第51話 魔王シャロが来た 11 魔王は、気遣う
「とにかく、そんなに重症じゃなくて良かった、ご苦労だったな」
「すまなかったのだ! 許してくれなのだ!」
レイアとシャロは、負傷した配下達の所に行き様子を見に行った。
レイアは、配下に労いの言葉を掛けシャロは、頭を下げ謝罪をした。
シャロは、暴れて傷つけてしまったレイアの配下達にも謝りたいと言ったので、レイアは、負傷した者達の所へ行くので一緒に来るかと言ったところ、ついてきたのである。
「ええ!? シャロ様良いですよ!! そんな大したことないですから!!」
「そうですよ、魔王であるあなた様が俺達下級兵士なんかに謝る必要なんてないですよ!!」
「負傷したのは、鍛え方が足りなかっただけですから!!」
「だから、頭を上げてください!! すごく気まずいです!!」
配下達は、戸惑っていた。
それもそのはず、魔王が二人も幹部でも部隊長でもない唯の一兵士に過ぎない自分たちの所に来て一人は、労いの言葉をもう一人は、謝罪の言葉を言って頭まで下げてきたのだから、彼らからすれば、戸惑いでしかなかったそうな。
「本当に泊まるんだな」
「当然なのだ、そなたの所に来た時には、いつもそうしていただろ?」
「明日は、早く起きるからな、人間界に戻って真理亜達と遊ぶ約束をしているからな」
「わかってるのだ、ちゃんと起きて見送りするのだ」
寝る時間になりシャロは、泊まるということになったのでレイアの部屋に一緒に寝ることになった。
「ソウガ、まだ傷が癒えていないって言ってたな?」
「はい」
「なら、お前は、リゼと一緒の部屋に行け、リゼもソウガが万全な状態になるように今日は、一緒に寝てもらって良いか?」
「は、はい、承知しました」
リゼは、答えるが、その顔は、ほのかに赤くなっていた。
「リゼ、ソウガ」
「「はい」」
「その、何だ、部屋の外を確認しとけよ」
「・・・・・・ハッ!!」
レイアの言葉の意味を理解したソウガは、リズを見る。
「・・・・・・ッ!!」
少し間を置きリゼも理解し、顔を真っ赤に染める。
「レイア様!?」
「何を言うんですか!?」
二人は、顔を赤くしレイアに問う。
「リゼ、レイア様のお気遣いを無駄にするつもりでは、ないですよね?」
「お、お母様!?」
「そうだぞリゼお前が一向にソウガとの進展がないから、いい加減我々も痺れを切らしていた所だ、これを機にイケ」
「ゼナお母様!?」
リゼは、二人の母に迫られる。
「ソウガ、君もそろそろ男を見せる時では、ないのかい?」
「な、何だよ」
「そうですな、ソウガ、私もドラギオスも、この際はっきり言いますがいい加減、男として一線超えたらどうなんですか?」
「ライムさん、アンタまで」
ソウガは、ドラギオスとライムに迫られる。
「リゼ、いい加減いつまでそうしているつもりなんだ? 二人がいつまでたっても一向に次の段階に行かないから、だからレイア様が気遣ってれたのでは、ないか」
「あうう」
「ソウガ、ここまで来たのなら行かなければならないだろ?」
「ぐうう」
「何だ、レイアあの二人付き合ってるのか?」
ここでずっと見ていたシャロがレイアに聞く。
「ああ、そうだが」
「ほう、で、どこまで進んでるのだ?」
「手を繋いだってところだな」
「ん? ちょっと待つのだ二人は、いつから付き合ってるのだ?」
「姉貴が、まだ魔王をしている時には、付き合っていたかな」
「なにぃ!?」
そう言ってシャロは、ソウガとリゼに近づく。
「そなた達、付き合って結構経っているのにまだ手を繋ぐ程度ってそりゃ他の者達もいい加減にしてほしいと思うのだ、キスの一つもしないとは、ヘタレすぎるのだ!」
「「うぅ」」
「シャロ様、恋愛と言うものには、色々ありまして皆それぞれ違います」
「だが、ガリウス、いくら何でも十年以上付き合って、まだ手を繋ぐだけでキスの一つもしていないなんて、そなたは、それで良いと言うのか?」
「・・・・・・いえ、さすがに私もそれは、いい加減にしなさいと言いたい気分になります」
