第435話 屋上へ
特効薬が完成したが感染した子達が研究所にまで入って来たので真央達は特効薬を持ってその場から脱出する。
何人か犠牲が出てしまったがそれでも真央達は何とかエレベーターの前までたどり着くのだった。
「よし、感染した子達は周りにはいないな」
「とうとうエレベーター前まで来れたな」
息を切らしながら沙月が言う。
「後はこのエレベータに乗って最上階まで行けば問題解決ですね」
「いよいよだね、真央姉さん、早く乗ろう」
「ああ」
そう言って真央はエレベーターのボタンを押すとエレベーターが降りてくるので正常に作動しているようでひとまず全員が安堵する。
「どうやら上の階に止まっていたようですね、少し時間が掛かりそうですね」
「早く来てー」
「普段はそんなに長く感じないのに、感染した子達が出て来るかって言う緊張感から長く感じるな」
沙月の言う通り極度の緊張感のせいか短い時間もとてつもなく長く感じていてそれが余計に精神に来るのであった。
「なあ、R」
「どうした?」
朱莉が真央に話し掛ける。
「おかしいと思わないか? この学園のエレベーターって余程の事がない限り使う人なんていないはずだろ、なのに何で上の階に止まってたんだ?」
「言われてみれば」
朱莉の言う通りこの学園にはエレベーターがあるが使う人はそんなにいないのである。
それなのに上の階に止まっていたと言う事は誰かが使ったと言う事になる。
「なあ、凄く嫌な予感がするんだが」
「奇遇だな、僕もあかりんごに言われてそんな気がしてきた」
「ゾンビ映画作品で大体こういう状況って言ったら」
「マズいな、皆!! エレベーターの入り口前から離れろ!!」
真央が言うとエレベーターが到着して扉が開かれる。
すると開いたエレベーターからたくさんの手が出て来る。
「え? きゃあ!!」
たくさんの手が花音を掴む。
当然その手を掴んだのは感染した子達だった。
そう、彼女達はエレベーターの中に入っていたのだった。
上の階に止まっていたのは彼女達が乗り込んでいたからであった。
「花音!!」
「た、助け」
「ダメだ、橘さん!!」
「でも、花音が!!」
「アンタまで感染されるぞ!! 花音はもうダメだ!!」
実里は助けに行こうとするがもう手遅れだと思った理子と沙月が実里を止める。
花音はそのまま感染した子達の中へと沈んでいくのだった。
エレベーターに乗っていた感染していた子達はそのままなだれ込んでいく。
「エレベーターの中にいた子達は全員出て来たな」
「けどR、エレベーターが空になった代わりに目の前に感染した子達がいて通れなくなってるぞ」
「エレベーターが目の前にあるのに、これじゃ通れないよ、こうなったら朱莉ちゃんを盾にして強行突破する以外に方法はないよ」
「おい、何で私が盾にならないといけないんだ!!」
里奈の発案に朱莉は異議を唱える。
「盾か、しょうがない、皆よく聞いてくれ」
和久井先生が真央達に言う。
「大人である私達が不甲斐なくて申し訳ないが、後は頼む」
そう言って和久井先生は感染した子達に向かって行き感染した子達を受け止める盾となり真央達が通れる道を作る。
「和久井先生!!」
「今のうちに早く!! 私の意識が正常であるうちに、行けー!!」
「皆行くぞ!! 和久井先生の意思を無駄にするな!!」
真央が言うと全員が和久井先生が開けた道を通りエレベーターに乗り込む。
「全員乗ったか?」
「うわわ、待ってー!!」
最後に彩音が乗り込もうとする。
「あや姉ー!!」
「え? 雪音?」
突如彩音の妹の雪音が抱き着いてくる。
「雪音、何でここに?」
「えへへー」
「・・・・・・真央」
「ああ、行こう」
沙月の言葉で真央は彩音を残してエレベーターを閉める。
何故なら彼女達は見たからだ。
雪音の目が生気のない目をしているのを。
「うわー!! 雪音感染してたー!!」
エレベーターが閉まると同時に彩音の叫び声が聞こえたがエレベーターは無情にも動き真央達は屋上へと向かうのだった。
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エレベーターに乗り屋上へ。
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