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6話 ウォーレスとの挨拶

「彼らがウォーレス、ニーナ……ふむ」


「ネプト国王陛下は面識……はおありかと思われますが、親しい仲でしたでしょうか?」


「当然、面識はあるが……昔馴染み、幼馴染というほど深い繋がりではなかったな」



 ネプト様が言っている「深い繋がり」というのは、プライベートでの付き合いのことだ。ウォーレスやニーナとネプト様は私から見ればお互いに幼馴染と言える。だけど、ウォーレス達とネプト様はそこまでの関係性ではなかった。


「婚約解消自体は円満に進んでいると聞いているが……どうする? 彼らにも挨拶をしていくか?」


「そ、そうですね……」


「アーチェ姉さま、無理はなさらない方が良いと思います。幼馴染の関係とはいえ、相手は地位としては同格。さらに婚約解消をしたばかりの相手になりますので……婚約解消から時間が経っていない状態では、あまり会う意味合いは薄いかと」


「そうかもしれないわね……」



 フォルセの意見は適格に思われた。まあ、無理して会って、当時のことを思い出しても気分的に嫌だしね。せっかく、ネプト国王陛下とこうして会っているんだから。あんまり、ウォーレスのことを思い出したくはなかった。


 というより、ニーナも一緒に来ているのよね……なんだか、複雑な気分だわ。別に彼女のことを恨んでいるとか、そういうわけじゃないけれど。


「まあ、アーチェが会う気がないのならば、特に会わなくても問題はないだろう」


「はい、申し訳ないことです。お気遣いいただきまして」


「いや、そんなことは気にしないでくれ」



 ネプト様はニッコリと微笑んでくれた。私は分不相応ながら、顔が赤くなってしまった。どうして赤くなっているんだろうか? 私は深く考えないようにした。


「ああ、しかし……完全に無視を決め込むのは不可能なようだ」


「えっ……? あっ……」



 会場内が騒がしかったのもあるかもしれないけれど、どうしても国王陛下は目立ってしまう。そうなると、必然的に近くに居る私達も見つかってしまうわけで……。


 ウォーレス、ニーナ共にこちらに視線を合わせていた。ニーナに至っては何か怪しく微笑んでいるような……? 二人は私達をロックオンしたのか、ゆっくりと近付いて来た。こうなってしまっては、流石の国王陛下でも無下には出来ない。ネプト様は静かに溜息を吐いていた。



「これは……ネプト・マクスレイ国王陛下。まさか、このような場所でお会い出来るとは……光栄の極みにございます」


「ネプト・マクスレイ国王陛下、ニーナ・オルスタインと申します。お会い出来たことを光栄に思います」


「ふむ……そうか。楽にしてくれて構わない」


「はい、ありがとうございます」



 はあ……少しだけ気が重いかもしれない。ニーナはともかくとして、ウォーレスとは正直会いたくなかったから……でも、ここまで来たら挨拶をしないわけにはいかないわね。



「ウォーレス・ミリエーター伯爵令息……アーチェ・ノームと申します。以後お見知りおきを……」



 私は思い切り他人行儀な挨拶をした。弟のフォルセが思わず吹き出したのは、確認が出来たわ。まあ、皮肉としては十分に利いているかしらね。


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