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第94話 日課の鍛錬

「フハハハハハハハハハハ!! さあ来いシエラ!!」


 シエラは今、父カリスと実戦の訓練をしている。


「はあああああああああ!!」


 シエラとカリスは互いに拳と拳をぶつけ合っている。

 実家に帰った時は父カリスと実戦をしたりして己を鍛えている。

 

「良いぞシエラ!! もっとだ!!」


 カリスはシエラの攻撃を余裕で防いでいる。

 カリスの実力は魔王にも匹敵するほどであり、かつてレイアと戦った時もレイアを楽しませたほどの実力者である。


「シエラー、頑張ってー」


「そこですお嬢様!!」


「お嬢様ファイトー!!」


 セイラ達は外でお茶を飲みながらシエラの応援をしている。

 ちなみにセイラも魔法の腕は確かでありリズやゼナからも一目置かれている実力者である。


「どうしたシエラ!! もう終わりか?」


「そんなわけないじゃないですか!! この程度で終わったらレイアお姉ちゃんの妹は名乗れませんよ!!」


「そうこなくてはな!! ヌハハハハハ!!」


 シエラとカリスはなおも拳をぶつけ合い戦うのだった。

 それからどれくらい経ったかはわからないが二人は戦いをやめる。


「こんな所でいいだろう、シエラまた強くなったな」


「それはお父様もですよ、レイアお姉ちゃんに負けてからずっと鍛錬してるから私が鍛錬してもお父様には中々追いつけませんよ」


「ハッハッハ!! まだまだ我が娘に負けるわけにはいかぬからな」


 カリスは高らかに笑う。

 レイアと戦った時にはレイアを楽しませたがほんの少しだけ本気を出させただけで圧倒的に敗北した事をきっかけに自身も鍛錬を再び始めたカリスは現在魔王になってもおかしくないほどにまでなっていると思われる。

 さらにシエラだけでなくレイアシスターズ達の相手もしている。

 

「お疲れ様です、お嬢様、旦那様」


 リルとメルは実戦訓練を終えたシエラとカリスにタオルを渡し二人は流した汗を拭く。


「お疲れ様、シエラ、お父様も言っていたけどまた強くなってるわね」


「はい、ですがまだまだですね、魔法もお母様には追いつけませんし」


「ふふ、私もまだまだ娘に負けるわけにはいかないからね」


 笑いながらセイラは答える。

 彼女もまたレイアに鍛えられて強くなるシエラを見て自分も娘に恥じない母親で居続けるため魔法の鍛錬を続けていて今ではシエラの相手だけでなく魔法が得意なレイアシスターズ達の指導もしている。


