幕間:ふうきのおしごとっ☆3
持田君は苦労性です。
一般生徒が親衛隊に絡まれている。
そんな通報を受けて駆け付けた持田が見たのは、なんというか、力の抜けるような光景だった。
「―――とまあ、そんな感じで折戸女様の美しい文字を見て、お偉いさんも謝罪を受け取る気になってね」
「すげー。字がきれいだとそんなことが…」
「すごかろう!更にだな…」
まあ、予想はしていた。
絡んでいるのが折戸女親衛隊と聞いてから、そんな気はしていた。
今日び、この学園に折戸女に話しかける輩はいない。
折戸女親衛隊の、ある種努力の賜物だ。持田からすれば、唾棄すべきことではあるが。
であるからこそ、警告の行き届いていない外部生がやらかしたんだろうとは思った。
それが、かなりすっとぼけたルームメイトである可能性も感じてはいた。
けれど。
「へー!すごいっすね!!」
「そうだろうそうだろう!!折戸女様は見た目だけではなく中身も素晴らしいのだ!!」
まさか普通に話に乗っているとは思わなかった。
いやまあ、可能性として考えなくはなかったが、実際目にすると中々に衝撃がすごい。
脱力しかける己を叱咤し、持田は制裁(?)現場に割って入る。
「あー…、親衛隊が3名以上で一般生徒に絡む行為は制裁に該当しますよ」
話しかけると、ややひるんだようにこちらを見る親衛隊たち。
「…も、持田くんか…」
「…まずい奴がきたな…」
その様子から、まあ目的は制裁だったのだろうと確信する。
「あれ、持田どったの?仕事?」
当事者が微塵も制裁と思っていないあたりがちょっとあれだが。
「…なあ、関野」
「なに?」
「俺の仕事を言ってみろ」
「風紀でしょ?」
「じゃあ、俺がこの場にいる意味も、わかるよな?」
「えー…、あ、」
そこまで言われて、ようやく何かに思い至る卓磨。
「なるほど、誰かが制裁現場だと思って通報したのか!」
「思って、じゃなく親衛隊が一般人に絡んでたら基本制裁なんだよ…」
説明しただろうが、と腹立ち紛れにその頬をぐにっと引き延ばす。柔らかくて、とてもよく伸びた。
「大体、絡まれたら呼べっつったよなあ?なんで楽しくおしゃべりしてんだお前」
「ひゃっへいひえらええらいおー」
だっていじめられてないもん、だろうか。
ぐにぐにと卓磨の頬を引っ張りながら親衛隊を見ると、気まずそうに眼を逸らす。
どう考えても、絡んだ相手が卓磨でなければバリバリの制裁事案である。
これは、再度制裁や親衛隊について説明する必要がある。
「…関野。」
「ひゃい?」
「お前風紀室で説教な。」
何故か制裁される側が風紀室に連行される、不思議な現場となった。
お偉いさん:生徒会のアホボンボンの態度にブチ切れるも、とても美しい手書きの謝罪文を受け取り学園を見放さないでいる。
風紀委員会:持田が説教している傍らで、(持田、気を許せる相手が出来てよかったなあ…)とほっこり見守っている。




