第65話 ゴールデンウィーク 12 人間界でレイラがしていた事
「姉貴の世話になった?」
ギギルが人間界に来た時にレイラの世話になった事を聞いたレイアは、ギギルに聞くのであった。
「ああ、俺が人間界に来てしまった時の話だ」
ギギルは、その時の事を話し出す。
「俺は、元いた世界でいつものように湖を泳いでいたんだ、そしたら急に湖の空間が歪んで俺は、それに飲み込まれて気づいたら俺は、この世界にいた」
「それからどうしたんだ?」
「最初は、驚いたさいきなり知らない世界に来たんだからな、見たことない物ばかりで帰りたくても、空間は、消えていたから帰る方法もわからずどうしたらいいかわからなかった、そんな時に俺に近づいたのがレイラ殿だった」
「姉貴が?」
「ああ、レイラ殿は、近くに魔力を感じたから来たと言っていた、それからここが俺がいた世界じゃないと教えてくれた、そして魔族の姿は、マズいからこの世界では、人の姿でいた方が良いとアドバイスもしてくれた、さらにこの世界の知識や常識など色々な事を教えてくれた」
「そうだったのか」
「話を聞くとレイラ殿は、俺の様に迷い込んでしまった元いた世界の者達の魔力を感じては、近づき色々とこの世界の事を教えたりして混乱しないようにしていたらしい、おそらく人間界の者達にも迷惑を掛けないようにするのもあったんだろう、だが俺は、それで混乱せずに落ちつくことができただからレイラ殿には、感謝している」
「そうか」
レイアは、笑っていた。
姉のレイラがこの人間界で元気に暮らしていたことがわかったからである。
「レイア殿は、レイラ殿の妹だと言っていたな? レイラ殿は、元気か?」
「・・・・・・」
レイアは、言葉に詰まる。
「どうした?」
「姉貴は、亡くなった」
「何だと!?」
ギギルは、レイラが亡くなったことを聞き驚く。
さらにレイアは、ギギルに話す。
ギギルが狙っていた子がレイラの娘である事。
レイアは、レイラの代わりに真理亜を守るために人間界に来た事。
レイラが他の魔族に殺された可能性がある事。
そしてギギルに頼んだ者達がレイラの死に関係しているのでは、ないかと言う事。
話を聞いてギギルは、悪い魔族では、ないと判断したレイアは、ギギルに全てを話した。
「くそ!! 知らなかったとは、言え俺は、恩人の娘を殺そうとしたのか」
恩人であるレイラ。
その娘である真理亜を殺そうとしたことを知ったギギルは、自分を許せないでいた。
「気にするな、知らなかったんだろ?」
「だが俺は、自分の命惜しさに殺すことを選択した俺自身が許せない」
「なら、もうあの子を狙わないと誓うか?」
「当然だ、恩人の娘に手などださん」
「そうか、だが良いのか? お前に依頼した奴が失敗したお前を始末しに来たりしないか?」
レイアが疑問に思った事それは、真理亜の命を狙う魔族達がそれに失敗した時依頼した者に始末されるのでは、ないかと。
そう考えると最初に倒したグムバも始末されるのでは、ないかと。
命まで奪う気は、ないレイアにとって、もしそうなっていたら、後味が悪いとレイアは、思っている。
「それなら心配ない、あいつらは、俺に対してそんなに期待などしていなかったからな、おそらく手当たり次第に近くの魔族にあの子の命を狙うよう依頼をしているんじゃないのか? 俺みたいな下級魔族は、やれたら儲けものみたいな感じだったし、使い捨てみたいな感じだろう、だから余計な情報は、教えなかったんだろうな」
「そうか、なら良いんだが」
とりあえず心配は、無さそうだと知りレイアは、安心する。
初対面とは、言え敵では、無い魔族が死ぬのは、レイア自身も嫌だからである。
「・・・・・・」
「ん? どうした?」
ギギルにじっと見つめられている事に気づいたレイアは、ギギルに問う。
「いや、レイア殿とどこかで会った気がするんだが」
「僕は、これが初対面のはずだが」
レイアには、本当にギギルに関する記憶が無い。
配下の名前全員を覚えているレイアなら一度会って話をした相手なら必ず覚えている。
だが、記憶に無いと言う事は、元の世界でギギルには、会ったことが無いと言う事である。
「いや直接では、無いただレイア殿の今のその子供の姿を見て・・・あ!!」
ここでギギルは、何かを思い出したかの様に言い出す。
「思い出した! 魔王の娘で落ちこぼれだった子だ!」
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