ゲーム依存国家の行く末
外国では、あなたがゲームで遊ぶ。
本邦では、ゲームがあなたを弄ぶ!
近年、闇ゲーム市場が氾濫し、市民生活に危機的状況を与えている。
筆者は警察の許可を得て、闇ゲームの現場を取材した。
凍凉。蛙牙原の電気街には、闇ゲームの密売人が経営する『書店』がある。
常設の店舗ではない。
客を防犯カメラの死角になる裏路地に誘導し、露店を構え、取引が終わるとすぐに立ち去るのだ。
即席の露店には、折り畳まれていた段ボールで作った本棚に、十数冊の文庫本が並ぶ。
『地獄変』、『伊豆の踊子』、『人間失格』といった文学作品の題名が、それぞれのゲームの隠語となっているという。
それらの文庫本を開いてみると、中央がくり抜かれ、そこには紙で包まれたメモリスティックが入っていた。
私服警官が購入者と密売人を現行犯逮捕、くり抜かれた文庫本とメモリスティック、露店全ては証拠品として押収する。
名作を切り刻み、違法品を隠す。ゲーム所持という犯罪を超えた、我が国の芸術文化に対する犯罪行為だ。
実際、このようなケースでは文化財保護法違反も含めた併合罪としてより厳罰に処され、初犯でも執行猶予がつく事は無い。
文庫本の露店を広げるような分かりやすい犯罪事例は少なく、多くは露店を広げる事もせずに手渡しで行われているが、このような攻防が、蛙牙原では毎日のようにある。
警察官がゲーム密売組織に顔を覚えられてしまう弊害も起きており、制服警官による職務質問と所持品検査の重要性はますます高まっている。
財布の中身とは別に十円札を何枚も持っていたり、既に新規では発行されておらず、流通量の少ない百円札など持っていれば闇ゲームを買いに来た客である線が濃厚だ。
最大の牙城だった蛙牙原での検挙を重点的に行うと、密売人による取引現場は蛙牙原以外に拡散する。
いたちごっこだ。
仙宿、四碑谷、井ノ袋といった山の手の繁華街、さらには絹布といった都心部の住宅街でも白昼堂々と密売されるケースが増えているという。
犯罪防止の為に、全国から公衆トイレが撤去されると、中古アパートなどが取引拠点となり、住宅街の密室が犯罪の温床になっているのだ。
闇ゲーム開発も、住宅街の一室などで行われている事が多いそうだ。
ゲーム開発組織の密造所となっていたアパートから、過去に流通していた業務用高性能パソコンと大量のメモリスティックが押収された事件もある。
かつてゲームが合法的に売られていた頃は、現在のレートで安いものなら10銭、通常は3円から6円程度、高くても10円くらいだった。
それが今や、闇市場で取引される闇ゲームは100円以上も珍しくなく、人気ゲームは1万円以上で売買される。
公務員俸給の上限とされる1000円で計算しても、基本年俸とほぼ等しい。その他の手当てを含めても、年俸は2万5000円程度だから、ゲームがいかに人の精神を蝕むか分かろうものだ。
ゲームで遊ぶ金欲しさに強盗傷害罪に手を染めた、当時19歳の●●●●(被告人の名前)の事件は記憶に新しい。
そこまで行かずとも、ゲームの為に借金をするなどし、社会生活が送れなくなる事例も多く、事態は深刻となっている。
単に身を持ち崩すといった個人の問題に留まらない点も重要だ。
国内の闇ゲーム市場は、末端価格に換算して10億円から20億円ほどと推定されており、反社会勢力の資金源ともなっている事から、対策は急務だ。
【ゲームは犯罪 ダメ、ゼッタイ】
【ゲームは犯罪 やらない。させない。つくらない。】
このような標語を掲げ、警察は検挙に力を入れているが、我が国のゲーム関連犯罪件数は増加の一途を辿っており、諸外国と比べても最悪の水準となっている。
国外に“ゲーム旅行”をしに行く若者も増えており、入管も帰国者の渡航歴に目を光らせているが、証拠が残りにくい為、検挙に至る確率は低いという。
海外留学の名目で、そのまま国外逃亡に至るケースもあり、調べれば調べる程、ゲーム犯罪の闇の深さが浮かび上がる形となった。
政府は、ゲーム関連犯罪についてより罰則を厳しくする方針で、今年度中に新法案を可決させる見込みだが、識者の間では事態は一刻を争うという指摘もあり、電子計算機に係る犯罪防止に関する大統領令の早期の発令が待たれる。
将来の本邦がこうならないように、青少年を守りましょう。