ジン
リハビリで書いた小説です。
この小説は9割が会話で占めています。なので舞台は皆様が自由に選んで貰って構いません。(一部周りのことを言うときがありますが・・・)
なおこの物語はフィクションです。実際に存在する人物、地名、宗教、言語は一切関係ありません。
山に登るときはしっかりと準備をしてマナーを守り楽しんでください。
「あぁ、死んだな」
「あぁ、死ぬさ」
「あぁ、いきたかったな」
「あぁ、いくともさ」
「あぁ、願いは叶ったかな」
「あぁ、願いは叶えるさ」
――目標1、『悪友を誘う』――
高校2年、なんてことは無い大勢が普通の日常を送る、或いは終わり、始まるそんな日。何か違うことがしたかった。……変わりたかったのか?まぁそんな些細なことはどうでもいいんだ。
「なぁ、学校抜け出さね?」
「はぁ?いきなりどうした?あ、さては熱中症だな。救急車呼ぶか?」
「ちげーよ。何というか、面倒くさくなった」
俺が数少ない悪友に対して内心を吐露するとまるで猫がキュウリを見たような反応を返してきた。
「いや、お前……面倒くさくなったって……もうちょっとマシな理由があるだろ。体調悪いとか、親が倒れたとか、授業サボりたいだとか……ん?これは面倒くさくなったに入るのか?」
「俺に聞くなよ。なぁ、学校に隠れて原付の免許持ってただろ?アレでニケツして山行こうぜ、山」
「何故山になるんだ。来週の休み期間にキャンプに行くんじゃなかったのか?オジサン達、もう下見済ませてんだろ?」
「あんなちっぽけで山の麓にある整備されたキャンプ場じゃねえよ。もっとこう、心沸き立つような、全身が震える身の毛もよだつようなでっかい山にだよ」
「海でいいじゃねえか」
「海はダメだ。塩漬けになっちまう」
「魚好きだろ。塩ジャケとか特に」
「じゃあお前はミイラになりたいのか?」
「じゃあお前は一昨年の目標忘れたのか?」
「……知らん。誰だこんな窮屈な学校に入れた奴は」
「お前だよ馬鹿……そうだな馬鹿じゃないな学年6位のアホ野郎。中3になった瞬間、『俺は県で1番の学校に入る!』って言い出してクラスどころか学年から下で数えた方が早かった学力を『俺が悪いんじゃない周りが高すぎるだけだ!』と妄言を吐き出して学校全部巻き込んで本当に学校全体の学力を上げた超問題児……何キョトンとハトみたいな顔してやがる。お前だよお前」
「若気の至りだ。昔の歴史に名前を残している人も仰ったぞ『無知の知也』と。俺は知らないことを知っていたんだ。なら知っていることを知っている奴が上にいて当然じゃないか。……中学の校長からは賞状貰ったの知ってるだろ、何も問題じゃない」
「友人間で勉強会なら分かる。生暖かい目で見よう。だがな?クラスメイトの学力底上げをするので異常なのに何故学年全体が上がるんだ?何故後輩まで続くんだ?お前本当は何者だよ。今まで受け入れてたけど違ったわ、事の次第が大きすぎて飲み込めてないだけだったわ」
「全員と仲良くする必要はねえんだよ。用は縦繋がりだったのを横と斜めと曲線で繋いでやればいいんだよ。そしたら全部つながるだろ?」
「ヤベえ繋がり過ぎて塗りつぶしてるわ……」
「……んで、山に行かね?どうよ、そこんとこ」
「つってもな原付はニケツ禁止だし、そもそも学校を抜け出す意味がねえ。どうせ午前中で終わるじゃねえか、行くとしても放課後だろ」
「それじゃ意味が無いんだよ、分かってないなワトソン君」
「じゃあどういう意味があるのですか教授」
「ロマンさ、人はロマンを追い求めるモノだろ?」
「今追い求めるべきはロマンじゃなくて授業に対するやる気だろ。どうすんだよ今日の授業でテスト範囲発表するんだろ?」
「抜かりなし。既にお前には夏期講習の範囲全てを入れている。今度も満点取れるさ学年1位、いや、全国14位」
「おまっ、やけに夏期講習の授業が楽だと思ったらいつの間に仕込んでやがった!?」
「去年は真面目にやってただろ?その時に受験勉強つって渡したノート、アレに先生から教えて貰った高2の範囲を要所要所に仕込んでおいた。分かりやすかっただろ?」
「あのやけに難しい問題は応用問題じゃなくて先の問題だったのか!つかそれならこのサボりも計画通りってことじゃねえか……あー、もういいよ!お前の好きにしてやる!さあどこ行く?海か?川か?それとも街か?」
「山だ」
「山か」
「あぁ、山だ」
――目標3、『力試し』――
