伊藤美代子83歳
とまぁ、現在リリィは幸せに暮らしているわけである。
が、私には秘密がある。
前世の記憶があるのだ。
前世の名前は伊藤美代子、83歳のおばあちゃんだった。
肺炎でポックリ逝ってお父さんに会えるわー。なんて思っていたのに、3歳頃になると前世の記憶をなんとなく思い出し、5歳頃にははっきり思い出していた。
ある日突然思い出すという感じではなく成長と共に思い出していったのだが。
一番はじめに思ったのはこれだ。
「なんでみんな頭から耳がはえてるの?」
純粋に子ども心から聞いた事だったのだが、今思えば当然の事を聞かれて父母はたいそう困った顔をしていた。
「なんでシッポがはえてるの?」
など話せるようになってきた3歳頃からなぜなぜと聞き回っていたように思う。
あの頃まだ自分は前世の記憶と混濁しており、きっと突然不思議な事を言い出す私を家族は不思議に思っていただろう。
そう。
私は単純に日本に転生したわけではなく異世界へ転生したらしい。
このことにしっかり気付いたときの衝撃はすごかった。
なんたって人間だと思っていたのに人間じゃ無かったんだから!
この異世界の住人は人間に似てはいるが人間ではない。
動物の特徴をもつ人間ににたものである。