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第49話 魔王シャロが来た 9 シャロは激怒する

 シャロは幹部達に問う。

 レイアの過去を聞きレイアが辛い時に何をしていたのかを。


「シャロ、どうしたんだ?」


「どうしたも、こうしたもあるか!! レイアそなた何故そんな平然としていられるのだ!!」


 シャロは激怒していた。


「例え魔王の子に何の才能がなかったとしても、魔王としての後継者として相応しくなかったとしても、配下なら気遣うものだろ!! それなのにそなた達は何もしなかったのか!!」


 幹部達は何も答えなかった。

 

「何もしなかったんだな? レイアが辛い思いをしていた事も、配下如きに陰で悪口を言われていた事も、全部知っていたんだな? だったら何故何もしなかった!! 優秀な姉のレイラの方さえいれば妹のレイアはどうでも良かったのか!! 配下如きが何様のつもりなのだあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」


 シャロは怒りに任せて魔力を放出する。

 

「シャロ様、落ち着いてください!! レイア様の城ですぞ!!」


 ガリウスが止めに入るがシャロはまるで聞く耳を持たないと言う感じだった。

 シャロの魔力を受けている幹部達は冷や汗が出まくっていた。


「ふん!!」


 レイアは手を手刀の形にしてシャロの脳天をかち割るかのように思いっきり振り落とす。


「痛いのだ!!」


 シャロは痛みで我に帰り魔力も消えていった。


「全く、何をしてるんだお前は、僕の配下達を本気で殺すような魔力を放つな、お前のとこのガリウスも巻き込んでるぞ」


「しかしレイア、この者達はそなたが辛い思いをしていたのに何もしなかったのだぞ!? 許せないのだ!!」


「シャロ、皆にも色々あるんだ、自分達が仕える魔王を守る為だけじゃなく、魔王が退位、もしくは命を落とした時、次に仕えるのは後継者となる子供だ、そういう先の事を考えれば優秀な姉貴と落ちこぼれの僕、どちらに費やせば時間の無駄にならないかわかるだろ?」


レイアは理論的な説明をする。

しかし、シャロの怒りは止まない。


「理屈とか効率とかそう言う問題じゃないのだ! 我は、ただ友達が辛い思いをしていたのに誰も助けなかったのが許せないのだ! そなたが納得しても、我は納得できないのだ!」


「シャロ」


「そなたの話を聞いて良くわからないが、モヤモヤするのだ」


シャロは自分の胸を掴んで辛そうな顔をする。


「どうして、どうして、我はその時いなかったのだ、そなたを悪く言う者を全員ぶっ飛ばしたのに」


 気づけばシャロの目からは涙が出ていた。

 シャロ自身も何故そうなっているのかは理解できていなかった。


「シャロ」


 レイアはシャロに近づく。


「すまない、お前を泣かせる気はなかったんだ、許してくれ」


「レイア」


「お前が僕のためにそこまで親身になって怒ってくれたんだな、お前のような友達を持てて僕は幸せ者だな、ありがとう」


 シャロの手を握りレイアは笑ってシャロに感謝を伝えた。


「当然なのだ、友達なんだから、それと悪かったのだ、怒りに任せて迷惑を掛けてしまったのだ」


「僕は気にしてないから大丈夫だよ」


「その通りです、謝罪は不要です」


 ここでドラギオスが言葉を発する。


「シャロ様、あなた様の言う通り、我々はレイア様が辛い思いをしていたのを知っていました、そして何もしなかったのも事実です、それに関しては何も反論はありません」


 他の幹部達も頷く。


「その時の我々は当時の魔王様、レイア様の父上に忠誠を誓った配下であったため、その方の為に働く事しか頭にありませんでした、魔王様も王妃様も忙しくレイア様達に構っている時間が無かったのもレイア様が辛い思いをした原因の一つなのかもしれません、ですがお二方ともレイア様、レイラ様を愛していたのは確かです」


「わかっているよ、二人が僕を愛していたのは確かだって事を」


 レイアはドラギオスの言葉を肯定する。


「レイア様がレイラ様に劣っていたのは確かです、ですが個人差があるのは当然の事、必ずしも遺伝が受け継がれるとは限りません、レイラ様は遺伝を受け継ぎレイア様は遺伝を受け継がれる事はなかった、ただそれだけの事だと思っていました、レイア様が何をやっても見込みがない事を知った時、我々も含めた配下はレイア様を見限りレイラ様を後継者に相応しいものにするため、レイラ様に時間を費やす事にしたのです」


 魔王は必ずしもずっといるとは限らない。

 何かの原因で命を落としたりする事も考えられる。

 そういう先の事を考えた結果見込みのあるレイラに時間を費やし後継者に相応しい教育をしようと考えたのである。


「さらにレイア様は学校をやめてしまいましたので、もうレイア様には構う必要はないと判断しレイア様が辛いとわかっていても時間の無駄と判断しレイラ様に費やす事にしました、ですが今思えばそれは間違った判断だったとわかります」


 ドラギオスはその時の事を後悔するかのような顔をしていた。


「さらに、レイア様が家を出た時も我々は特に何もしませんでした、構ってほしいからそんな行動をとったのだと、どうせすぐに帰って来るだろうと思っていました、ですがそれ以来レイア様は帰って来ませんでした、すぐに魔王様の命により配下達総出で探しました、そんなに遠くには行っていないすぐに見つかるだろうと思っていましたが、どこを探しても見つからず、レイア様の履いていた靴が片方だけ見つかりました、それを見て理解しました、レイア様は死んだのだと」


 ドラギオスはここで間を置き再び話し出す。


「レイア様は魔物に襲われたのだと思いました、そしてレイア様の実力でどうにかなるとは思いませんでした、我々はレイア様を探しました、ですがどこにもおらず、遺体すら見つからず、見つかったのは片方の靴だけでした、ですのでレイア様は死んだと思い捜索をやめてそのまま城へと戻りました」


 ですがと続け。


「この事がきっかけになったのかはわかりませんが、我が軍は大変な状況になってしまったのです」


 ドラギオスはさらに話を続けるのだった。


 



 





読んでいただきありがとうございます。

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