第48話 魔王シャロが来た 8 レイアの過去
「途中でやめたってどう言う事なのだ?」
レイアが自分と同じ学校に通っていた事を知ったシャロ。
ところがレイアはその学校を自分からやめた事を疑問に思っていた。
「そうか、レイアそなたは強すぎるからな、きっと学校に行っても何も得るものが無いと悟ったからやめたのだな?」
「そんなわけないだろ」
「じゃあ何故なのだ?」
「そうだな、シャロ、お前は信じられないかも知れないが、僕は昔何の才能もなかった落ちこぼれだったんだ」
レイアの言葉にシャロは信じられないと言いたげな顔をしていた。
また、幹部達は苦い顔をしていた。
「僕の父は剣技などの武術に優れていて母は魔法に優れた魔族だった僕と姉貴はそんな凄い二人の間で生まれた双子の姉妹だったんだ」
レイアはその時の事を話す。
「姉貴の方は武術も魔法もその才能をちゃんと受け継いでいて当時父の配下だった者達からも期待されていた、だが僕の方はその才能を受け継いでなかったんだ、武術も全くできず魔法は適性が無いと言われた、おまけに姉貴と比べて僕は魔力量も少なかった」
レイアの話に誰も何も言えない雰囲気が出ていた。
そんな中でもレイアは話し続ける。
「そんな僕はいつも姉貴と比べられていた、何故同じ魔王の子なのにこうも違うのかと、姉貴はできて僕は何故できないのかと言われまくったよ、もっと姉の様にしっかりしろとか努力が足りないから上手くいかないんだとか色々言われたな」
レイアはその時を懐かしむように話す。
周りは何も言わずに聞いている。
「学校でも姉貴は優秀だった、学園でも期待されていた、でも僕は何もできない落ちこぼれだった、そんな僕は当然学校でいじめられたさ、魔王の娘だからって調子に乗るな、落ちこぼれのクズのくせにって言われたりもしたよ、教師達からも僕がしっかりしないと姉貴の評判が悪くなるから他人の何倍も努力しろと言われたよ」
ここでレイアは少し間を置き再び話し出す。
「その時の僕は孤独を感じていたんだ、寂しかった、助けてと叫びたかった、でもできなかった、その勇気がなかった、城にも味方がいない、学校にも味方がいない、もうヤダ、生きたくない、死にたい、そう思ってしまった、そして僕は学校に行くのをやめたんだ、そしたら当然配下達は僕に対して陰でコソコソ僕を悪く言っていたよ、魔王の娘なのに情けないだとか魔王の顔に泥を塗った恥さらしだとか色々とね、そう言うのを偶然聞いたりして、辛かったよ」
辛い過去を話しているはずなのに不思議とレイアは嫌な気分と言うよりも、そんな事もあったなと言う懐かしい気分を感じている事に自分でも内心驚いていた。
「そしてとうとう僕はこの城を出て行ったのさ、家出と言うより死にたくて家を出たんだ、そう、僕は逃げたんだ、城からも、学校からも、そして、生きる事からも、でも城で自殺をする事ができなかった、そうすれば、僕の父が他の魔王からの評判が悪くなると思ったから、でも外で死ねば不運な事故にあったと言う事にできるし、同情を買う事ができると思ったから、そうすれば僕でもせめて死ねば役に立てると思ったんだ」
そしてレイアは苦笑いしながら。
「ま、それでも今こうして生きている事から僕は死ぬのも怖くなって結局何をやるにしても中途半端だったって事さ」
最後にレイアはそう言って話を終えるのだった。
「悪かったなシャロ、僕のつまらない過去を聞かせて退屈だっただろ?」
レイアはシャロに聞く。
シャロはレイアの話に何も言わず聞いていたが口を開き。
「レイア、リズはレイアとレイラが小さい時に勉強を教えていたと言っていたが他の幹部達もその時からいたのか?」
「ああ、今ここにいる幹部達は全員その当時いたが、どうした?」
「そうか、なら幹部達に聞くが、そなた達は、レイアが辛い思いをしていたのに何をしていたのだ?」
シャロの問いには怒りが含まれていた。
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