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27話 ニーナは騙された その2

「へっ……陛下、今なんとおっしゃったのですか……?」


「聞こえなかったか? 屋根に細工などされていないと言ったのだ」



 ネプト国王陛下の言葉の意味が分からない、といった表情をニーナはしている。自分が騙されたことにすら、まだ気付いていないのかもしれないわね、この様子だと。



「ネプト様……それでは今までの話は……」


「アーチェにフォルセ、君たちには余計な心配を掛けたようで申し訳なかった。ノーム伯爵が教会の屋根に細工をしたなどという事実はないので、安心してくれ」


「で、では……父上は無実だということで宜しいのですね!?」


「そうだな。あくまでもニーナ嬢を騙す為のブラフということさ。ノーム伯爵、感謝する」


「いえ、とんでもないことです、国王陛下」



 フォルセもようやく笑顔になっていた。お父様が何もしていないことが分かったからね。さて、ニーナはと言うと……まだ開いた口が塞がっていなかった。


「そんな……騙し討ちだなんて! 陛下、それが最高権力者のすることなのですか!?」



 ニーナはようやく状況を理解できたようだけれど、ネプト様に対してとんでもないことを言いだした。その言葉、普通に不敬罪になりそうだけど……大丈夫なのかしら。


「騙し討ちとは、言い掛かりも甚だしいな。元々はニーナ嬢がジョン……私を脅そうとしたのが原因だろう? その結果、私は怪我をしてしまったのだからな。7年前のこととはいえ、これは大罪であるぞ」


「そ、それは……! も、申し訳ございませんでした……!」



 ニーナはそれ以上何も言えなくなっていた。まあ、彼女が何を言おうともネプト様に怪我を負わせた事実は変わらないからね。でもこの場合、どのくらいの罪になるのかしら? ウォーレスは直接的には関わっていないようだけれど。


「ネプト様、ニーナはどのくらいの罪になるのでしょうか?」


「おや、気になるのか?」


「そうですね……もしかしたら、金輪際見ることが出来なくなるかもしれませんから……」


「えっ……嘘でしょう?」



 ニーナは顔面蒼白になっていた。自分から出した話題でまさか、自らの首を絞める結果になるとは、流石に予想してなかったか……不敬罪などが追加されれば、表舞台に出て来れない可能性は十分に考えられた。


「な、7年前の話ですし……! そ、それにあれは事故だったのですし……! 私はネプト国王陛下だなんて、全く知りませんでした……!」


「そんな言い訳が通用するとでも思っているのか? まずはニーナ嬢の両親に連絡が必要になるな。それから……議会へも話を通しておこう。其方の罪は重い……覚悟しておけ」


「そ、そんな……! アーチェ、お願い……助けて!! 私達、仲の良い幼馴染だったわよね!? お願い!」


「ニーナ……」



 まさかここに来て、私に縋って来るとは思わなかった。私のことを都合よく利用していた癖に……信じられない。


 さてと、そんな私の大親友へ掛ける言葉と言えば……。


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