おねだりリリィ
「お父様!!」
善は急げとお父様の部屋を訪ねると、ロゼットと書類仕事していた手を止めてくれた。
「なんだいリリィ?珍しいね、リリィから私のところにくるなんて」
いつもは仕事の邪魔をしてはいけないとお部屋を訪ねることはそうそうしません。
集中しているところに邪魔が入るのって嫌だものねぇ〜。
今回は特別に許してください。
それにお父様、なんだかいつもの倍ニコニコしている気がするわ。これはお願いしやすい!好都合ですね!
「ごめんなさいお父様、お仕事中なのに。どうしても聞いてほしいことがありまして。」
「いや、気にしなくていいさ。ちょうど少し休もうと思っていたところだしな。ロゼット、お茶となにか軽い軽食を頼む。」
「かしこまりました。」
「それで?聞いてほしいこととは?」
「はい、お父様。実は私外に出てみたいんです。」
「…?外ならいつも出ていると思うが?」
「いえ!そうでは無くて!この屋敷から出て一人で領地を見て見たいのです!」
お父様の座ってる机にバン!と両手をついてお父様を見つめて訴えてみる。
「なっ…!(なんかいつもと迫力が違うな…)どうした急に?しかも一人でだと?!流石に一人ではどうかと思う。リリィも一応領主の娘だからなぁ。いくら小さなこの領地と言えどもなぁ…。危なくないか??」
「いいえ!!お父様、私もう12歳です!領地の子供達はもっと小さな頃から一人で何でもしています!お父様の治めている領地くらい一人で回れなくては恥ずかしいです!!」
このままでは断られる雰囲気だわ!こうなったら必殺技ね!
「それとも父様、母様、ロゼット、ルシーに頼りきった何も出来ない娘になってほしいんですか…?」
うるうるとお父様を見つめてみる。
お父様はこのおねだりに弱いのである。
娘に見つめられヴッとたじろぐウィーン。
「旦那様、お話中失礼します。お茶と軽食にございます。」
美味しそうなサンドウィッチと紅茶をロゼットが出してくれる。
「ねぇ、ロゼット貴方もそう思うでしょう?」
このままでは分が悪そうなのでロゼットを味方につけるべく声をかける。
「さきほどから聞いておりましたが、屋敷の外に出たいというお話ですか?
そうですね、私は領地内でしたら何度か私達と行っていますし、治安も悪くないですし構わないのではないかと思いますが。
これを機にお嬢様も少しずつ外に出る機会を持つべきかと。」
思うところがあるのか悩ましい顔をするお父様。
「うーん…確かにそれもあるな。
もう少し後でと考えていたが、私もそろそろ領地以外にも連れて行こうと考えていたところだ。
せっかくリリィが自発的に行動してきたんだ。
前向きに検討しよう。
日にちはこちらで決めることにする。それで構わないな?」
「もちろんです!ありがとうございます、お父様。お願いを聞いていただけて良かったです。」
「かわいい娘の頼みだからね、聞かないわけにいかないさ。」
ニコッと優しげに微笑むウィーンであった。