第41話 魔王シャロが来た
転移の魔法で帰ってきたレイア達は、早急に城に向かっていく。
「レイア様、その姿のままで行くのですか?」
「ああ、いちいち戻るのも面倒だからな」
リズは、元の世界での姿に戻っていたがレイアは、人間界で暮らしている幼い姿のまま帰ってきていた。
「そうですか、まあ、良いですが」
そう言ってレイア達は、城の前に着いていた。
「あ、レイア様、お母様!!」
門の前で待っていたリゼが駆け寄って来る。
「おかえりなさいませ、レイア様、そして申し訳ありません我々が不甲斐ないばかりにレイア様のお手を煩わせてしまったことをお許しください」
「気にするな、相手がシャロなら仕方ない」
頭を下げるリゼにレイアは、気にしていない事を伝える。
「それで、あいつは、今どうしてる?」
「はい、レイア様に言われた通り大量のお菓子を用意して今は、レイア様が来ると知ったのでおとなしく待ってくれては、いますがそろそろ限界の所ですね」
「そうか、なら急ぐか・・・ん? 誰か来るぞ」
「あ、あれは」
レイア達に向かって走ってくる者がいる。
そして。
「リズゥゥー!!!」
そう言ってリズに抱き着いてきた。
「ちょっ!? ゼナ!?」
「リズ!! 会いたかったよリズー!!」
リズに抱き着いてきたのは、レイア軍幹部、ウィッチ族の女性でリズの嫁でリゼの母であるゼナ、主に戦場で最前線に立ち彼女が出ただけで敵は、殲滅させられる事から、敵からは、《殲滅の魔女》と恐れられている。
殲滅と言われてもゼナは、相手が死なない程度に手加減しているのだが相手側からすると殲滅させられているように見えてしまうのである。
「ゼナ、いい加減離れてください」
「そんなあ、リズ、私は、早く任務を終わらせて帰ったのに君がいないと知ってすごく寂しかった、だから抱き着いても良いだろ?」
「それは、何も言わずいなくなったのは、悪かったですけど」
「それとも、私が嫌いになったか?」
「そ、そんなことないですよ、私だってあなたと会えないのは、すごく寂しかったですよ」
「リズ」
「ゼナ」
そうして二人の顔は、だんだん近づいていき。
「お母様、ゼナお母様、レイア様の前ですよ?」
リゼの言葉で我に返った二人は、顔を赤くして離れる。
「レイア様、申し訳ありません幹部ゼナただいま任務を終え戻って来ました」
そう言ってゼナは、レイアに跪く。
「ああ、ご苦労だったなゼナ、それから、すまないなリズを勝手に連れて行ってしまって」
「いえ、事情は、リゼから聞いていますので大丈夫です、聞いた時は、驚きました、レイラ様が人間界で子供を産んでおられたとは」
「ああ、僕は、その子を守るためにここを百年ほど留守にすることになるが」
「お任せください、レイア様は、マリア様を守るために人間界に行ってください」
「ああ、ありがとうゼナ」
「ですが、さっそくレイア様に戻っていただく事になってしまいました」
「だから、気にするなリゼ、それより早くシャロの所に連れて行ってくれ、あいつもそろそろ痺れを切らしてまた暴れだしそうだからな」
「は、はい、こちらです」
そうしてレイア達は、シャロを待たせている部屋に向かう。
「それにしても随分暴れたな」
所々、破壊された壁を見ながらレイアは、言う。
「はい、シャロ様が随分と暴れましたので」
「ソウガや負傷した者達は?」
「はい、ソウガ君は、私が回復魔法でどうにか傷をふさぎましたので大丈夫です、他の者達もドラギオスさんとライムさんが治療部隊に支持を出して手当をしましたので負傷者は、全員回復しました」
「そうか、ご苦労だったな、後で様子を見に行きたいから負傷した者達を教えてくれ」
「承知しました」
進んでいくとシャロが待っている部屋に着く。
すると扉の前には、ソウガが立っていた。
「ソウガ君!? だめよ!! まだおとなしくしていないと!!」
リゼが駆け寄り心配しながら言う。
「大丈夫だリゼ、お前が一日看病してくれたからもう平気だ」
「でも」
「レイア様が戻られたのなら寝ている場合じゃない」
そう言ってソウガは、レイアに近づき跪く。
「おかえりなさいませ、レイア様、そしてシャロ様を抑えることができずレイア様のお手を煩わせてしまい申し訳ありません、未熟故、数時間抑えるのが限界でした」
ソウガは、レイアに謝罪する。
「重傷だと聞いたが大丈夫か?」
「はい、まだ完全には、癒えていませんが問題ありません」
「そうか、なら良かった、あいつ相手に数時間抑えられただけでも上出来だ、良くやった、さすが我が軍の幹部の一人だ」
「勿体なき言葉、感謝します」
「リゼ、ドラギオスとライムは、中にいるのか?」
「はい、今、お二人が相手をしています」
「そうか、なら入るか、お前たちも一緒に来い」
「「「「は!!」」」」
そしてレイアは、扉を開け中に入るのだった。
「遅いぞレイア!! 一体いつまで我を待たせるのだ!!」
部屋に入ると女の叫び声が聞こえる。
そう彼女こそ魔王シャロなのであった。
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