第44話 魔王シャロが来た 4 シャロの持って来たもの
本日、二話目の投稿です。
シャロの命によりガリウスが何かを持って来ていた。
それは大きな肉の塊だった。
「シャロ、何だこれは?」
レイアはシャロに問う。
「ふふーん、レイア聞いて驚くなよ? これは、エンシェントドラゴンの肉なのだ」
「エンシェントドラゴン!? まさかあの古代竜の!?」
エンシェントドラゴンの名にドラギオスは驚きの声を上げる。
「エンシェントドラゴンと言えば長い時を生きている竜ですな、しかしその姿を見たものは滅多にいないと言われている幻のドラゴン」
「そんなドラゴンの肉をよく見つけたな、滅多に現れないんだろ?」
「確かにそこのスライムが言ったように滅多に現れないが、偶然我の城の上を飛んでいたのだ、凄いなぁと思って見ていたらそのドラゴンが我に気づいて機嫌が悪かったのか、いきなり火を噴いてきたのだ」
そこまで聞いてレイア達はエンシェントドラゴンが気の毒だなと思った。
「我も腹が立ったのでそいつの頭上までジャンプして頭をぶっ叩いてやったのだ、で落ちたところをさらに何度もぶっ叩いてやりまくったらいつの間にか死んでいたのだ、全くあの程度でくたばるとは、幻のドラゴンが聞いて呆れたのだ」
「・・・・・・で、それでどうしたんだ?」
ツッコミどころが多いが聞くだけ野暮だと感じたレイアはシャロに続きを促す。
「当然、幻のドラゴンだからな、鱗も牙も骨も羽も肉も素材は全部剥いで肉は我が食ったのだ、とても旨かったのだ」
「まあ、エンシェントドラゴンは肉もかなり旨いって聞くからな」
「そうなのだ、我の配下達全員に食べさせても余ったから持って来たのだ」
「それが来た理由か」
「レイアもこれを食えば人間界の食事より旨いと考え直すのだ、ほらお前達幹部も食べると良いのだ」
「我々もよろしいのですか?」
「もちろんなのだ、竜族の男よ、そなた食っても問題ないのだろう? ガリウスも食べていたし」
「はい、それについては問題ありません」
竜族であるドラギオスやガリウスがドラゴンを食べるのはどうかと言うのもあるがドラギオス達は魔族、ドラゴンは魔物であるため全くの別物と考えると良い。
人間で例えるなら、魔族は人間、魔物は動物のようなものなのでドラギオスがドラゴンを食べても共食いにはならないと言うのが魔族達の概念である。
「それなら、ガリウス早速焼くのだ」
「はい」
そう言ってガリウスはエンシェントドラゴンの肉を焼き始める。
焼き終わり、ステーキのようになった肉を皿に乗せレイア達の前に置かれる。
「さあ、レイア食べてみるのだ」
「わかった、いただきます」
レイアはフォークで肉を刺しナイフを入れ一口サイズに切り食べる。
幹部達も肉を食べていく。
「ほお、これは」
「旨い」
「普通の肉とは全然違いますな」
「とても美味しいです」
「さすが、幻のドラゴンの肉だけあるな」
幹部達は絶賛する。
「うんうん、そうだろそうだろ、どうだレイア? 人間界よりこっちの方が良いだろ?」
レイアは最後の一切れを食べ終える。
「確かに旨いけど、なあリズ」
「そうですね、人間界の高い牛肉や豚肉と同じくらいでしょうか?」
「いや、人間界の牛や豚の肉の方が旨かったな」
レイアとリズはエンシェントドラゴンの肉より人間界の牛肉と豚肉の方が旨いと言う。
「な、何だと!? そんな馬鹿な!? エンシェントドラゴンの肉が牛や豚の肉より劣ってるだと!?」
シャロはレイアの反応が信じられないと言う感じだった。
「シャロ、お前が馬鹿にしている人間界の人間の食事が大した事ないと思ってるんだよな?」
「当然なのだ」
「なら、その考えを変えさせてやるよ、リズ」
「はい」
「一度部屋に戻ってアレを持って来てくれないか」
「承知しました」
そう言ってリズは転移の魔法で人間界で住んでいるマンションに戻っていく。
「何をしているのだ?」
「ああ、そうだなシャロ」
レイアは笑みを浮かべる、そして。
「幻のドラゴンの肉を食わせてもらったお礼だ、人間界の食べ物を食わせてやるよ」
そうシャロに言うのだった。
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