こいつは頭がおかしい、いい意味でも、悪い意味でも、いや悪い意味の方が大きいか?何でこんな鬱陶しいくらい燦々と照りつける太陽の下、延々と自転車で坂道を漕いでいるのか。やっぱり上がったのは学力だけで頭は馬鹿、バカのままなのじゃ無いのだろうか。ロマンを追い求めるのはいいが山にそんな建設的な事が転がっているのか?毒も転じて薬となると言うがキノコを採取して新しい薬でも開発する気か?用法用量は?そもそも成分検査は?実験は?いや、これは俺の方がバカなのかもしれない。コイツがそんなこと考えてるはずが無いだろ。俺らは一体何処の山に向かっているのか……。
「なぁ~、いい加減教えろよ。一体何処の山に向かっているんだ?」
「とりあえず大地の女神が囁く地へ」
「オーケー、やっぱり熱中症だな塩飴と水やるからそこの木陰で首冷やしながら寝てろ。今救急車呼ぶから」
「そういうお前は平気そうだな、暑くないのか?塩飴と水は有り難く貰おう。木陰で休憩だ」
「おう、お前がまだ常識を捨てて無くて安心したよ……学校サボることを1年前から計画してて山に行くのって常識外れじゃ無いのか?」
「俺に聞くなよ。ほら、塩飴よこせ水もよこせ」
「ほらよ」
「サンキュー」
「なぁ、学校サボる計画してたって事はこのあとの計画も有るんだよな?」
「一応あるぞ、ほら」
「やっと見せてくれたな……なぁ?これ10年後とか最後辺りに書いてないか?」
「バレたか」
「バレバレだ」
「まぁそうか、いいか?俺たちは10年後の5月を目標に世界の頂上、天国に最も近い地上を目指す」
「バカか?いや馬鹿だろ。つか何しに行くんだよ、用事も何もねえだろ?」
「お前馬鹿だなー、用事が無かったら外に一生でないのか?」
「馬鹿は手前だ馬鹿。極論過ぎて話にならん」
「ま、そんな先の計画は刷り込んでおくから手前のページを見て見ろ」
「刷り込むなコエーな……なぁ、何で就職情報が載ってるんだ?」
「給料良いだろ?それに都会だ、交通機関もある」
「あぁ、驚くほど凄いな。給料が日本円じゃないことも含めて」
「最低そこだ」
「最低でここか、最高は何処なんだ?」
「宝くじの1等を10000枚当てて山篭もりする」
「山篭もり以外最高なことだな、俺が悪かった。中間あたりを聞こうか」
「無い」
「は?」
「0か1、オールオアナッシング。ロマンだろ?」
「最低の基準がおかしいのはその所為か」
「まあ落ち着け、ちゃんと妥協も用意してある次のページを見て見ろ」
「あぁ、こっちは日本円だな。大都会の一等地にぶっ建ってる世界規模の企業だがな?給料はこっちがいいだろ、妥協どころか目標じゃねえか」
「交通が悪い」
「は?ここからだと普通に住める場所から電車使えるだろ」
「山が低い、距離が短い、オフィスの階数が低い。テイタンテイの3Tで妥協だ」
「贅沢な悩みだ」
「地球は贅沢なんだよ」
「俺ら、人間、アース、ノー」
「最低でも4ヵ国語は覚えるからな」
「聞けよ」
「二人で共通2ヵ国、それぞれ別に2ヵ国語だ」
「その心は?」
「コミュニケーション能力の上昇、及び現地における通訳の不在を想定、あと仕事で使う」
「最後の理由だけでいい気がするな。最高を一応聞いておこうか」
「39ヵ国語、48古語、方言213ヵ所、追加で15教典のネイティブだな」
「全世界の言葉全てと言い出さなかったことに安心する一方それ不可能だろ」
「お前と俺で21ヵ国話せればいいんだぞ?教典はマナーだ。方言は日本の比じゃないからこれでも絞って最高の値に入れてるんだ。あと古語は地方じゃ普通に使われてたりするから油断ならん」
「せめてガイド付けようぜ」
「ロマ―――」
「ロマンはもういい、それよか休憩はおしまいにしようぜ?」
「ほう?」
「流石に山に登ってみないと応えられん」
やっぱり俺もバカなのかもしれない。
――目標3.5、『最初の一歩』――
鬱蒼と茂る緑、鬱陶しいくらいの羽虫。悪友に今日の目的地を伝えたところ『何処が今日だ、夏が終わる』との言葉を貰ってしまったため県境にある少し大きめの山に妥協させられた。本当はこれで登れなかったら嘘と言うことでやめるつもりだったのだが……まぁ悪友が付いてこなければどの道不可能な事だったが。
「なぁ……少し待って……くれ……」
「はぁ……またか?」
「俺は……運動部じゃ……無いんだ……」
「登り始めの元気は何処に消えたんだよ」
「…はぁ…はぁ…そう言うが……乗り気じゃ無かった奴のセリフに聞こえないな……」
「今度お前とキャンプに行く奴は誰だよ。俺だろ?俺は山派なんだ」
「じゃあ……最初か…最初から…大地の女神…が囁く地に……乗り気でも良かったじゃ……ねえ…か…」
「アホかお前は、この山の何倍あると思ってんだ?」
「……俺は…1番目と6番目と最底辺……んん!俺は、最底辺までしか知らないからな。ここだとざっと10倍の差があるんじゃないか?1位様」
