし、私がアーチェと話していても問題はないだろう。
ここで、一気に攻勢に転じるのも悪くないな……ふふふふふ。
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(アーチェ視点)
「ウォーレス……? もしかして、何か勘違いとかしていない……?」
「勘違い……? それは一体、どういう意味かな?」
「いえ、私の勘違いであれば良いんだけれど……」
上手くは言えないけれど、どうもウォーレスは何かを勘違いしている気がする……私と彼は元婚約者という間柄だし、幼馴染でもあるので、そういうところは分かるのだ。
「うふふふふ、国王陛下……」
ニーナはニーナでネプト様に夢中で話しかけているみたいだし……この二人はかなりアンバランスなカップルな気がするわね……。
「ウォーレス……」
「どうしたんだい?」
「ニーナが傍に居るんだし、私と話すことはあんまりしない方が良いと思うけれど……」
私はウォーレスの為を思って指摘した。でも彼はキョトンとした表情になっている……私の言葉を理解出来ているのか、甚だ疑問だった。
「それについては心配ないよ……ニーナも承諾済みだ」
「えっ? どういうこと……?」
「本当に済まなかった、アーチェ。私はどうやら、非常に短絡的な答えを出してしまったようだ。君の気持ちも考慮せずに……君が戻って来ることは、ニーナも承諾済みなんだ。だから、安心してもらって構わないよ」
「……?」
一体、ウォーレスは何を言っているのだろうか……私には理解できなかった。フォルセの様子も見てみたけれど、弟も意味が分からないと言った表情になっていた。
うん、本当に意味が分からないわ……。