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第93話 魔王の右腕シエラ

今回は、長めです。

 レイアの住む元の世界。

 ここは、とある豪邸。

 その豪邸には、一人の女性がいた。


「ふう」


 女性は、今汗を拭いている。

 毎日の日課として鍛錬を終えた後である。

 そして、私服へと着替えるのである。


「お嬢様、朝食の用意ができました」


 扉をノックしメイドが告げる。


「わかりました、すぐに行きます」


 女性は、答える。

 彼女の名は、シエラ。

 ヴァンパイア族の父とウィッチ族の母を持つハーフであり魔王レイアの最高戦力五大幹部の一人である。

 ヴァンパイア族とは、人間でいうところの吸血鬼であるが、人間の知っている吸血鬼とは、所々違うと考えた方が良いだろう。


「お父様、お母様、おはようございます」


 シエラは、両親に挨拶をする。


「ああ、おはようシエラ」


 ヴァンパイア族の男性、カリス。

 シエラの父であり、武術に長けた実力者である。


「おはよう、シエラ」


 ウィッチ族の女性、セイラ。

 カリスの夫でシエラの母であり、魔法に長けた実力者である。


 三人は、朝食を食べ始める。

 食事を終え、食後のお茶を飲みながらシエラが話を始める。


「お父様、お母様、急ですが明日には、ここを出ようと思います」


「おや、どうしたシエラ? 確か休暇は、まだあったと思うが」


「急な予定が入ってしまいましたのですぐにでも準備をしたいと思いまして」


「お前がすぐにでも行くと言う事は、レイア殿に関わる事だな?」


「はい、その通りです」


 カリスの答えにシエラは、頷く。

 そしてシエラは、レイアと通話した事を両親に話す。


「何とレイラ殿が人間界で子を産んでいたとは」


「はい、それにレイラ様の子が何者かに命を狙われているそうなのです」


「それでレイア殿がレイラ殿の子を守るために人間界に向かったと言う事か」


「ですが一人では、守るのに限界があると感じたらしく」


「わかった、みなまで言う必要は、ないレイア殿は、人員を増やすためにお前を呼んだと言うわけだな?」


「はい、その通りですお父様」


 シエラは、カリスの言葉に頷くのであった。


「うむ、わかったシエラ思う存分レイア殿の力になると良い、お前もそれで良いな、セイラ?」


「ええ」


 カリスの問いにセイラも頷く。


「シエラ、今のあなたに私が特に言う事は、何もないわ、しっかり自分のなすべきことを、果たしなさい」


「はい、お母様お任せください、この家の者として恥じない成果を必ず挙げて見せます」


「あらあら、頼もしいわね」


「ハッハッハ、それでこそ私達の娘だ」


 シエラのやる気ある宣言にカリスとセイラは、微笑むのだった。


「お嬢様、本当にたくましくなられましたね、私は、とても嬉しいです」


「そうだね、お姉ちゃん」


 シエラを見ていたメイド二人がそんな会話をする。


「リルさん、メルさん、私が何か頼もしい発言する度に毎度のように言わないでください」


 シエラは、恥ずかしそうに二人のメイドに言うのだった。

 彼女達は、シエラが生まれた時から仕えている双子のハーフエルフのメイドである。


「申し訳ありません、ですが私達は、お嬢様が生まれた時から見てきましたのでつい」

 

 メイドの一人が涙ながらに言う。

 彼女は、双子のハーフエルフの姉、リル。

 普段は、冷静な性格の持ち主だがシエラの成長を見る度に感動で涙を流す、涙脆い所がある。


「そうですよ、幼い頃のお嬢様を思い返したら今では、もうご立派になられて私もお姉ちゃんと同じで嬉しく思うのです」


 双子のハーフエルフの妹、メル。

 姉と違って明るく元気な性格であり、彼女もまたシエラの成長を嬉しく思い涙を流す。


「全く、二人共もうずいぶん前の話ですよ?」


 シエラは、困ったように言うのだった。


 ここで、シエラについて長いが説明しようと思う。

 シエラは、実は、幼い頃は、父と母の才能が受け継がれていないのでは、と思っていたらしい。

 そのため、学校でもいじめられ、不登校になる事が多かった。

 しかし、それでも両親も双子のメイドもシエラを見限らず愛情を持って接していたので、シエラは、何とか絶望せずに済んでいた。

 