「残念だが単純な力では無いぞ山は、数が大きくなると乗算で増えていくような場所だ。規模だけだと400倍…いや、もっと違うかもな6位殿」
「なんだ、じゃあ登れるかもな…。ここが最底辺なら1位まで上がれるのを俺は知っている」
「ほざけ。この1位は1つの学校の1つの学年という場所の1位だ。お前も全国模試受けただろ、俺が14位でお前が47位。学校という場所が払われただけでこれだけ差がある。つまりここを登れても行けるのはお前の馬鹿な計算でも日本で14位までだ世界規模で見たら10000位も行けねぇよ」
「つまり、伸びしろはまだある、と言いたいんだな?分かった、俺がお前を世界一にしてやる」
「ほざけ。一体何年掛けるつもりだ」
「さて、な。10年は掛けてやる。登れぃ!この世の総てをそこに置いてきた」
「ハッハッハ、なら一緒に底辺を抜けないと話にならんな、休憩は無しだ。清流が涼しい、登るぞ」
「あ、待てって!おい!おーい!早え!早えよ!ああクソ!」
「清流越え、流るる水が消え。されど天はまだ。仙の世界は天の麓。ならばまずは人を越えてみようぞ。ってな」
「何処の詩だよ!聞いたことが無い、俺の知らない問題でもあるのか1位には!」
「知ってるか上ってのはいくらでも下を作ることが出来るんだ」
「何の含蓄も無いただの妄言かよ!?」
「喚くな吠えるな只人よ、先ずは仙の世界を目指すのじゃ」
「ならば聞こう仙人よ!我と貴公の差は何だ!たったの5しか違わぬでは無いか!」
「ああ!応えてやろう、只人よ!5を違えば島を越えられぬ!5は5じゃ!それを自分の尺度で図ろうなんぞ上など永遠に見えてこぬわ!」
「あぁ、もう畜生が!救急ヘリの準備はいいか!?いいか!?俺は怒った!全力でいかせて貰おう!」
「ならばまずは目の前の登りからな?学校で1位にも慣れないやつが世界規模で通用すると思うなよ?」
「部分じゃ同列になったときあるだろ!0って!」
「問題が限られているのが悪い!限られた中の0じゃ計ってないのとおなじだ!」
「ああ言えばこう言うやつだ!」
「こう言えばそう言うお前に言われたかねえよ」
「ほら差が縮まった!ざまあみろ!」
「馬ー鹿!高さを考えろ高さを!山は1の差が10なんだよ!」
「1はなにかけても1だろ!」
「これは1.6は違うがな!」
「そう言えば!」
「ああ言えば!」
「「こう言うやつだな!」」
――目標4、『最初の登頂(妥協)』――
鬱陶しいくらいの纏わり付いてくる虫と緑。幸いにも緑の長いのは出てこなかった。巫山戯た言い争いをしながら登っていった山。最後は持ちつ持たれつで登っていった。途中の望遠鏡で覗いたアパートの1室の着替え始めか終わりだったり、それをつい口から漏らして奪い合い妥協で一緒に覗いたら見る場所が変わっててオッサンの立ちション姿だったり、疲れすぎて座ったらケツが濡れてそのまま水遊びに突入したり。一つの場所で時間を掛けたりしたが山頂の看板を見ることが出来た。
「着いたな……」
「着いた……」
「俺の……おかげ……だろ?」
「いいや、…俺のおかげだ……」
「「………」」
「そう…か…」
「そう、さ」
「「………」」
「ふぅ…」
「はぁ…」
「ここにも望遠鏡、あるぞ」
「また覗く、…か?」
「オッサン…を…?」
「バカか…そんなんじゃねえよ…」
「じゃあ、何だよ……」
「目の前に、見えるあの、憎い山をさ…」
「ああ、高いもんな、ここ、より…」
「たっく…俺は見るぞ…」
「俺は下を、見ている……上は飽きる物が多そうだ…」
「なら望遠鏡は無しだ」
「いいのか?せっかくここまで、着たのに…」
「いい、俺は上を見たいが横にその上がいるのも、楽しいモノさ」
「ハッ、山は居るんじゃなくて有るんだよ」
「いいや、いるね。いいからお前も下じゃ無くて横を見ろ」
「何も無いな」
「いいやいるしあるさ」
「何がだよ」
「ロマン」
「お前か?」
「言ってて恥ずかしくないか?」
「言わせたようなもんだろ?」
「…クッ、アッハッハッ!」
「何だよ、クフッ、ハハハッ!」
「いいか!10年、10年だ!2人で見よう!横を!今より無の境地を!」
「無の境地って何だよ!見るのは大地の女神が囁く地じゃないのか!」
「それは下になる!いいか上に行くんだよ!誰かの言葉さ!上は下を作れる!」
「なら俺たちは何だ!神か!」
「いいや、その時はまず、仙人だ!そしたら次だ!まだ上がある!」
「馬鹿か!仙人は人の限界超えてるだろ!」
「バカはどっちだ!?神なんだろ!じゃあ人じゃねえ!最終目標をここに追加してやる!」
「……これこそ馬鹿だ!本物の大馬鹿だ!だけどいい!すっげえいい!いい!目指そうじゃないか!確かにこれは仙人にならなきゃな!」