 さらにリルとメルも使える主達が強くなるなら自分達も強くなるべきと判断し今ではこの家の者全員が鍛錬をして相当強くなっている模様。


 修行好きの戦闘民族か。


「そうだリルさん、セレナちゃんを呼んでもらって良いですか?」


「お嬢様、セレナを連れて行くのですか?」


「はい、レイアお姉ちゃんがリズさんを頼って連れて行くように、私にとってはやはりシスターズ最初の妹であるセレナちゃんが頼れると思いましたので」


「畏まりました、すぐにセレナに連絡をしてきます」


 そう言ってリルは急ぎ足でその場を後にする。


「お嬢様、セレナは今こちらに戻って来ていますのでおそらく夕食の時間にお戻りになるかと」


「あれ? リルさんさっき行ったのに五分も経っていない気が」


「メイドたるもの迅速に行動する、リゼさんから教わったものですので」


「迅速過ぎません!?」


 リルもメルもシエラがレイアの特訓を受けていた時二人もメイド長のリゼと共に働きリゼからメイドとしてのあれこれを教わった事でメイドとしてのスキルも上がっている模様。


 そんなこんなで夜になり夕食の時間になる。

 今夜はシエラの休暇の最終日なので豪華な食事になっている。


「お嬢様、セレナが戻られました」


「わかりました、通してください」


「畏まりました」


 シエラに言われリルはセレナを連れて来る。


「遅くなり申し訳ありません、ただいま戻りましたシエラお姉様」


 レイアシスターズの一人セレナ。

 元は回復魔法が得意な修道女として生きていた人間の女性である。

 レイアシスターズ最初の妹だからか他のシスターズ達も唯一レイアとシエラ以外ではセレナを姉扱いしている。


「待ってましたよセレナちゃん、話は食事をしながらでも、さあ座ってください」


「よろしいのですか?」


「私が良いと言ったら良いんです、お父様もお母様も良いですよね?」


「ああ、もちろんだ」


「ええ、シエラの妹ですもの、私達にとっても娘みたいなものですからね」


 カリスとセイラも同意する。


「だそうですよ」


「ですが」


「セレナ、お嬢様が良いとおっしゃられているのです、断るのは失礼になりますよ」


「そうだよセレナ、お言葉に甘えれば良いんだよ」


「わかりました」


 リルとメルにも言われ、セレナは席に着くのだった。

 それから食事をしながらシエラはセレナにこれからの事を話す。


「と言うわけで、明日人間界に向かうので、セレナちゃん共に来てくれますか?」


「レイアお姉様のためならば断る理由はありません、喜んでお供します」


 セレナは即答でシエラと共に人間界に行く事を決める。


「ありがとうございます、さてと後は明日朝早く叔父様の所に行かないといけませんね」


「我が愚弟の所へか?」


 カリスがシエラに問う。


「はい、私がしばらくいなくなるので挨拶をしに行かなければなりません」


「シエラは律儀ね」


「ですが、困った事があるんですよ、前からですけど叔父様やその息子達が私が会いに来るとどこか恐れているんですよね」


 シエラは不思議そうな顔をして言う。 


「まあ、そうなのシエラ?」


「はい、しかも長男は相変わらず私の前に来るどころか引きこもりになっているんです、しかも私が来ると狂ったように暴れ出すとか」


「それは失礼な話だな、愚弟の所の愚息は一体シエラの何を怖がっているんだ?」


「それが全くわからないんですよ、前はあんなに私の事をいじめていたのに私にやられた時から引きこもって今に至っているんですよね」


「一体何が怖いのかしら、わからないわ」


 シエラ達はわからないと言った感じだった。


「そんなの簡単ですよ」


「「「?」」」


 リルの言葉にシエラ達は顔を向ける。


「お嬢様が奥様と同じように美しい大人へと成長したからですよ、まさかこんなに美しくなるとは思っていなかったので向こうも昔いじめていた分どう接したら良いのかわからないんですよ」


「そうですよ、向こうもいじめていた時はお嬢様はまだ幼かったから何とも思わなかったんですけど今のお嬢様は奥様と同じで美しい大人の女性になりましたから今までの事を考えて気まずいんですよ」


「なるほど、全く我が愚弟にも困ったものだな」


「まあ、可愛らしいじゃないですか」


「通りで私と会う時どこか落ちかない感じがしたと思ったら、そう言う事だったんですね」


 リルとメルの言葉にシエラ達は納得するが。


(多分、違うと思いますけど)


 セレナだけはそう内心で思っていたのだった。






 翌朝。


「では、いってきます」


「うむ、しっかりとな」


「体には気をつけるのよ」


「「いってらっしゃいませ、お嬢様」」


 シエラはいよいよ家を出発しカリス達から見送られている。


「セレナも頼むぞ」


「シエラをお願いね」


「セレナ、しっかりとお嬢様の役に立つのですよ」


「お姉ちゃん、セレナなら大丈夫だと思うよ」


「はい、頑張ります」


「ではセレナちゃん、行きましょう」


「はい、シエラお姉様」


 シエラは何もない空間に手をかざす。

 そしてそこから空間が歪みゲートのようなものが出てくる。

 そう、シエラは転移の魔法を使ったのである。

 シエラは父親の武術の才能だけでなく母親の魔法の才能もしっかりと受け継いでいるとレイアとの特訓でわかり、リズとセイラに魔法を教わりしかもリズの作った様々な魔法を取得するほどの才能を開花させたのである。

 それにより転移の魔法も取得したのであった。

 

「では、いってきます」


 そう言ってシエラはセレナと共に空間の中に入りレイアの城に向かうのであった。











読んでいただきありがとうございます。

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