30話 解決 その1
「約束だからね。二度と私と幼馴染だなんて名乗らないで」
「アーチェ……!」
ニーナもウォーレスも今にも死にそうな顔つきになっていたような気がする。しかし、私はハッキリと二人に伝えた。幼馴染として仲良くやってきた関係性は既に破綻しているのだと。
「アーチェの言う通りだ。最早、お前達二人に幼馴染と名乗る資格はないと言えるだろう。幼馴染という都合の良い関係性を利用して、好き勝手やり過ぎたようだな」
締めの言葉と言わんばかりに、ネプト様が彼らを諭すように発言する。その言葉を聞いたニーナとウォーレスは、力尽きたように肩を落としていた。
自業自得、因果応報という言葉をニーナとウォーレスにはプレゼントしたいくらいだったわ。
「姉さま、最後のお言葉は非常に格好良かったように思います。まさに、姉さまがご成長された証になるのではないでしょうか」
「ありがとう、フォルセ」
「よく言ったな、アーチェ。正直言って、見直したぞ」
「ありがとうございます、お父様」
フォルセとお父様は各々、私に称賛の言葉を贈ってくれた。非常に嬉しいことではあるけれど、正直に言って、私一人ではとてもここまでは来れなかっただろう。
ネプト様を初め、愛する家族の協力があったからなのは言うまでもない。
私はネプト様に向き直り、深々と頭を下げた。感謝の意を示しながら。
「ネプト様、本日はご協力いただき、本当にありがとうございました」
「どういたしまして、アーチェ。私もアーチェが成長してくれたようで、協力をしたかいがあったよ。本当に嬉しい、君が過去の呪縛を断ち切ってくれたようでな」
「ネプト様……ありがとうございます」
過去の呪縛……ニーナとウォーレスとの幼馴染という関係性は、呪縛となって私の手足に絡みついていたのかもしれないわね。ジョンの死が原因となって……。
でも、ジョンは実は生きており、ネプト様の変装だったことが分かった。そして、教会の崩落事故自体はニーナの差し金だったことも分かった。ネプト様の変装の件については、後日、ゆっくりと話し合いたい気がするけれど、とにかく今は放心状態になっているニーナが目の前に居る。
私は彼女からの呪縛を取り払い、逆に呪縛を付け返すことに成功したと言えるのかもしれない。
今後、私が幼馴染の関係で悩まされることはないだろう。いえ、願望ではなく私がしっかりすることで、実現させていかなくちゃね。




