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幕間:ふうきのおしごとっ☆1

いれる場所がなかったルームメイト氏との初遭遇の話。タイトル詐欺回。

※いいタイトルが思いつかなかったのでそのうち閃いたら変わるかもしれません。


「………」


はたしてこいつはアウトかセーフか。


家庭の事情で入学初日が入寮初日となってしまった卓磨たくまだが、初めて顔を合わせた同室者をまじまじと見つめながらうんうんと悩んでいた。

インターホンを押して、部屋に入るなり出迎えてくれた同室者は、そんな卓磨をみて苛立ちを隠さない。


「んだよヒトの顔じろじろ見やがって。ホモかよ」

その言葉に、卓磨はピンと来た。


「…なるほど、アウトの方か。」


きっと、男に言い寄られすぎてそういったことに過敏になっているのだろう。

うんうんと納得し、卓磨はすっと視線を逸らした。

「ええと初めまして今日から同室の関野卓磨っす。大丈夫、ホモじゃないしクラスメイトに話しかけちゃ駄目な人種がいるのは聞いてきた。必要事項以外は話しかけないので大丈夫。」

そして、すす、と横をすり抜けて部屋に向かう。


「え、あ、おい!」

「俺の部屋右?左?」

「左だけど、っておい待て!」

がし、と肩を掴まれて、卓磨はいやいや振り返る。

「え、なんか用?おれ制裁されたくないんだけど…」

「はあ?誰に制裁されるってんだよ」

「あんたのファン?」

「…はあ?どこに俺のファンがいんだよ」


同室者のリアクションに、あれ、なんかおかしい?と気付く卓磨。


「…聞きたいんだけど」

「…おう」

「親衛隊持ちじゃない?」

「…俺のどこをみてその発想になったんだよ」

顔を顰める同室者の言葉に、卓磨は己の勘違いを知る。


「なんだ、安心したー…今日イチびびったわー…」

あーよかった、と自室に向かおうとする卓磨の肩を、再度掴む手。

「待てとゆうとろうが」

「えー、もう話は済んだじゃん」

「済んでねえよ!いいからそこ座れ」

そして、肩を掴まれたまま、食卓と思われるテーブルに誘導された。


「…持田健斗もちだけんと。2-Aだ。」

「…ええと、さっきも名乗ったけど関野卓磨。B組」

「…知ってる。」

「え、なんで?」

強引に席に座らされたと思ったら、唐突な自己紹介。更に卓磨のクラスを何故か知っているという持田。

はー、とため息を吐くと、持田は視線を逸らしながら言った。

「…悪かったな、いきなり難癖付けて」

「いや、クラスで事前に聞いてたから大丈夫。」

「…じゃあ尚更、なんで俺にファンがいるなんて思ったんだよ」


あー、やっぱ聞かれるよねえ、と卓磨。

卓磨自身はさして気にしていないが、人によっては結構気にしてしまう己の事情。


「俺さあ」

「おう」

「人の顔の美醜がわからんのよ」

「…は?」


さらりと告げるが、やはり一度ではちゃんと伝わらないらしい。


「顔の区別はつくけど、そいつがイケメンか否かさっぱりわからんのよ。クラスメイトには既にひとりで校内うろつくなといわれました。」

まさか美醜が分からないと生きていけない場所があるとはねー、というと、ああだからかと持田が呟く。

「だからか、玄関で俺の顔じろじろ見てたのは」

「持田君がアウトかセーフか考えてたんだよね」

持田でいい、と告げ、彼は再び大きなため息を吐く。

「…つまり、関野は、俺がイケメンかどうかもわかってねえ、ってことでいいんだな?」

「おう、クラスでやったイケメン判定は正答率半分以下だったぞ」


堂々というな、と力なく突っ込み、持田は更にため息を吐いた。


持田健斗:超絶美形の兄がいる所為で、この世の男は総じてホモなのではないかと恐怖にかられた時期がある。


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