私はリリィ
私はシルべニーニャ・リリィ。
この家の領主の一人娘です。
年齢は現在12歳。
父似の焦げ茶色の瞳にキリッとした目元。
母似のベージュのフワフワのロングヘアー、ポテっとした小さな鼻。
肌は透明感がありツルツル。
ほっぺはほんのりピンク。
吸いつきたくなるようなプルルン唇。
勉強は飲み込みが良く、勤勉。
乗馬や護身術は大人顔負け。
これが他人から見た私の評価らしい。
んなアホなと思っているがロゼットとルシーが言うには父と母の良いとこ総取りだそうです。
稀に見る才覚ですわ!!と世界中どの令嬢にも負けませんわ!!とのルシーの私への溺愛ぶりは異常。
これまたそんなわけないわよーと思っているがルシーに言っても無駄なので聞き流している。
所詮身内の戯言なのでまともに受け取っていては社会に出て差し支えるわ。
私は身内の甘さというものをよーく知っているのだから。
お父様なんて私が少し躓いただけなのに…
「リリィ!!大丈夫か?!ケガはないか?!膝から血が出てるじゃあないか!!なんだ!何に躓いた!?父さんに任せろ!!これか!!この石か!!うぉおおおー!!!許さん!!」
ドゴォーーーー!!
身体強化魔法を使い、たった5センチの小石にパンチを繰り出し庭に更なる危険(推定5メートルの穴、深さは不明)を作り出した。
お母様に冷たい笑顔で責められたのは言うまでもない。
お母様に至っては普段は割とまともなんですが、私を着飾る事に関しての熱意がすごい。
「リリィ?これなんてどう?貴方にとっても良く似合うわ。ああ、これも良いわね?あれも貴方の可愛さを引き立ててくれるにちがいないわ。そうね、ここからここまで全部買いましょう。ね?」
一緒に買い物に出掛けようものなら、私への装飾品や服を毎回沢山買おうとするので止めるのも必死だ。
我が家を破綻させるわけにはいきませんからね。
普段はしっかり者のお母様が、私の買い物になると金銭感覚がくるってしまうのはなぜなのかしら。
我が家唯一の侍女であるルシーに至ってはさっきも言った通り私への溺愛ぶりが異常。
何を言っても
「お嬢様は素晴らしい」
「お嬢様は美しい」
「お嬢様はこの世で1番賢い!」
「お嬢様は尊い!」
などの誉め殺し。
私がお茶でも飲もうかしら。
なんて思った日には言う前に「お茶でございますね?もうすでに準備してあります。」
…。
逆にルシーは私をダメにしたいのだろうか…とたまに思うが、彼女は純粋に私の事を好いてくれていると理解している。
我が家で1番マトモなのは執事のロゼットだと思っているが彼も私に甘い。
コッソリやっているつもりだろうが、食事には私が嫌いなニンジンがいっさい入っていない。
皆んなの料理にはニンジンが入っているのに私の料理には入っていない。はじめのうちこそ気付かずラッキーだわと思っていたが、毎回入っていないのを認識してからはロゼットの配慮だと気がついた。
きっと彼の事だからニンジンを入れるときは分からないようにして出してくれているのだと思う。
わざわざお礼を言ったことはないがいつか必ず言おうと思っている。
そんなこんなで我が家の家族達は私に激甘なのである。