「そうさ!誰かが言った!仙は天の麓也、と!なら、その時は天に登ろう!」
「言ったな!キチンとのぼるからな!?そして登ったら下りなきゃ登ったことにしてやらねえからな!」
「登りっぱなしは無しか!夢だな!追加してやる!」
「いいか!ここは最底辺だ!」
「最高だな!後は登るだけ!」
「お前が俺を1位にしろ!」
「ああ!してやる!今度は全部じゃねぇ!お前を1位にする!」
「ああ!そしたらお前も1位になれ!」
「ああ!分かった!でもな1位は下を作るんだ!」
「ああ!知っているさ!じゃあこれは知っているか!」
「なんだ!言ってみろ!」
「横を見ればいいんだよ!」
「なるほど!馬鹿だ!」
「ああ!馬鹿さ!」
「クククッ」
「ハハハッ」
「いいか?」
「いいさ」
「「ロマンだ」ろ?」
いや、俺の方がバカだったわ。
――目標55、『国際交流及び人脈形成』――
あぁ、やっぱり俺は見る目があった。これだけは俺の最高の能力と言ってもいい。馬鹿な俺にバカに付き合ってくれる悪友。アレから高校を卒業して大学に入学した。ここまでは順調だ。何せお互い既に基礎2ヵ国語と7カ国語は話せるようになった。体力も付けている。残り17ヵ国語は単語を覚えればギリギリ間に合うだろう。しかしやっぱり大学はいい、授業に出て試験、レポート、課題、これをこなせば後は簡単な実技で終わる。一番いいのは席が自由ということだろう。悪友と一番前の端を陣取り講義と共に内職をしている。マルチタスク能力が鍛えられる……時々日本語以外で質問に応えてしまうのは愛嬌と言うことで許して欲しいところだ。
「なー、頼むよ!いいじゃんか、夏期休暇くらい羽目を外して旅行くらい!お前ら二人とも外国語ペラペラじゃないか~」
「断る。来年なら予定を入れとくって言ってるだろ。これでも予定は詰まってるんだ」
「何があるって言うんだよ~」
「留学」
「お前ら正気か…?ウチの大学の留学先って超難解らしいじゃん……」
「正気もなにも俺はこのバカに勝手に申し込まれて次いでのように逃げ道を塞がれただけだからな?」
「お前……鬼か……?悪魔か……?」
「そんなこと言われても既に正規の手続きで受理されてもう出発するだけだ」
「あー……それで何処に留学するんだ?」
「それがなどうもコイツとほぼ逆方向らしい」
「は……?お前ら仲良し2人組が別々の場所?顔を合わせたくないくらい喧嘩でもしたのか?」
「しとらん。同じ場所に留学しても地方の事は広く知ることは出来ないだろ。何だったらお前も一緒に別の場所に留学するか?一つだけまだ期限内だぞ」
「留学内容は…?」
「ただの文化交流だ。日本の看板背負って行くだけのな」
「壊すぎんだろ…その留学先が残ってる理由は…?」
「治安の問題だと思う」
「確かに隣の国で問題が発生してるな。まぁ安心しろ英語、西語、葡語のどれかが話せれば何とかなるだろう」
「うへぇ……ちょうど俺のギリギリ話せる辺りが怖い……」
「旅行にはちょうど良いだろう?」
「俺は夢の国に行きたいんだよ~……金髪の美人さんとか幼女見てみたいじゃん~、絶対カワイイし見とれるって!」
「美人にカワイイと思い幼女に見とれるのか……」
「変態だな」
「「「うわぁ~……」」」
「おいこら!違うからね!クラスのお前らもこいつら誘って海外旅行行きたいって言ってたじゃん!今俺に嫌われて得無いでしょ!?」
「ま、まぁ…旅行ならコイツか俺のどっちかの留学先に旅行に来れば休みの時くらいは現地を案内できるさ。……多分?」
「それくらいはしよう」
「よーし聞いたか皆!今からグループ分けしてこいつらの留学先に旅行に行くよ!通訳代が浮いて遊べる!」
「ナイスー」
「偶にはやるじゃん」
「ッシャオラ!待ってろ外国美少女!」
「金髪色白イケメン……」
「……お前ら流石に欲望に忠実過ぎないか?」
「俺に感謝してよ~!」
――目標13、目標25、目標421、『言語の習得』『就職』『荷物搬入の確保』――
大学は順調にいっている。俺とコイツが目標にしていた39ヵ国はもうすぐ終わる……と言うかここまで来ると地域ごとの意味を覚えるだけになってくる。発音の違い、音の速さ、単語の意味、これらが少し違うだけで全く違う意味になるので最近は面白さが増してきた。しかし、だ。このバカは一体何に取り憑かれているのだろうか。中学のあの日、何を思い学校を揺らし、高校のあの日になって山に、『大地の女神が囁く地』に行くと言いだしたのだろうか。ただ確かなのはコイツと俺が同じくらい馬鹿で、それぞれもっとバカなのだと言うことだろうか。あの時コイツが言った『無知の知也』ならば何を知らないのか知っている、返せば知らないことも全て知っているのだ。知らないことは分かっているならば後はそれを理解すればいい。言葉にするのは簡単だがそれを実行するのはおかしいのではないだろうか?もう正確な順位は分からないが今定規があったらコイツは俺の、俺たちの遙か先に居て一周回って俺たちの下にいるだけだったのでは無いか。最近はそんなことを考える。それでも、まぁ、コイツと『大地の女神が囁く地』を行こうと思ったのは、確かにロマンがあるからだろう。
