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第52話 魔王シャロが来た 12 良き友達

「どういうことだ?」


 シャロの問いにレイアは、聞き返す。


「そのままの意味なのだ、人間界に行く必要があるのかと」


「何故そう思う?」


「そなたが人間界に行くのは、レイラの娘であるマリアを守るため、でもマリアが何者かの命で他の魔族から命を狙われてるのだろ?」


「ああ、そうだ」


「なら、マリアを保護してここに連れてくれば良いと思うのだ、わざわざそなたが人間界に行かなくても、こっちの方が安全なのだ」


 シャロの言っていることは、真理亜を安全に守る点で言えば、そうなのかも知れない、最強の魔王であるレイアとその配下達がいるこの城ならどんな魔族が来ても真理亜の命の危険は、ないからである、だが。


「それは、できないことだ」


 レイアは、その案を拒否する。


「どうしてなのだ?」


「真理亜は、自分が魔族だということを知らない、姉貴が真理亜の魔力を封印させていたことから、姉貴は、人間として生きて欲しいと思っているんだ、だから僕は、姉貴の意思を尊重したいんだ」


「そんなの、別に記憶を消したりとか色々と・・・すまぬのだ、そなたは、そう言うのは、良しとしない方だったのだ、ごめんなのだ」


 言った途端シャロは、言っては、ならない事を言ったと気づきレイアに謝罪する。


「気にするな、確かにお前の言う通り、そうした方が良いのかもしれない、でも、真理亜が今まで生きてきたのは、人間界なんだ、それに人間界には、真理亜を大切にしてくれる家族がいる、大切な友達がいる、そんな人達から真理亜を引き離したくないんだ、真理亜から大切な記憶を消したくないんだ」


「わかったのだ、これ以上は、何も言わないのだ」


「いや、僕を気遣ってくれたのだろ? 素直に嬉しいさ」


「ん、そうか」


「どうした? 何か元気ないぞ?」


 レイアは、シャロの様子がおかしい事に気づく。


「そのな、怒らずに聞いてくれるか?」


「何だ、僕が怒るような事をしたのか?」


「そうじゃないのだ、唯わからなくなったのだ」


「わからない? 何がだ?」


「我は、そなたを、大切な友達だと思っているのだ」


「ああ、僕もだ」


 レイアは、シャロを友達だと思っている。

 それは、間違いないことだ。


「でもそなたの過去を聞いて我が友達だと思うのは、そなたが我と同じ魔王で強いからなのでは、ないのかと、仮にそなたと学校で会えたとしても、落ちこぼれのそなたを見たら我もそなたを、いじめた者達と同じ態度をとっていたかもしれないのだ、そう思ったら、我は、そなたの友達だと言い切れるのかと思ったのだ」


 シャロは、レイアに自分の不満を言う。

 自分がレイアの友達なのは、レイアが最強の魔王だからでは、ないかと。

 レイア個人では、なくレイアの強さが良いからでは、ないのかと、落ちこぼれのレイアだったら何も興味は、なかったのかと。

 そう思うと友達なのかと、そんな不満をシャロは、抱えていたのだ。


「・・・・・・はぁ、シャロお前は、そんなに馬鹿では、ないが変な所で馬鹿な考えをするよな」


 レイアは、ため息混じりにそんなことを言う。


「なんなのだ、レイア! 我は、悩んでると言うのに」


「その悩みが無駄なんだよ、もしもの話だろ?」


「でも」


「確かに、そうなっていたかもしれない、僕が強いから友達になったのかもしれない、でも、最初のきっかけなんてそんなものだろ?」


「え?」


 レイアの言うことにシャロは、疑問の声を上げる。


「友達になりたいなんて、最初は、カッコいいからとか、可愛いからとか、そんな印象みたいなものだろ? それから、友達になって一緒にいる内に良いところや悪いところもわかってくるものさ、お前だって最初は、僕の強さだったかもしれない、でも今は、そんな理由で僕の友達って訳じゃないんだろ?」


「もちろんなのだ、強さだけじゃなく、そなたの良いところとか、面白いところとか、色々とわかってそしたら、我にとって大切な友達になったのだ」


「なら、それで良いだろ、今僕達は、友達だということ、それだけで十分だろ?」


 もしかしたら、こうなっていたかもしれない。

 そんな可能性の話よりも今レイアとシャロが友達であるということ。

 レイアにとっては、それが全てなのだ。


「僕は、お前を友達だと思っているし、実は、魔王の中では、お前が一番信頼できるんだぞ」


 レイアは、シャロを信頼している。

 シャロは、思ったことは、素直に言う性格なのである。

 隠し事も嘘をつくことも、苦手な為やったとしてもすぐにバレてしまう。

 頭の良い者からしたら言葉巧みに騙し利用するには、持って来いの相手となってしまう。

 だからこそ、彼女には、ガリウスのような冷静に判断できる側近がついている。

 だが、レイアは、それを悪いとは、思わずむしろ一番信頼できると思っている。

 なんでも素直に言うことは、悪く言えば利用しやすい馬鹿だと言う、だが良く言えば裏で何かを企んでいることが無いつまり、相手に信頼してもらいやすいということである。

 だからこそ、素直に話してくれるシャロに対しては、レイアも気軽に話せるのである。


「我が、魔王の中で一番信頼できる・・・それは、本当か?」


「ああ、本当だ」


「そうか、レイアー!!」


 そう言ってシャロは、レイアに抱き着く。


「おい、シャロ」


「やっぱり、そなたは、良いのだ!! 我に相応しいのだ!! 結婚するのだ!!」


「お前、何言ってるんだよ」


「我と結婚するとしたら我より強い者でなければ無理なのだ、だがレイアそなたなら問題ないのだ」


「お前、毎回来て一緒に寝る度に言うよな」


「当然なのだ、早くしないと他の女のものになってしまうのだ」

 

「女限定かよ」


「そなたと我なら最強の子供ができるのだ、心配しなくても我が産むからそなたは、魔力を注げばいいのだ、さあ今すぐ我に大量の魔力を注ぐのだ!!」


「いいから、さっさと寝ろー!!」 


 魔王レイアと魔王シャロ。

 なんだかんだ言いながら二人は、良き友達なのである。


 


 



読んでいただきありがとうございます。

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