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五十一話

 生里が性的な(そういう)指示を出すであろうことは、分かり切っていた。前に戦った時も娘と身を重ねることを「いい経験」と言い切っていたのだから……。

 考えたくもない、思いつきもしない思考。

 俺はアカネに叫ぶ。


「アカネ、指示に従う必要なないぞ!?」


「で、でも……」


 時間を稼ぎ二人の命を繋げられるのは自分だけ――アカネだって馬鹿じゃない。そんなことは百も承知なのだろう。だから、悩んでいる。俺を助けるために。


「ほら、それじゃあ、動きにくいだろ?」


 迷いを読み取った生里が、アカネの負荷を軽減させる。


「さあ、「なんでもします」って覚悟を俺に見せてみろ。ま、何もしないで二人とも死ぬでも俺は構わないんだけどなぁ」


「……っ!!」


 アカネは自分の迷いを心に閉じ込めるように、目を閉じた。瞳の裏では現実から逃げるために幸せな光景を思い描いているのかも知れない。


「くそ、くそぉ!!」


 震える手足に力を込めるが立ち上がれない。

 なんで、なんで……。

 生里が二つの【魔能力】を持つならば、俺だって――!!

 だが、そんなに都合よく目覚めることはなかった。そもそもに、俺はイムさんからしか力を受け取っていないのだから……。


「ひゅー。いい体してるねぇ」


 銀の制服を脱ぎ捨てたアカネに、口笛を吹く。パサリと制服が地面に落ちる音が遠くに感じた。制服の下はワイシャツを着ており、アカネの身体のラインを強調するようだ。

 滑らかな曲線美。

 背中に座る生里が興奮したのが分かる。


「……」


 アカネは無言で、ワイシャツのボタンを外していく。


「ほお、上から脱ぐなんて分かってんじゃねぇか」


 お前の性癖なんて知るかよ……。

 自分の娘にこんなことをして、何が楽しいんだ!!

 辛うじて顔を上げた俺に出来るのは生里を睨むこと。責める視線を送る俺に、生里は俺の背から立ち上がった。


「お前なぁ。前に俺は言ったよな? 捨てたゴミは覚えてないって。だから、俺には娘なんざ、いないんだよ!!」


 生里は顔を上げた俺に、自らの股間部を押し当てた。膨れ上がった固い感触が顔に触れる。衣類越しでも分かる生暖かな熱。

 自分の興奮を俺にひけらかすことで、更にまた興奮をしたようだ。

 更に膨張したのが分かる。

 こいつは――異常だ。


 アカネは何が起きたのかと目を開いてしまったのだろう。俺の姿を見ると服を脱ぐ手を速めた。


「はーはっは。全ての人間は俺の下で過ごすべきだ!!」


 ワイシャツの前が開かれ、下着が露になる。

 アカネが身に着けていたのは、その名の通りに淡い赤の下着だった。動きやすさに重きを置いたデザイン。【魔能力】を持つ身としてソレを選んだのだろう。


「なんだよ。色気のない下着付けてんな。俺が今度、【褒美】で貰ってきてやろうか――?」


 もう俺に用はなくなったのか。押し付けていた身体を離すとアカネに向かって腰を振りながら歩く。

 そして、背後からゆっくり抱き着き、首筋を舐める。


「お前はそこで見とくんだな」


「……アカネ!!」


 背中に回った生里はゆっくりとアカネのワイシャツを掴み降ろしていく。

 そして、次は下着に手を伸ばした時、


「待てっ!」


 生里を止める声があった。

 俺達が待っていた――仲間だ。アカネの身を張った時間稼ぎが報われた。

 声の方向に顔を向ける。

 すると、そこに立っていたのは、絵本えもとでも、素子もとこさんでも、阿散あばらでもない――俺の知らぬ男だった。


 いや、違う。

 俺は良く知っている顔だ。

 何故ならば――、


「ど、銅次が二人!?」


 アカネが叫ぶ。

 男は俺とよく似た顔をしていたのだから。

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