「こうしてお前と同じ外国に来るのはいつぶりだ?」
「去年の冬以来だな。あの時の山は死ぬかと思った」
「あぁ、あれか……記憶から消したくて消してたわ……」
「あ~…思い出話もいいけど、何で俺がここにいるのかな~って、聞いてもいい?」
「言っただろう、来年なら予定を入れておくと」
「俺とコイツが一緒に旅行に行くのは高校以来なんだよね。後は全部訓練として山に行ってただけだよ」
「いや、別にそれは聞いてないよ……何でここ、平気なの……?寒くない?本当に夏?」
「冬着を持って来いと言っただろ、こっちは今冬だ。季節の変わりくらいしっかり覚えておけ」
「あぁ、俺とコイツは普段から高所とかにいるからね、普通より平気なんだ」
「……暑いところはダメな人なの?」
「そんなことないね、いつも日本にいるじゃん。後、山上ってると普通に汗かく」
「俺がおかしい……の、か?」
「ああ、お前がおかしい」
「いやいやいやならクラスの誰も居ないのは!?」
「お前はあと6年と少し後に『大地の女神が囁く地』に連れて行くからなその準備だ」
「は!?聞いてないよ!?」
「今言った」
「あーすまんな、コイツの事後承諾は何時ものことだから。不可能は言わないから安心して」
「事前承諾もなにも無いな!?あそこは行ったら最後そのまま天国じゃん!いやだよ!?俺死にたくないよ!?」
「安心しろ、お前は麓までだ。流石に荷物が多くてな、麓までの荷物運びだ」
「……それならまぁできる、かも…?あれ麓って言うなら現地でタクシーとか車借りればいけるんじゃないの?」
「何言ってるんだ麓は3000mだぞ行きと帰りがあるんだ2ヶ月間以上もレンタルしてたら窃盗容疑で警察が出てくる送迎役だ。安心しろ流石に仕事の休暇までは用意は確約出来ないが旅費は俺が持つ。報酬も出そう、会社に直接。日本の企業なら『大地の女神が囁く地』という箔はまだ少ない。売り込みのチャンスだ、登山状況、天候、登頂記録を送る。価値の分かるところに持って行け、世界史は無理だろうが日本史には載ると思うぞ」
「3000mって日本超えちゃうよ!つか企業に手が出せるってお前何者だよ!?」
「失礼な、俺は各国を渡り歩いているんだぞ。それなりに顔も広い」
「俺からもお願いするさ、2人分の登頂記録、補佐って十分売り込める」
「どれくらいの企業までなら手が出る……?」
「そうだなぁ、今俺がこの13社に内定貰ってる」
「俺が68社だ」
「は!?は!?もう就活終わってんの!?つか68!?」
「68の内63社は外国の企業だがな、目標のところからはまだだ」
「俺は先に目標の企業から内定貰ってるから13社なんだ」
「なぁ~俺にも内定1つ分けてくれない?」
「いいぞ、紹介も歓迎すると言ってくれたところもあるからな」
「おぉ!何処!?何処何処!?」
「9ヵ国語必須という条件で1社、日本だと外国の文化に明るかったらいいというところが1社あるな」
「9ヵ国……俺4ヵ国語だけどー……無理だよね……日本のところは?」
「正直ベンチャー企業だからお勧めはせん」
「すまん、俺は内定の紹介は持ってない……代わりに人事部の人の知り合いなら6人ほど、全部外国だ」
「普通に就活するのでダメそうなときはお願いします」
「よし、じゃあ引き受けてくれたところで肩慣らしだここ登るぞ」
「ここはちなみに何m…?」
「たったの2000だ」
「死!!」
――目標2、『大地の女神が囁く地、登頂(妥協)』――
「本日の天気は吹雪のち快晴、進路に大きな変更無し。順調だ。ただ久しぶりに心細く感じるときもある。ここまでの高所は十数回しかないからその所為でもあると思っている。ああ、大丈夫だ。目標は見失っていない。ああ、ああ。大丈夫と言った、心配ない。」
本日の天気は吹雪だ。テントの骨組みが軋んでいるのが怖いな。おい、お前は呑気なものだな。こんな時に何書いているんだ?ああ?手記?いつからそんな洒落たことするようになったんだ?あ、おい!隠すなよ!いいじゃねえかケチイ奴め…。ほら!ほら!ってオイ大丈夫か!?ほら!俺が支えてやるからお前は少し座ってろ!いいから!遠慮すんなって!ああもう!膝カックンするぞ!…よし!