「そうなのだ、いい加減に今日で一線をさっさと超えるのだ!!」
そう言ってシャロは、二人に指を指して命令の様に告げる。
「「・・・・・・」」
ソウガとリゼは、何も言えず口を開けていた。
「ソウガ、シャロ様もこうおっしゃっているんだ、もう後には、引けないのは、わかるだろ?」
「なっ」
「レイア様に気遣れ、シャロ様にも言われ、魔王二人にましてや女性に気遣われたにも関わらず朝になって何もなかった何てことは、ないだろうね?」
「むうう」
「ソウガ、鬼族は、いかなる戦場でも恐れずに突き進むのだろ? なのにここでは、恐れをなして逃げるのか?」
「なに?」
「ソウガ、君の鬼は、唯の飾り物なのか? どうなんだね?」
「ああああああああああ!! もうわかったわ!! リゼ!!」
「え? ・・・ひゃっ!?」
ソウガは、リゼをお姫様抱っこする。
それを見て全員から、おおー、と声が上がる。
「ソ、ソウガ君!?」
「リゼ、行くぞ! 大丈夫だ俺に全部委ねろ!」
「・・・はい」
リゼは、顔を赤く染めてソウガに身を委ねる。
「レイア様、シャロ様、俺とリゼは、先に失礼します」
「ああ、まあ最初だからあまり張り切りすぎるなよ」
「では、失礼します」
「失礼します」
そう言ってソウガは、リゼをお姫様抱っこしたまま、リゼの部屋へと向かっていった。
それを見送ったシャロと幹部達は、満足気にうんうんと頷いていた。
「じゃあ、リズは、ゼナと一緒で良いな?」
「はい、もちろんです! レイア様」
答えたのは、ゼナだった。
「・・・・・・」
リズは、何とも言えない顔をしていた。
「リズ、覚悟を決めてアレを着るんだろ?」
「レイア様!? それは」
「リズ、アレって何だ?」
「ああ、ゼナ人間界には、ネグリジェと言う寝間着の一種があってな何と下着が透けて見えるものらしいんだ」
「な、なんですってぇ!!?」
ゼナは、興奮したように反応した。
「し、下着が透けて見えるってどんなものなんだ、ネグリジェ、一体何なんだ!?」
「ゼナ、顔が怖いですよ」
「だ、だってどんなのか想像つかないんだ、早く部屋で見せてくれ!!」
「わかりましたから、でも人間界に置いてきてしまいましたから一度戻りますから、十分ぐらい待ってください」
「もちろんだ、何時間でも待つさ」
「では、レイア様、シャロ様、ゼナが待ちきれなさそうなので失礼します」
「ああ、わかった、それとゼナ」
「はい」
「明日は、朝早く人間界に戻らなければならないから、転移が使える体力は、残しておいてくれ」
「大丈夫です、レイア様、体力回復用のポーションを十本以上持ってますので」
「ちょ、ゼナ!? どれほどやるつもりですか!?」
リズは、この後の事を考えると不安になっていた。
「大丈夫だリズ、さあ、二人の愛の時間を過ごそうじゃないか」
そう言ってゼナは、リズをお姫様抱っこする。
「ちょっ、ゼナ!?」
「では、失礼します!」
そして、ゼナは、リズをお姫様抱っこして行くのであった。
「では、レイア様、シャロ様、私も失礼します」
「私も失礼します、レイア様、シャロ様」
「ああ」
ドラギオスとライムも自分達の部屋に戻っていく。
「では、シャロ様、私も失礼します」
「わかったのだ、ガリウス」
「レイア様、シャロ様をお願いします」
「ああ」
ガリウスは、来客用の部屋に向かって行った。
「じゃあ、僕達も行くか」
「わかったのだ」
レイアとシャロは、レイアの部屋に行くのであった。
~sideレイアの部屋~
「ふっふっふう、レイアようやく二人きりになれたのだ、さあ、我と色々語り合うのだ」
「いや、さっさと寝ろよ」
「何を言うのだ、夜は、長いのだ、むしろここからが本番なのだ」
「いや、マジで寝ろよ」
いつもの様に二人は、ベッドで他愛のない話をしていた。
「のう、レイア」
「何だ?」
「本当に人間界に行かなければならないのか?」
シャロは、真剣な顔でレイアに聞くのだった。
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