第439話 攻防 2
「なん、だと、そんなバカな」
真央はミーシャが起き上がった事に驚いている。
確実に当て身をくらわせて気絶させたはずなのにミーシャは起き上がったのだ。
(まさか、当て身をくらう直前に反射神経で当てる場所をずらしたのか)
真央の言う通り、ミーシャは当て身をくらう直前に驚異の反射神経で気絶する場所をずらした事で気絶を免れたのであった。
「これは、骨が折れそうだな」
真央は再び構えなおしてミーシャを迎え撃つのだった。
「くう、あれからどれくらい経った? もう五分経ってないか?」
「時計がないからわかりませんね、けど大砲が発射しないところを見るとまだ五分経ってないって事ですね」
「でもさ、押す力結構強くなってない?」
里奈の言う通り扉を開けようとしている力が強くなってきている。
「塵も積もれば山となるって事かな、カギがかかっていても何百人と来ればさすがに持たないと思うし」
「屋上の扉を壊す気かよ、保健室に入らなかったり研究施設の指紋認証をしたりとまだそう言った本能みたいなものが残ってたのにな」
「もしかしたら、感染した時間が長かったせいでそういうものもなくなってしまったのではないでしょうか」
「長く感染しすぎたってか、冗談じゃねえな全く、とにかく死ぬ気で守るしかねえって事かよ、畜生!!」
若干キレ気味になりながらも沙月はバリケードを抑えて扉が開かないように抑えて他の皆も全力で抑えるのだった。
「ふう」
真央はミーシャの動きを受け流している。
(やれやれだな、大砲を守りながらミーシャを傷つけずに手加減するのは結構骨が折れるものだな)
ミーシャを傷つける気がない真央は手を出さずに気絶させようとしていたがそれもできないとなると打つ手がなくかと言って大砲を発射させるためにミーシャに邪魔させるわけにはいかないので真央は攻撃できないというハンデを抱えてミーシャの攻撃を受け流して大砲の発射時間まで時間稼ぎをするのだった。
ドンッ!! ドンッ!! ドンッ!!
「ぐおー!! 叩く音が強くなってきたー!!」
「これ、完全にもう少しで扉が破られて入って来るって感じですよね」
「まだ発射しないのー!? 朱莉ちゃん、盾になる準備してー!!」
「ふざけるな!! お前を盾にしてやるよ!!」
「皆!! もう少し頑張るんだ!!」
『発射まで残り一分です、危ないので離れてください』
沙月達が扉を抑えていると大砲の発射が残り一分を告げる。
「おい、聞こえたか!?」
「ええ、聞こえましたよ!! 確かに残り一分だと!!」
「皆!! もう少しだ!! もう少しで発射だ!!」
「でも、扉を押す力がどんどん強くなってるよ!! あと一分も持たないよー!!」
「泣き言言ってる場合じゃねえ!! Rだって頑張ってるんだ、私達も死ぬ気で止めるんだ!!」
沙月達は死ぬ気で止めようとするが扉を叩く音は強くなっていき本当にもうすぐで破られそうであった。
(皆も限界か、かと言って僕も今行ける状態じゃない)
真央はミーシャを傷つける事ができないので代わりに身体を押さえつけて動けないようにさせているので沙月達のフォローに行けないのであった。
『発射まで、残り三十秒です』
「うおー、残り三十秒か!!」
「でも、扉が破られそうですー!!」
残り三十秒だが扉はもう破られる寸前であった。
『発射まで、残り十五秒です』
「まだ十五秒もあるのか!! 長いわー!!」
「ううー!! もう限界だよー!!」
「あと少しだ!! 頑張れ!!」
『発射まで残り五秒、五、四』
バアンッ!!
残り五秒というところで扉が破られ感染した子達が大量に中に入って来てバリケードをどかしていく。
「くそー!! ここまでかー!!」
「行列に押しつぶされるのってこんな感じなんですねー!!」
『三、二』
「朱莉ちゃんを盾にする暇もなかったよー!!」
「こっちのセリフだー!!」
「数の暴力には、勝てないか」
押し寄せてくる感染した子達に沙月達はなすすべもなく大群に飲み込まれていく。
「ま、マズいな」
『一、発射します』
大群は真央に迫るところで大砲の発射時間が来て特効薬が打ち上げられる。
大きな音と共に特効薬は空へと打ち上げられ霧となって学園全体を覆うのだった。
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