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16話 ノーム家での会話 その2

(ニーナ・オルスタイン伯爵令嬢視点)



「ノーム伯爵……本当に残念ですわ。昔から知っているあなた様に、そのように言われてしまって……私は悲しいです……」


「これは驚きですな、ニーナ嬢。自業自得かと思われますが……」



 わざと悲しんでみたけれど……ドルアド・ノーム伯爵には通用しないか。やはり、ウォーレスとアーチェの婚約解消を相当根に持っているようね。ただ、私にまで波及させないで欲しいけれど。婚約解消自体は無事に済んだのだから、そんなに恨まれても困るけど……私とウォーレスはその後に付き合ったのだし。


 仕方がない、アーチェに視線を向けてみるか。



「アーチェ……私達は昔から、お互いのことを知っていますよね? 一緒に読書を1日中したり、別荘へ遊びに行ったり……他にもたくさんの経験を共に行って来た仲でしょう?」


「ニーナ……それはそうだけれど……」



 見たところ、アーチェの方は揺らいでいるわね……ふふふ、当たり前よね。私達は昔から本当に仲良くしてきたんだから。ウォーレスを奪った形になってしまったのは不可抗力でしかないし……彼女ならきっと許してくれるわ。


 ウォーレスは当事者だし、許してもらうのは難しいだろうけど。私の場合は、もっと押せば何とかなりそう。ノーム伯爵や弟が一緒に居るけれど、そんなの関係ないわ。


「アーチェ、ウォーレスと婚約してしまった件は本当に申し訳ありませんでした……この通り、お詫びいたしますわ」


「ニーナ。ええ、今更そのことを責めるつもりはないわ……それをしても意味がないし」


「そ、そうですか……? それなら、とても嬉しいです……!」


「いえ、気にしないで」



 アーチェは昔から幼馴染という関係に拘っていた……単に友達想いだとかいう以上に。彼女が幼馴染という関係に拘り始めた理由は……おそらくだけど、予想は付いている。だからこそ、そこに付け込むのはたやすく、私と彼女の関係性は深まっていったのよ。


 アーチェはまだまだ成長していない……ウォーレスとの婚約を果たして、私は蚊帳の外にされた。今までのような付き合いが出来なくなるのは当然だったのに。でも、そんな状態になってもアーチェは、今までのような関係性を保持できると思っていたはず。


 私はそんなアーチェが大嫌いだ……一度は私を蚊帳の外にしておきながら、今でも幼馴染という関係に拘っているのだから。


 ウォーレスを奪ったのは成り行きだったけれど、表向きは仲の良い幼馴染を演じながら、裏では散々利用してやろうと思っていた。全ては成長していない、彼女が悪いのだから。



「でもねニーナ。ウォーレスとの件については、これ以上責めるつもりはないけれど……」


「え、ええ……どうしたんです?」


 ノーム伯爵を崩すのは難しいだろうから、アーチェから崩そうと思っていた矢先……事態は好転したかに見えたけど、そうではなかった。


「私は……しばらく、ニーナに会わない方が良いと思ってる。もちろん、ウォーレスにも……」


「アーチェ? 何をいきなり……」


「私も少し考えたんだけれど、お父様の判断が正しいと思ってる。私の考えは子供じみていたわ」



 考えた……? この短時間の間に? まさかアーチェからそんな言葉が出て来るなんて、予想外だった。


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