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第91話 思い知らされた事

本日、二話目の投稿です。

「何だ、その本は?」


 レイアは、ベールを封じ込めた松来の本が気になっていた。


「これは、私の意思で対象を本に封じ込める事ができる、私専用の魔道具と言ったところですね、ちなみに私の意思だけでしか解放もできません」


 レイアの問いに松来は、答える。


「その本には、今まで罪を犯した魔族や人間が入っているのか?」


「はい、我々のいた世界の人間や魔族がこの人間界の人間に何かしらの害を与えた場合、その者をこの本に封じ込めるのが私がこの人間界でしている事の一つです」


「ちなみにその封じ込めた者は、どうなっているのですか?」


 今度は、リズが質問をする。


「さあ、私にもわかりませんが刑期を終えた者を出した時、その者が確か何もない真っ白な世界で空腹も喉の渇きも起きず、年も取らないしかも自分で死ぬこともできないようで、何もかもが時間が止まったような感覚に陥って精神がおかしくなっていったみたいですね、ちなみにその者は、好戦的な性格でしたが出した時には、争いは、無意味だとか言って何か悟ったような感じでしたね」


 松来の答えに全員が息を呑んだ気がした。


「ちなみにこの本は、私が死んでも解放されませんそうなった場合、封じ込めた者達は、永遠にこの本の中に閉じ込めたままですので、もしもあなた方の知り合いや友人が封じ込められていた場合、私を殺さない方が良いですよ」


 松来は、さらに本について説明をする。


「でしたら、あなたを洗脳して本の中に封じ込めた者を解放させると言うのは?」


 フィオナが疑問に思った事を質問する。


「それもできません、何故なら私の()()()()()でしか解放できませんので、洗脳すると言う事は、本人の意思とは、関係なくなってしまいますので」


「なるほど」


 松来の説明にフィオナは、納得する。


「では、徳本さん、そろそろ戻って良いですか?」


「ええ、お疲れ様でした松来さん」


「では、皆さんも私は、これで失礼します」


 そう言って松来は、自分の部屋に戻って行った。


「では、イゴールさん私達も失礼しますね」


「わかりました」


「ありがとう、助かった」


「いえいえ、お気になさらないでください、これも私の仕事みたいなものですから」


「レイア様、理事長行きましょう」


「ああ」


 リズの転移魔法でレイア達は、理事長室に戻って行った。




~side 理事長室~


「しかし、人間界で迷惑を掛けた者がいるとは、思っていましたが、まさかあのような裁きをするとは」


「ああ、正直絶対人間界では、悪事をしない方が身のためだと思うな」


「そうですね、何もない真っ白な空間で何百年も飲まず食わずで年も取らずしかも自分で死ぬこともできないなんて地獄以外ないですね」


 リズの言う事にレイアとフィオナも頷く。


「それにしても、あの松来さんとかいう人、何者なのでしょうか?」


「そうですね、魔力は、感じましたがアレは」


()()()()()()()()()()()()()()()()()


 レイアの言う事にリズとフィオナは、頷く。

 魔族は、魔力を見分ける事ができそれが魔族の物か人間の物かを判断する事もできる。

 ところが先程の松来という女性の魔力は、魔族の物でも人間の物でもないとレイア達は、判断する。

 松来という女性は、一体何者なのだろうか。


「まあ、素性の詮索は、しない方が良いのかもな本人も話したくなさそうだったし、気にしないでおこう」


「わかりました」


 そう言って話は、終わりレイア達は、家に帰るのだった。




~side レイアの住むマンション~


「・・・・・・」


「レイア様、どうしました?」

 

 リズは、レイアに聞く。

 家に帰ってきてから、レイアは、何かを考えていた。


「・・・・・・リズ、聞いてくれるか?」


「はい」


 リズは、真剣な顔になる。


「僕は、今回の事で思い知らされた」


「思い知らされた? 何をですか?」


 リズは、レイアに問う。


「僕は、真理亜を守るために来た、最初は、僕一人で大丈夫だと思っていた今の僕は、強いから魔族など問題ないと思っていた」


 レイアは、静かに語る。

 そしてリズは、レイアの話を黙って聞いている。


「だが実際は、どうだ? 真理亜が誘拐され真理亜に怖い思いをさせてしまった、人間界の人間が、元の世界の人間より優れているからまさかそんな事するはずがないってどこかで思ってたんだ、そんな事ないのに僕は」 


 レイアは、悔しそうな顔をしていた。

 自分がありとあらゆる可能性を考えていれば真理亜が誘拐されるのを未然に防ぐ手段を考えたかも知れないからだ。


「リズ」


「はい」


「本当は、前からわかっていたんだ、でもどうしても認めたくなかったのだと思うでも、今回の事でハッキリした」


 レイアは、机を強く叩く。

 そして。


「僕一人では、真理亜を守り切れない」


 それは、レイアが言った弱音だった。

 

読んでいただきありがとうございます。

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