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第6話 『妄想』

 あー、もう好き好き日村君だーい好き!


 どこが好きかって訊かれたら、自分でも答えるのに困るけど。顔かな? 声かな? 性格かな? 運動神経が良いところかな? うーん、とにかく全部ひっくるめてあたしは日村君のことが大好きなの!


 でもね、日村君には最近付き合いだした女の子がいるの。水野華憐さんっていう、むちゃくちゃ可愛い子。いいとこのお嬢様っぽい気質は、女のあたしでも目を奪われるほどに美しいわ。いったい、なに食べたらあんなにも綺麗になれるのかしら?


 そしてそれがもうすっごくお似合いなのよ! 美男子と美少女の交際は、それだけで華があっていいわ。付き合いだしてから二日で学校中に知れ渡ったくらいだしね。あー、あたしもあんな美人に生まれたかったな。あたしなんかチビだし、成績も良くないし。本当に人間が平等に生まれないことを嘆くわ。


 日村君は水野さんのどこに惹かれたんだろう。やっぱり顔なのかな? それとも、誰にでも優しく振舞うあの性格なのかな? あたしも的確に努力すれば、まだチャンスはあるのかな? それとも積極的にアピールすればウザがられるかな? 嫌われるのは嫌だ。


 もし水野さんから日村君を奪い取れたらどうしよう。まずいっぱいお喋りするのはもちろんとして、ちょっと雰囲気のあるお店にも入ってみたいな。やっぱりお喋りはなにか食べてる時が一番よね。間を繋ぐ気の利いたトーク力があたしに備わっているかは微妙だけど。


 あら、いけない。まだ付き合ってもいないのに、変な妄想してたわ。まるで取らぬ狸の皮算用。あたしの一番嫌いな言葉。それに高校生の身分で雰囲気あるお店なんて、とてもじゃないけど費用がないわ。焼肉屋の食べ放題が限界よ。


 もうあたしったら何言ってんだか。さ、もうすぐ夕飯の時間だし、妄想はここまで。


 けど、どうしようかな。告白……。

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