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22話 ネプトとアーチェ その3

 私はネプト様の話の続きが気になって仕方がなかった……私の思い出の根幹に関わる事態だと思えたからだ。



「あの時の崩落事故……私は怪我を負ってしまった。しかし、当時の貴族社会の情勢的に私の正体が知られることは避ける必要があったのだ。それが、アーチェのお忍びの隠蔽にも繋がるということだったからな」


「ま、まさか……それでは、ネプト国王陛下は……!」


「ああ、元々は存在しないジョンという人物が死亡したということで、話を収束させたわけだ」



 衝撃の事実と言えるだろうか……あの、ジョンという一般人がネプト様本人だったことも驚きだけれど、それ以上にネプト様が今後の情勢などを考慮して、一般人のジョンと言う人物を亡き者にした事実にも驚かされた……。



「ま、まさか……そんな事実があったなんて……!」


「嘘でしょ……そんな……!」



 私はもちろん驚いていたけれど、それと同じくらいにニーナも驚いているようだった。その意味合いは良く分からなけれど。


「ではやはり……ジョンは、ネプト様だったのですか……?」


「そういうことだ。済まない、アーチェ。ジョンという架空の人物の死亡がまさか、君の心に深く突き刺さってしまうとは……完全に想定外だった」



 ネプト様は先ほどのニーナとの会話も全て聞いているはず……だからこその謝罪なのだと思うけれど。私はまだ、現実を受け入れられないでいた……では、私が幼馴染に固執してしまった原因はネプト国王陛下に起因することになってしまうことになる。


「いえ……ネプト様が謝罪されることではないと思いますが……」


 流石に国王陛下であるネプト様に責任追及など出来るはすはない……でも、私はなんとも微妙な感情を持ってしまっていた……。なんだろう……決してネプト様を責めるつもりはないのだけれど、むしろジョンが生きていたことに対する喜びの方が強いのは事実だけれど……。


「ふふふ、ネプト国王陛下。アーチェは人間不信になっているようでございますよ?」


「なに……? ニーナ嬢、どういうことだ?」


「あら、お気づきではありませんか? だって、自分の愛していた幼馴染が死んでしまい、アーチェはとても悲しんだのですよ、それこそ他の幼馴染に縋ってしまう程に。私やウォーレスとの関係を大切にしたのはそれが原因でしょう。その期間は何年にも渡り続きました……国王陛下ともあろうお方が、そんな些細な事実に気付いていなかったのですか?」


「そ、それは……ぬう……」


「ニーナ……?」



 これは、ニーナからの反撃と言えるのかしら? ネプト様も言葉が出て来ない様子だった。違う……私はそんなことを思ってはいない。ここは私が最適な回答を見せなければ……ニーナの思うツボになってしまうように思えた。


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