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第71話 家庭訪問 4 前に住んでいた所について答える

 一条先生が真央が前に住んでいた国。

 つまり魔王レイアとして過ごしていた元の世界について聞くことになり、真央は、了承したのだ。


『レイア様、よろしいのですか?』


 リズは、真央だけに念話の魔法を使い問いかける。

 念話の魔法とは、声に出さず伝えたい事を伝えたい人に伝える魔法である。

 ゆえに一条先生には、聞こえていないのである。


『ああ、良いんだ元から聞かれたら答えられるようにするつもりだったから』


 真央は、念話でリズに答える。


『ですが、答える必要もないのでは? 一条先生もこちらが答えたくないと言えば無理に聞かないと思いますし』


『なら聞くがリズ、お前は、自分の配下に身元も何もかもわからない奴がいたらそいつを信頼する事ができるか?』


『そ、それは・・・』


 リズは、言葉に詰まる。


『僕なら完全には、信頼できない、例えそいつが優秀であっても僕に忠誠を誓っていてもそいつ自身の事を何も知らなければ、何かを企んでどこかで裏切るんじゃないのかと言う考えも出てくる』


『確かに私も信頼より疑いの方が強いと思います』


『そう言う事だ、一条先生は、学校の先生として生徒の事を知るために聞くんだから当然の事だと思う、だから僕は、この質問には、聞かれたら答えるつもりだった』


『私の考えが足りませんでした、申し訳ありません、レイア様』


 リズは、謝罪をする。


『気にするな、僕を思っての事だとは、わかっている、それに答えもちゃんと用意しておいたからな、だから書類とかにも色々書いたんだろ?』


『そうですね、どのみち書類には、そう書いたんですから聞かれるのは、必然ですね』


『そう言う事だ、さてリズ不自然の無いように答えないとな』


『わかりました』


 そう言ってリズは、念話の魔法を解く。


「では、宇界さん前に住んでいた国での事について聞きますが本当に良いですか?」


「どうしたんですか?」


 真央は、一条先生の言葉に疑問を言う。


「宇界さんあなたの事は、書類を見ていますのでお父さんとお母さんそしてお姉さんが亡くなっている事を知っています」


 一条先生は、真剣な表情で確認するように話す。


「これから、私が聞くと言う事は、宇界さんにとって家族と過ごした日々を思い出してしまうかもしれません、そして家族を失った辛い時を思い出させてしまうかもしれません」


 ここで一条先生は、間を置き。


「だから宇界さん、言いたくないのなら無理に聞きません、担任として生徒の事を知るためには、聞かなければいけないのかもしれませんが何よりも一番大切なのは、宇界さんの気持ちです、宇界さんが答えたくなければそれでも構いません、それを踏まえてもう一度聞きます、本当に聞いても良いのですか?」


「・・・・・・」


 真央は、一条先生を見る。

 その顔は、真剣な顔だった。


「僕は、大丈夫です、一条先生」


 真央は、そう答えるのだった。

 一条先生は、真剣に真央の事を考えて言葉を選んでいると感じたからだ。

 きっと自分のクラスの生徒全員の事を真剣に考えるほどの先生だと思う。

 だから、そんな先生に隠し事をしたくは、ないと感じた真央は、一条先生の質問に答える選択を選んだのだ。


「わかりました、では、聞きますね」


 一条先生は、書類を見る。


「では、この書類に書かれている前に住んでいた国なのですが、マーリョック国ですが、これは、どのあたりの国なのでしょうか? ネットとかで調べたりしたのですが出てきませんでしたので」


 マーリョック国とは、真央達が適当に考えた架空の国である。

 単純に魔力と言う文字をカタカナにして少し加えた程度である。

 

「それは、辺境の国です、ネットにも載っていない程辺境の国です」


 リズは、そう答える。


「辺境の国ですか?」


「はい、辺境の国です」


 リズは、真剣な顔で答える。


「わかりました、ちなみにその国は、どのような国なのですか?」


 一条先生の質問にリズは、考える。


「田舎の国みたいなものですね、この国にあるテレビとかの家電製品は、ほとんど無いくらいに」


「そうですか」


「後は、そうですね、敵が攻めて来るとかですね」


「え?」


 リズの言葉に一条先生は、一瞬固まった。


「敵が攻めて来るとは?」


「言葉通りです、敵が攻めて来ます」


「戦争でもしているのですか? その国は」


「戦争程では、無いですよ、来る敵が弱すぎるので簡単に排除できますから」


 リズは、笑顔で答える。


「は、排除!?」


「先生、排除と言っても殺しては、いませんので誤解しないでください」


 真央は、フォローするように言う。


「あ、そうですか」


 一条先生は、安堵する。


「と、とにかくすごい国に住んでいたのですね」


「はい」


「宇界さんが何事にも動じない理由が何となくわかった気がします」


「そうですか?」


「ええ、変な話ですが、宇界さんが時々大人に見える時があったのですが、なるほど敵が攻め込んでくるのが日常な国に住んでいたのなら、ちょっとやそっとの事で動じないのもわかります」


 一条先生は、時々真央が大人に見えていたそうだが真央が前に住んでいた国について知った事により納得したようだ。


「前に住んでいた国がそのような国なら安全な国に引っ越したのは、正解ですね、ちなみにこの国に引っ越してきた理由を聞いても?」


「はい、大丈夫です、この国に引っ越してきたのは、家庭の事情みたいなものですね」


「家庭の事情と言いますと?」


「私が説明しますね」


 真央に代わりリズが説明をする。


「真央さんは、その国では、お金持ちの家のお嬢様なのは、ご存知ですよね?」


「はい、書類にもそう書いてありましたので」


「ええ、それで旦那様が亡くなられた事により遺産は、奥様もお姉さまも

亡くなられているので、真央さんが受け継ぐ事になります」


 リズの説明に一条先生は、頷く。


「相当な額の遺産がありますが、真央さんは、まだ子供です、そんな子に大金を受け継ぐのを良く思わない親戚の者達もいます、あの国に居続けると他の親戚の者達があの手この手で真央さんに何かするのでは、ないかと考えた結果、真央さんを安全な場所に避難させようとこの国に引っ越してきたのです」


「なるほど、そう言う事だったのですね、日本に来たと言う事は、ご両親のどちらかは、日本人と言う事ですか?」


「はい、奥様が日本人でしたので、信頼できる使用人達には、日本と言う国については、聞かされていました、ここより安全な国と聞いたので私が保護者代わりとして真央さんと共にこの国で生活しようと決めました、遺産については、優秀な他の使用人達に任せていますのでどうなるかは、いずれ決まると思います」


「そうですか、宇界さん今は、気持ち的には、大丈夫ですか?」


 一条先生は、真央に聞く。

 真央を心配しての事だろう。


「僕は、大丈夫です、色々あって大変ですけど、頼りになる使用人達がいますので感謝しています」


「それは、良かったです、そろそろ時間になりますね、では、最後に宇界さんに聞きますね」


「はい」


「宇界さん、学校生活は、楽しいですか?」


 一条先生は、真央にそう質問するのであった。


















読んでいただきありがとうございます。

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