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第50話 魔王シャロが来た 10 レイアがいなくなった時、戻って来た時の話

「レイア様が死んだと知った時、魔王様と王妃様は悲しまれました」


ドラギオスはレイアがいなくなった後の事を話す。


「特に王妃様は酷く悲しまれ自分を責め続けていました、何故レイア様の側にいてやれなかったのか、何故もっと子供達と一緒の時間を作らなかったのか、一人になられた時はいつもそうして自分を責め続けてレイア様に謝罪の言葉を口にしていました」


「・・・・・・」


レイアは申し訳ない気持ちになった。

レイアの母がどのような気持ちになっていたのか、この時初めて知ったからである。

自分がいなくなった事で母を傷つけてしまった事、辛い思いをさせてしまった事、レイアはただ申し訳ない気持ちになった。


「それからしばらくして事件が起きました、我が軍に裏切者が出たのです」


「裏切者?」


 シャロの言葉に頷き続きを話す。


「はい、裏切ったのは軍の中で特に領土を広げ侵略行為を魔王様に進めていた者達でした、ですが魔王様はむやみに命を取る事を良しとしないお方でしたので前々からよく対立をなされていました、レイア様が死に精神的に参っていた時を狙い反乱が起きたのです、完全に我々も油断していました、何とか抑える事はできましたが反乱に加わった者達は逃がしてしまいましたがレイラ様を守る事だけはできました、ですが魔王様と王妃様は・・・」


「そこから先は言わなくていいのだ、それでレイラが魔王になったのだな?」


「その通りです」


「でも、レイラもまだ幼かったし家族を全員失ったのだ、精神的な事を考えても大丈夫なのか?」


「レイラ様は強いお方でした、自分がしっかりしなければならないと理解しておりましたので、我々も全力でレイラ様を支えました」


「だが、そう簡単ではなかったのだな?」


「はい、幼いレイラ様に魔王が務まるのかと不満を漏らす者達もいましたから、それでもどうにかやっていきました、それから何年か経った時でした、レイア様が戻られたのです、最初は驚きました、その時のレイア様は我々の知っているレイア様とは思えないほどの別人に見えたのです」


「どう言う事なのだ?」


「明らかに魔力量が桁違いでした、一体何があったのかと思わせるくらいに、そしてレイア様はレイラ様を守るために戻って来たとおっしゃいました、当然反対する者もいましたが、レイア様は配下全員にかかって来いと言いました、束になっても敵わないとも言っていました」


「おお、随分自信たっぷりだなレイア」


「随分楽しそうだなお前」


 シャロの機嫌はだんだんと良くなっていた。

 一体何故。


「正にその通りでした、レイア様は本当に一人で配下を全員倒してしまいました、しかも拳だけで、当然我々幹部も束になってかかりましたが返り討ちにされました、しかもレイア様は全く傷を負うどころか全然本気すら出していませんでした」


「はっはっはぁ!! ざまあ見ろなのだ!! レイアを蔑ろにしたからそうなるのだ!!」


 シャロはスカッとしたような感じで声を上げる。

 

「お前な、真面目な話だろ? 笑い話じゃないんだから」


「いえ、実際そうだと思いましたから、その時我々は当然の報いだと思いましたから」


「しかし、そなた一体何があったのだ? 今の強さを手に入れるのに」


「それは我々も気になりましたが、レイア様が話す気がなさそうなので」


「何でなのだ、レイア?」


「別に話してもいいが、相当長い話になるぞ?」


「ならいいのだ、もうこの話でお腹いっぱいなのだ、それから今に至るって事で良いのだろ?」


「まあ、その後も色々あったがそんな所だ」


「そうか、幹部達も今ではレイアに忠誠を誓ってるみたいで良かったのだ」


「もちろんです、レイア様、もうあのような愚かな事は致しません、配下達にもしっかり言い聞かせていますので」


「僕はお前達を信頼している、これからも頼むぞ」


「は!! お任せください!!」


 そう言って幹部達はレイアに跪くのだった。

 それを見てシャロはうんうんと頷くのだった。


「シャロ様、随分満足していますね」


「そうか? そうかもしれないのだ、ところでレイア、我は今日そなたの部屋で一緒に寝て良いか?」


「泊まる気かよお前」


 どうやらシャロとの時間はまだ続きそうだった。


 


 

読んでいただきありがとうございます。

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