なんでこんな人生になったんだろう①
広大な敷地を持つ屋敷の木々に止まった鳥たちが春を告げる中、バタンとバルコニーの扉が開き白銀の髪の少女が出てきた。そして、登山でヤッホーって言う時の手の形を作り、叫んでいる。
「ふざけるなぁ、あのクソ餓鬼がぁーーーー!ハァハァ」
私の名前は、フィリア・クリシュテイン。私は、今とても怒っていた。かの有名な小説を借りるのならば、フィリア・クリシュテインは、激怒した。必ず、かの邪智暴虐の魔法使いを私の人生から除かなければならぬと。
そんなことを考えていると部屋の方からコンコンとノックの音と扉が開く音が聞こえた。
はぁ、と溜息をつきながらそちらを見ると
漆黒の目と漆黒の黒髪を持つ青年がいた。
この青年こそ、先程から邪智暴虐の魔法使いと称している者である。
邪智暴虐の魔法使いの名は、ゼヴィンシュチ・ギリオンシヴィリである。
ゼヴィンシュチは、血の繋がりはないが私の同居人であり唯一の家族でもある。
そして、絶世の美男子でもあり、20歳と言う若さこの国1番の魔法使いなのである。天は、二物を与えやがった。
「フィー。僕のことを考えてくれてるのは嬉しいけど罵倒よりも賞賛の方が嬉しいなぁ。あと、君のお願いは、絶対聞かないから」
と人の良さそうな笑顔をしながら言ってくる。それに対して鳥肌を感じるが一先ずは、無視を決め込む。
そもそも、私が怒っているのは、邪智暴虐の魔法使いが私を学校に行かせてくれないのである。この国では、普通6歳から小学校に通い15歳までは、義務教育を受ける。15歳から就職が可能であるため、15歳から働く者やさらに勉学に励む者など、各々が自分の道を歩んでいく。
そして、私の年齢は15歳である。しかし、ゼヴィンが私を学校に行くことを認めず一度も行ったことはない。それにきっと今回も彼は、折れないだろうと思う。
(どうしてこんな人生になったんだろう…)
青空を見ながら私は、大きな溜息を吐いた。