 だが、それを良く思わない者がいた。

 それは、父カリスの弟である。

 弟は、父カリスが当主である事は、一応認めていたが、その跡継ぎのシエラが何の才能もないのに跡継ぎと言うのが気に食わず、自分の息子達の方が跡継ぎに相応しいと思い、カリスに反旗を翻そうとしたのだ。

 だが普通にカリスやセイラの方が実力は、上なので特にカリスは、問題ないと思ったが内部で裏切者がいて、そのせいでカリスとセイラは、危険な状況に陥ってしまうのだった。


 シエラは、この時自分に力があればとただ涙を流す事しかできなかった。

 だが、リルとメルと共に父と母を助けるため、魔王レイラの元に行き助力を求めるのだった。

 この時は、まだレイラが魔王だったのである。

 ここで、シエラは、自分の人生の転機ともいえる出会いをするのである。

 それは、レイラの妹レイアとの出会いであり、レイアによってカリスとセイラは、救出されるのであった。

 その後は、レイアによって厳しくも鍛えられた事で自分の中に眠っていた才能を開花させる。

 それからシエラは、どんどん実力を伸ばしていき今では、最高戦力五大幹部の一人であり、魔王の右腕と呼ばれる存在にまでなるのだった。


 具体的に説明すると凄く長くなってしまうため所々端折ると大体こんな感じでシエラの経緯についての説明である。

 ちなみに裏切った者は、レイアとレイラの父を裏切った配下の一人であったのだがレイアによって始末されたのである。


「とりあえず、今日は、人間界に行く準備に取り掛かりたいと思います」


「うむ、わかった、リル、メル今夜は、豪華な食事を頼む」


「「畏まりました」」


 リルとメルは、会釈をする。


「ところでシエラ、シスターズ達も連れて行くつもりなの?」


「はい、ですが人間界がどのようなものかわからないので、まずは、私と一緒に一人連れて様子を見ようと思います」


「そう」


 シスターズとは、レイアシスターズの事である。

 ここでレイアシスターズについても説明をしようと思う。

 レイアシスターズとは、レイアを姉として崇拝し、レイアに対して絶対の忠誠を誓った元人間の女性達である。

 人間だった時に酷い目に会った者、幸せな日々を理不尽に奪われた者、もう生きる希望も持てない者など、人生に対して絶望した人間の女性達をシエラは、見つけては、自らの眷属にさせ、魔王レイアのために動く者達として自身の配下に加えて行った者達である。

 ヴァンパイア族には、人間を同じヴァンパイア族にさせ自らの眷属に加える力を持っていてこれにより人間も魔族にすることが可能である。

 と言っても誰でも眷属にできるわけでは、なくお互いの同意が無ければ、眷属にさせる事は、できない。

 つまり片方が拒絶すれば、眷属にすることは、できないのである。

 シエラもこの力を持っていて、絶望しきった人間を見つけては、次々と眷属にし、レイアの為に動く配下にさせたのである。

 メンバーは、全員女性で構成されている。

 理由は、単にシエラが男より女の方がレイアの配下として華があって良いと思ったからである。

 ちなみに何人いるのかは、レイアも把握しきれていないらしい。

 なぜなら、シエラが任務とかで見つけては、勝手に増やしているからである。

 少なくとも、五十人以上は、いると思われるが今後も増える気がする。

 彼女達は、レイアとシエラを姉として崇拝しているのでレイアシスターズと名付けられている。

 以上がレイアシスターズの説明である。


「さてと、始めますか」


 シエラは、自分の部屋で人間界に行く準備をしている。

 

「それにしても、レイアお姉ちゃんも水くさいですね、言ってくれれば良かったのに」


 そうシエラは、独り言を囁くのだった。

 魔王レイアの配下は、レイアの事をレイア様と呼ぶが唯一シエラだけは、レイアお姉ちゃんと呼んでいる。

 その理由は、まだシエラが魔王軍に入る前にレイアに鍛えてもらった時にレイアの事を、厳しくも優しい姉のような存在に見えたので、そう呼ぶようになり、魔王軍に入ってからも、レイアが魔王になってからもそう呼んでいるため、他の配下達からは、レイアと対等な存在、魔王の右腕などと呼ばれ、いつの間にかシエラは、レイア軍のNo,2と思われている。


「さて、こんなものですかね」


 ある程度の準備を終えたシエラは、外に出て日課の鍛錬をするのだった。

 



 


 

 

 






読んでいただきありがとうございます。


しばらくは、シエラの話が続きます。

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