第6話 魔王は姉の子供に出会う
レイアは全力で姉の魔力を感じる場所に移動している。
リズが認識疎外の魔法を発動させた事により目立つような行動をしても人間界の者達に気づかれる事はない。
全力で走りやがて魔力を感じる場所に到着する。
そこには倒れている女の子に襲い掛かろうとする男の姿があった。
「おい」
レイアの声に気づいたのか男は振り向く。
「何だ、お前は?」
「それはこっちのセリフでもあるけどな」
男はレイアの姿を見て警戒する。
「ああそうか、お前もこのガキの命を狙っている奴か」
「狙っている?」
男の言葉に疑問の声を上げる。
「ああ、お前も俺と同じ魔族だろ? だが先に見つけたのは俺だからこのガキの命は俺のものだが」
魔族の男は魔力を上昇させる。
「邪魔するならお前から始末してやる、俺は女でも容赦しねえからな!!」
そう言って魔族の男はレイアに襲い掛かる。
ただそいつは知らなかった、今自分が襲い掛かる相手が最強の魔王であることに。
ドゴッ!!
「ガッ・・・ハッ!?」
レイアは少し右手に魔力を込め魔族の男の腹部に一撃を入れる。
その一撃で魔族の男は地面に倒れ気を失う。
実に呆気ない決着だった。
「こいつには聞きたい事があるが、その前に」
レイアは倒れている女の子を近くのベンチに寝かせる。
どうやら気を失っているだけで特に問題はなさそうだ。
「・・・」
レイアは女の子を見る。
「似ているな」
「はい、幼いですがどことなくレイラ様の面影を感じます」
レイアと同じ銀髪で髪が長くまだ幼いがその姿は確かに姉レイラの面影を感じさせる。
「それにこの魔力は姉貴の魔力と同じだ」
「やはりそうですか」
「それによく見ると魔力が封印されているようだ」
「封印ですか?」
「ああ、封印されていたから魔力が表に出ていなかったのだろう、アイシスが気づかなかったのも納得だ」
レイラの子供と思われる子の魔力は封印されていたから今まで気づかれなかったが封印が解け出した事により魔力が出てしまっていた。
アイシスが突然出てきたと言う発言もこれで説明がつくとレイアは納得する。
「誰が封印したかリズ調べられるか?」
「はい、お任せください、魔法で記憶を見てみます」
リズは女の子の頭に手を乗せ他人の記憶を見る魔法を発動させる。
「これは、レイア様、この子はレイラ様の子です」
「本当か?」
「はい、名前はマリアと言いレイラ様自身が魔力を封印していました」
リズは記憶を見た事によりレイラの子供である事、封印はレイラ自身がした事を伝える。
「姉貴が何のために・・・・・・ああ、そう言う事か、なら」
「レイア様、何を?」
「今からこの子の魔力を封印する、姉貴はどうやっていた?」
「レイラ様はその子、いえマリア様の頭に手を置き自身の魔力を流していましたまるであふれる水に蓋をするかのように」
「そうか、わかった」
リズの言葉を聞きレイアはマリアの頭に手を置き自身の魔力を流し込む、やがてマリアから出ていた魔力は消えていった。
「これで封印したのか?」
「はい、魔力は感じませんので成功です」
「んっ」
意識が戻ったのかマリアが目を覚まそうとする。
「まずいな、リズ認識阻害の魔法を、後倒れてるそいつもだ」
「はい」
そう言ってリズは認識阻害の魔法を自身とレイアと倒れてる魔族に掛ける。
「あれ? 私どうしてこんな所で?」
マリアは不思議に思いながら自分の家へと帰っていった。
「行ったか」
「そのようですね」
「なら、こっちの方もやる必要があるな」
レイアは倒れてる魔族を見る。
「こいつには聞かなきゃいけない事があるからな、何故あの子の命を狙ったのか」
読んでいただきありがとうございます。
最強の魔王なので魔族との戦いは呆気ないものです。
あらすじではマリアの事を真理亜と漢字で書いてありましたがこの時点ではまだレイアは漢字の事を知らないのでカタカナで書かせていただきました。
本格的に人間界で生活するのは後5、6話くらい、もしかしたらもっとかかるかもしれませんがよろしくお願いします。