「本日の天気は3日ぶりの晴れだ。ああ、冬眠に失敗して餌を探して見つからず穴蔵に戻った熊の気分だ。死んでなんかいない。目標はもう見えている。休めだと?馬鹿だな、お前は。やっぱり1位と違うか。ッハ!分かっている。ただ休むのは無しだ。お前はも行ったとき無いだろうから分からないと思うが山の1は10は違う。休んだら逆に死ぬ。ゆっくりと確実に行くからな。天気が良ければまた明日連絡する」
本日の天気は晴れ、俺のおかげかな?はぁ、しっかし本当に寒そうだな。おっとそうだなまだ上を向いてなきゃいけねえよな?ああ、でも興奮するな!もう少しで高校の時の目標が達成するな。心配するな。キチンと覚えてるよ。だけど別に俺は今回じゃ無くてもいいんだぞ?いや、そう言う意味じゃねえ。怒るなよ…。確かに10年後の5月って言ったが既に10月だ。正直来年チャレンジするべきだと思うってるよ俺は。…いいよ。分かった。これ以上延ばしたくないんだな?全く。ほら久しぶりに本気出すぞ!あ、今回は補助ありだからな?ほら、酸素ボンベ。…おっ!生き返ったじゃねえか!んじゃ、行きますか。最初のロマンを見に、さ。
――目標2.1、目標2.2、目標2.4、目標2.5、『無の境地を見る(妥協)』『仙人になる(妥協)』『悪友を1位にする』『ロマン(妥協)』
目標420、『悪友を連れて行く』――
「……ふぅ」
「オイコラ!明日連絡するって言って連絡無かったから死んだと思ったぞ!?」
「あー…悪い」
「それだけ!?他に無いの!?と言うかあの距離で今連絡してきたってきとは―――」
「……ああ、だが少し待て。今日の報告からだ。昨日の天気、快晴、本日の天気、快晴。確かにここは大地の女神が囁く地だ。ただし、それ以上は行くなってな」
「なぁ……死んでるんじゃないよね?俺、幽霊と通話するの嫌だよ?」
「ああ、大丈夫だって言っただろ。ただいままでの目標を整理してただけだ」
「それじゃあやっぱり今!?」
「焦るな。順調がある。まずは、悪友を1位にしてやらないとな」
「……やっぱりお前はおかしいよ」
「……ああ、知ってる。だがあの時目標に書き込んだ、この最初のノートに」
「だからって、人を一人運びながらそんな場所まで行くなんて!」
「そんな場所って言うな。一応ここ、世界中の人が夢見る所なんだぜ?」
「あのなあ!だとしても、だとしてもだ……!………火葬したあとでいいじゃんか!わざわざ遺体を冷凍保存して運ばなくたってさ!」
「馬ー鹿、それだとアレだ。目が無くなるだろ?言ったんだよ、横を見るって」
「……無の境地だろ?無なら目が無くても見れるんじゃないのかって言ったよな?」
「アッハッハッ、ロマンだ、ロマン。とにかく登頂はまず悪友からだ。これ記録しようとしてカメラ設置するのに1日かかったんだこれ以上遅くなると本気で怒られかねない」
「誰が…!誰がお前を怒れるんだよ!本当ならあと3年、いや、サポーターを雇えば良かった!」
「雇っただろ、お前を」
「俺は途中までだ!」
「あー分かった分かった。黙って死体運ばせて悪かったって最初の報告の時言っただろ。後すでにカメラ回してんだ。ほら、ドンっと」
「お前は友情が厚いのか薄情なのか分かったもんじゃ無いよ……。そこまで運んでいてそんな雑に置くなんて……」
「そう言うなって。うぅ、寒い寒い。これで悪友は1位だ。んじゃ俺もっと『始まりの一歩』と」
「なんだよそれ……。始めの一歩、もしくは終わりの一歩じゃないのか?」
「違うな。これで俺は仙人だ、悪友は先に死んで仏になったからな。また俺は最底辺で悪友を押し上げながら天の山を登らなきゃならない」
「馬鹿だよ、お前」
「バカで結構。世界一やロマンなんてバカじゃ無いと出来ないぞ?」
「……何はともあれおめでとう。これでお前は、お前らは歴史に残る」
「ついでに調べたらお前もな」
「全くだな……!」
「なあ」
「なんだよぉ……!」
「何そんなに涙声なんだ?」
「うるさい馬鹿!お前は泣いてんじゃないか!」
「は?……え、は?……え!?ちょっ!見るな見るな!」
「カメラ越しにネットあれば全国どころか全世界に回ってるの忘れてんじゃないの?」
