第76話 魔王激怒
本日、三話目の投稿です。
「真理亜!!」
レイアは、辺りを見渡す。
そして。
「!!」
横に倒れている真理亜の姿を発見する。
「何だお前? 何しに・・・」
「リズ!!」
「は!!」
男が何かを言う前にレイアは、リズに指示を出す。
それを聞いたリズは、即座に動き出す。
瞬時に男達を払いのけ、真理亜の元に辿り着き真理亜を抱えレイアの元に戻って行く。
「なっ!?」
「おい!?」
男達は、何が起きたのかわからなかった。
「真理亜!! 真理亜しっかりしろ!!」
縄をほどき口のガムテープを外し真理亜に問いかけるが真理亜からの返事は、ない。
レイアの不安が強くなっていく。
(嫌だ、頼む!! もう知らない内に家族を失うのは、嫌なんだ!!)
レイアは、心の中で祈っていた。
「レイア様大丈夫です、ただ気を失っているだけで命に別状は、ありません」
リズは、真理亜の状態を確認し無事だと言う事をレイアに伝える。
「無事・・・なのか? 真理亜は、大丈夫なのか?」
「はい、大丈夫です」
レイアは、真理亜の傍に近づく。
「・・・スゥ・・・スゥ」
真理亜が呼吸をしているのを確認する。
「生きてる・・・良かった、本当に・・・良かった」
レイアは、真理亜を優しく抱きしめ、無事な事に安堵する。
そして。
「リズ、認識阻害の魔法をここら一帯に掛けておいてくれ、掛け終わったら真理亜を連れてここから離れろ」
「承知しました」
リズは、認識阻害の魔法を掛け、真理亜を連れて離れていく。
リズが離れた事を確認したレイアは。
「さてと、お前達何故真理亜を攫った? 言い訳は、聞いてやるぞ」
男達に向けて問いかける。
静かに怒りを込めながら。
「はあ? 何でガキに答えなきゃならねえんだ?」
「そうだ、ガキに答える義務なんざ・・・」
「さっさと答えろ!!」
レイアは、再度問いかける。
少しの殺気を放ちながら。
その殺気に男達は、驚きながらも話し始める。
「俺達が悪いんじゃねえ、あいつの親父が悪いんだ!!」
「は?」
「そうだ、あのガキの父親が悪いんだ!!」
「俺達は、あのガキの父親の会社で働いていたんだ、俺達は、仕事もできるエリートなのによ!!」
「なのに、俺達をクビにしやがったんだ!!」
どうやら、この男達は、真理亜の父親の会社で働いていた元社員たちである。
ところが会社をクビにされたらしい。
「俺達は、ちゃんと働いたんだ、なのにクビにしやがった!!」
「何で俺達がクビにならなきゃいけないんだ、俺達より使えない無能共は、今も会社で働いてるなんて有り得ねえだろ!!」
「そうだ、仕事も出来ねえ無能共に代わって俺達がしっかりやったって言うのによ!!」
「仕事ができる俺達がクビになって、できない無能共が会社に残るなんてあのガキの父親も無能って事じゃねえかよ!! 無能を束ねる社長も無能って事だな!!」
男達は、次々と語っていく。
「・・・・・・」
レイアは、黙って聞いている。
だが、レイアには、真理亜の父親が何故こいつらをクビにしたのかは、今の発言だけで何となく理解できた。
「俺達みたいな有能を見抜けない無能な奴が許せなかったから俺達は、考えたんだよ、俺達エリートをクビにしたあの社長から慰謝料を払って貰おうとな」
「そうだ、仕事ができる奴がクビになるなんて理不尽だ!! だから慰謝料を貰うのは、当然だ!!」
「だから、あのガキを誘拐したんだ、そうすればあの無能な社長も金を払うしかないからな、仕方ない事だもんな有能な俺達をクビにしたんだから」
「なのにお前らが来て、あのガキを連れて行きやがって俺達の計画が台無しだ!! だからお前が代わりに払いやがれ!!」
「・・・・・・つまり、真理亜は、関係ないって事だよな?」
レイアは、男達に問いかける。
「あ?」
「恨みがあるのは、真理亜の父親であって、真理亜自身には、何もないって事だよな? それなのに真理亜を・・・」
レイアは、静かに語る。
そして。
「この下等生物共があぁ!! お前等全員ただで済むと思うなあぁ!!」
レイアの怒号が響く。
そう、レイアは、激怒しているのだ。
「はあ? ただで済まないだと? ガキに何ができるってんだ?」
男は、馬鹿にし笑う。
他の男達も、同じように笑う。
「そうか、今の僕は、ガキの姿だったな」
そう言ってレイアは、魔力で全身を覆う。
そして。
「なら、こっちならどうだ?」
そこには、本来の姿の魔王レイアがいた。
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