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7話 繰り広げられる会話 その1

「お、おいおい……アーチェ、どうしたんだい? 他人行儀じゃないか」


「どういう意味? ウォーレス。私達は他人でしょう……?」



 ウォーレスは私の他人行儀な挨拶をしたけれど、彼は驚きの表情を見せていた。幼馴染の突然の突き放した挨拶に驚きを隠せないのだと思う。



「ま、待ってくれよ……私達は他人同士ではないだろう?」


「えっ? 何を言っているの? 他人同士でしょ……ねえ、フォルセ?」



 私は弟のフォルセに話を振ってみた。彼は素早く頷きながら答える。


「はい、左様でございますね。アーチェ姉さまウォーレス様は、婚約解消が成立しております。これはつまり、他人同士になったも同然かと思われます」



 冷静に淡々と述べるフォルセであった。その言葉を聞いて、明らかにウォーレスの顔色が変化している。おかしいわね……彼はニーナを選んだはずなんだし、今更、焦る必要はないと思うのだけれど……。



「ま、待ってくれ……アーチェ!」


「ど、どうしたのよ……? ウォーレス?」



 いきなり彼の声の音量が大きくなり、私は逆に驚いてしまった。円満に婚約解消したはずなのに……どうして彼はこんなに焦っているんだろうか? 焦っているというよりは、何かもっと違うことのような気がしたけれど……。



「アーチェ、少しいいですか?」


「ニーナ……どうかしたの?」



 私が疑問に思っている中、ニーナが話しかけて来た。一体、何の用だろうか? 彼女と話したのは本当に久しぶりな気がする。ウォーレスと婚約解消した後は、避けていたしね。


 ネプト国王陛下や弟のフォルセが怪訝な様子を見せている中、私達の会話は繰り広げられることになった。



「ニーナ……私達って、あんまりこういう風に話せる関係ではないと思うのだけれど?」


「そうですか? 私達はとても仲の良い幼馴染じゃありませんか。それとも……そういう風に思っていたのは私だけだったのでしょうか?」


「いえ、決してそういうわけではないけれど……」



 ニーナは見た目としてはお淑やかで人気も高いけれど、何を考えているのか分からない時が偶にあったりする。今なんてまさにそうだ。


「アーチェの先ほどの挨拶は、とても他人行儀な気がしますよ。幼馴染の私達にする挨拶ではないですよね?」


「ニーナ……それは確かにそうかもしれないけれど」



 ニーナだって分かっているはずだ……私が皮肉を交えて挨拶をしたことくらいは。本当に何を考えているのか、分からない。


「まあ、私とウォーレスは婚約解消した仲なんだしさ……やっぱり、いつも通りには接することは出来ないでしょう?」


「そ、そんな……アーチェ。まったく、君は照れ屋さんなんだから」


「……ウォーレス?」



 なんだかウォーレスがおかしなことを言っている気がするけれど、ニーナの方が私は気になった。彼女の視線は……なぜか、ネプト国王陛下に向いていたから。


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