「うっわ…うっわぁ……ちょっとまて迎え来るの1日半ほどまて。俺も仏になる」
「断る!いいからお前、早く下りてこい!」
「ちっ……しょうが無いな……。じゃあ、またな悪友。精々お前は下を見るのをやめてしばらく横を見ておけ。早くて半年で迎えに来る。流石の俺も仙人になったばかりで疲れたんだよ」
――目標2.3、目標2.6、『下りる』『更に登る準備』――
手記、2533日。
今日の山は少し荒れてるな。あの時ほどじゃないが。
『大地の女神が囁く地』を登頂後、初めての荒れた天気だ、行きとは大違いだな。さて何時ものように俺の意思を書いておくが決して俺は悪友を諦めたわけではない。もう一度戻り連れて帰る。俺が死んだら俺の子孫で悪友を連れ戻す意思のある奴はこの貸金庫に入っている資金を使って確実に悪友を下ろせ。暗証番号は『*********』だ。もちろんお前が使ってもいいがその場合はこの金を下ろして15年後までに悪友が下ろされなかったら別の金庫に預けた資金を使って世界中のナニかがお前の命を奪う。あぁ、嘘じゃないぞ?残高確認したなら俺のベッドの下にある書類を書いてある場所に見せれば10世紀は保証してくれるらしい。よってこれを見たら―――馬鹿だったわ。死んだらこの手記は誰にも見られねえじゃないか。まあ、この日だけは俺のサポーターに送っておくから安心しろ。続きだが俺の子孫は10世紀後までに悪友を下ろすという使命が課せられた。すまんな。さてそろそろ最後のページも終わりそうだから書き終えに書いておこう。
「……早く死にすぎだ馬鹿っと。さてこの手記帳、10年は持つはずだったがおかしいな……まだ6、7年目だぞ?書きすぎたか?…一応表面には住所書いておいたし、日本を示す座標、単語、モールス符号も書いた。大丈夫、何も問題ない」
本当か?
「ああ、大丈夫……?駄目だ誰に返事しているんだ俺は。…酸素ボンベの残りは…これは残りで…うん、1日半はフルで吸っていても問題ないな…。つか吹雪強くなってきたぞ!オイコラ!悪友を吹き飛ばすんじゃねえぞ!いや、だからと言ってテントを破壊しようとするな!うわっ、ちょ。また押さえるのか!?」
全く、ここまで連れてきて置いて自分は昇るのか?
「昇ってたまるか!ここで絶えても1位じゃねえ!日本でこの場所じゃ3位かもしれないがな!」
馬鹿だなお前は、ここは世界中の人が夢見る場所だろう?じゃあ世界規模だ。
「うっそだろ、おい悪友!お前も……お前も……」
『何だよ、途中で止まって』
「うわっ、キモッ!?つかこっわ!?俺死んだ奴の声が聞こえるんだが!?」
『そりゃあお前。仙人だからだろ』
「ハッ!?っじゃねえ!確かに人間超えて天の麓にたどり着いたかもしんねえけど!今じゃなくていいじゃん!こんなクソ吹雪の時に!縁起でもない!」
『相手仏様だぞ。縁起物だ』
「じゃあこの吹雪止めろ」
『ごめん、無理。現世にとどまってる俺じゃ徳を行きで使いすぎた。これ以上は10世紀も持たないわ』
「10世紀も持つならいいじゃねえか!止めろ!」
『半秒も止めれないけどいいのか?』
「どうやって今まで止めてたんだよ!」
『そりゃお前、徳を使って弱めてただけだよ。あ、弱めるのはもう無理だぞ?あれ徳を100世紀現世に留まるだけの分は消費する』
「この10分の1止められたら普通にいいだろ!?」
『お前、そりゃアレだ一千億の商品をこの10分の1だけ買うので値段も10分の1にしてくださいって言うのと同じだぞ?』
「おっとそれはいけねえな!つか天候は商品なのか!?」
「まあカタログ通販みたいな感じだよ」
「うお!?更にはっきりと聞こえてきた!?」
「あぁそれはアレだ。お前が天の山を凄い勢いでのぼって俺と同じくらいまでになってきてるからだろ」
「酸素ボンベ!酸素ボンベ!」
「まあ1回昇ってくれたら後は下りれないから楽なんだけどね」
「下りるよ!つか悪友!何お前下りれないことに納得してんだ!?下りるまでが登山だろ!?」
「いやぁ、この山を見てみたら分かると思うけどね?それはそれはもうここの頂上とは比べものにならないくらい高いんだ。あの地球で知られてる神様、仏様いるじゃん?あの方たちもまだ第2ベースキャンプ辺りなんだよ?」
