第55話 ゴールデンウィーク 2 真央の服を買いに行く
真央の着ていた服が地味で似合わないと言った唯は、真央の服を買いに皆で外に出ることになった。
「この町で洋服屋さんと言ったらここですね」
「なんかすごく高そうな洋服屋さんだな」
真央達は、洋服屋に着く。
だが、明らかに大きい建物で売っている服も高そうだと真央は、思った。
「なあ、やっぱり服は、別にいいんじゃないか? 明らかに高そうだし子供だけで入るのも」
「その点は、大丈夫ですよ、この店は、子供だけで入っても大丈夫なので」
「まあ、この町は、子供だけで入って良い店も結構あるからな、まあ遅くまでいるのは、ダメだけどな」
「そう言うことです、さあ入りましょう」
そう言って唯は、中に入っていき、真央達も続いて入っていった。
中は、いろんな服がおいてありあまりの広さに真央は、驚愕する。
「本当にこんな所で良いのか?」
「真央ちゃん、落ち着いて大丈夫だから」
「そうだよ真央姉さん、私のお母さんだってここで服を買ってるもん」
「まあ、パッと見、お金持ちが来そうな感じだけどちゃんと一般の人も買いに来ているから問題ないさ、それに唯がいればそれなりにサービスしてくれるかも知れないし」
沙月の言葉に真央は、疑問を感じた。
唯がいると何があるのだろうかと。
「これは、唯お嬢様、当店にお越しいただきありがとうございます」
すると唯が誰かと話している。
見るとこの店の人と思われる女性と話している。
「あの人は、誰だ?」
「ああ、この店の店長さんだな」
「唯お嬢様って言ってたけど」
「ああ、実は、ここ唯のお父さんが関わっている店の一つなんだ、だから娘の唯には、好意的に思ってもらおうと接してるんじゃないのか?」
「唯のお父さんって何をしている人なんだ?」
「よくわからないが、なんかいくつかの店を持っているみたいなんだ」
「なんか凄そうだな」
真央達は、そのまま唯達の会話を聞いていた。
「それで、今日は、当店でのお買い物ですか?」
「はい、と言っても私ではなく、私のお友達の服を買いに来たのですけど」
「お嬢様のご友人なら、ぜひともサービスさせていただきます」
「ありがとうございます、それとできればプロの店員さんにも一緒に選んでもらいたいのですが」
「そう言うことでしたら少々お待ちください」
そう言って店長は、店員に声を掛け連れてくる。
「彼女は、まだ入ったばかりの新人ですがファッションセンスは、かなり良いですので、きっと良い服を選んでくれますよ」
「まあ、それは、心強いです」
「では、後は、任せたわ、彼女は、この店に関わる重要な方のお嬢様だからいつもお客様に失礼のないようにだけど彼女は、特に失礼のないようにお願いね」
店長は、小声で店員に耳打ちするように告げる。
「はい、わかりました」
「では、私は、これで失礼しますのでごゆっくりどうぞ」
「はい、ありがとうございます」
そう言って店長は、仕事場へと戻って行った。
「では、子供服売り場へご案内します」
真央達は、店員について行き、女性の子供服売り場へと着く。
子供服でもかなりの数があり、少なくとも百着ぐらいは、ありそうだ。
「では、さっそく選ばせていただきますが、どの子の服でしょうか?」
「ここにいる真央さんの服です、こんなに素敵なのに地味な服を着て自分の価値を自分で下げてしまってもう居ても立っても居らませんでした」
店員は、真央をじっと見る。
「なるほど、確かにきれいな銀髪なのに服のせいで台無し感がありますね」
「そうなんです、ですから彼女に似合う服をぜひ一緒に選んでいただきたいのです」
「わかりました、必ずやこの子に似合う服を選んで見せましょう」
店員は、どこかやる気のようなものが出ていた。
「さあ、たくさんありますから、色々試着して見ましょう」
「そうですね、さあ真央さん、試着しましょう」
「・・・・・・」
真央は、もはや二人の気迫に何も言えなかった。
そして、ここから真央の試着地獄が始まるのだった。
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