「嘘だろ!?1回途中下山でいいじゃないか!」
「それがさぁ、ここのぼる前に決めたルールとか破ると2度と登れないんだ。一発昇天あの世行き。つう訳で俺はお前が決めた途中下山はロマンが無いから禁止というルールもあるんだ」
「なるほど、そりゃだめだ!つかお前はいまどの辺りにいるんだよ!?」
「あ、そんな叫ばなくても聞こえるよ?いま地上1000m辺りから第3ベースキャンプまで体伸ばしてる」
「叫ばないとやってられねえんだよこんな死人と話す死地は!つかお前体伸ばしてるってサラッととんでもないことしてるな!?有名人たちでさえ第2なんだろ!?何超えてんだ!?」
「おう、最速らしいぞ?ついでに体にロープウェイごとくゴンドラが回っていてさ絶賛徳を溜めている最中、あの方たち徳払いがいいからずっと居られてるんだよね」
「なんか悪友がテーマパークになってる!?」
「ただもう少し早く伸ばしてくれって頼まれちゃってさ。困るよね、現場の意見ガン無視は」
「天の世界もそんな社会かよ!?つかマジで死ぬホントに死ぬ!?俺が徳を払って天候買っちゃ駄目なのか!?」
「やめた方がいいよ。俺も死んでから溜めた方が多いくらいだし、今1円玉が2枚あるかどうかって考えた方がいいよ」
「なら無理だ!?俺はお前の成り上がり具合がヤバいと思ったよ!」
「なぁ?」
「どうした!?こっちは余裕がない」
「いや、天気予報。大地の女神さんが言うには後1時間程度だってよ」
「よし、余裕が出てきた。いや、今更ながら久しぶりだな悪友よ。悪さしてたか?」
「俺はお前が山にいるときは大体見てたからそこまで久しぶりの感覚ないんだ。ま、久しぶりバカ、むしろ神様仏様相手に善行しまくりで徳が溜まっていってるよ」
「ほう、じゃあ聞くが俺、天の山が見えないんだが?」
「やっぱりお前馬鹿だわ、お前は山の麓で足下見て下にある石ころを山って言ってるものだぞ?徐々に感じていかないと死ぬぞ」
「俺仙人……」
「まだ人じゃないか」
「ぐうの音も出ない」
「クッ…」
「フッ…」
「「アハハハハハッ」」
「変わらないな悪友よ!」
「お前も変わらないなバカ!」
「変わってたまるか!下りるまでが登山だ!」
「今は下山中だがな!」
「違いない」
「さて俺はそろそろ戻りますか」
「戻るって何処にだ?」
「決まってるだろ?何処かのバカに下を見るなと言われたんだ、しばらくは横を向いているよ」
「そうか、待ってろ。直ぐに上を向かせてやる」
「楽しみだ。なぁ?」
「何だよ」
「夢は叶ったか?」
「あぁ、叶えるさ。まだ途中だ、途中下山はロマンがねぇ。なぁ、逝くのか」
「あぁ、生きたかったさ。だがまだ逝くには早い。途中だ、まだ登っているよ。なぁ、死ぬのか?」
「あぁ、死ぬさ。だがまだ終わってない。途中だ、また下りた後に登るさ」
「あぁ、そうか」
「あぁ、そうだ」
「……2回目の別れだ。涙は要らない」
「…いるのはバカと友と山でいい」
「3回目はどんな目標かな?」
「そうだな、……望遠鏡で覗こうか」
「着替えをか?」
「バーカ、下をだよ」
「バーカ、上を見ろよ」
「上は飽きるんじゃないのか?」
「しまったな。下を向くなと言われたんだ」
「ならそうだな」
「「横を見ようか」」
――目標2000、『人の限界』――
「久しぶりの地上だ」
「…お帰り。馬鹿」
「ただいま、さていい物が見れた。次に行くとしようか?」
「忙しい奴だね、お前も。次はどんな馬鹿をするんだ?」
「そうだな、まず俺は世界一になった。そんな俺が更に上に登るには周りに登って貰わないとな」
「何する気だよ……」
「とりあえずここに新しい目標を書こう」
『目標2001『人類の限界』』
「なにこれ?」
「ああ、俺が人の限界なら人類全てを限界まで持って行く。そして俺より上の奴を目標に俺は更に登る」
「…馬鹿だな」
「ああ、バカさ」
「それで、計画の内容は?」
「昔、決めた名前があるんだよ」
「内容は無しか」
「『ジン』だ」
「ジン?」
「意味は―――」
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