第433話 完成した特効薬
「できたのか?」
沙月が梓美に問う。
「ああ、できたぞ、真央君から採取した細胞からなんやかんややって完成した特効薬がな」
言って梓美はできた特効薬を見せる。
「なんやかんやってどう言う事なんだって言いたいけど、これで大丈夫って事だな」
「その前に試さないといけない事がある」
和久井先生はできた特効薬と思われる物とは別の薬を出す。
「これはこの異常事態を起こした元凶の薬だ、この薬に完成した特効薬をつけて効果が消えれば完璧に完成した事になる」
和久井先生は元凶のを一滴スライドグラスにつけて顕微鏡にセットして見る。
「これは、凄いな」
顕微鏡で元凶の薬を見た和久井先生は何とも言えない表情で言う。
「え? どんな感じなんですか?」
「見た方が早いだろうな」
和久井先生に言われて梓美は顕微鏡を覗く。
「うわぁ」
顕微鏡を見た梓美も何とも言えない顔をする。
「おい、どうしたんだよ?」
二人の事が気になった沙月が問う。
「見た方が早い」
「和久井先生も同じ事言ってたな」
沙月は顕微鏡を覗く。
「え? 何これ?」
「一応その元凶の中に入っている薬の成分で、そいつが生気のない目をした子達を生み出しているって事になるな」
「何だろう、そう言われると妙に納得してしまうんだけど」
「納得するって何を見たんですか?」
「見た方が早い」
沙月に言われて唯も顕微鏡を覗く。
「あー、確かにこれは惚れ薬っぽいものって言われたら納得しそうな気がしますね」
「唯ちゃん、何を見たの?」
「見た方が早いですよ、絶対惚れ薬っぽいものって言ったら納得しますから」
「どれどれ」
唯に言われて彩音も顕微鏡を覗く。
「あ、確かに、惚れ薬っぽいものって言ったら納得する形してる」
「そんなに納得するのか?」
「うん、見れば早いと思うよ」
彩音に言われて真央も顕微鏡を覗く。
「なるほど、確かにそうだな、納得だ」
顕微鏡を見た真央も納得する。
他の者達も顕微鏡を覗いて全員が納得するのだった。
顕微鏡で見た元凶の薬の成分。
その成分は無数のハートの形をしているのだった。
「おそらくだが、このハートの形をした成分が体内に入っていき脳に影響を与えて周りに映る人に恋をしてしまう状態になってしまうんだろう、全く理論がわからないがな」
腕を組みながら和久井先生が言う。
「でだ、これにこの完成した薬品をつけるぞ」
和久井先生は元凶の薬に特効薬をつけて顕微鏡で覗く。
「おお、これは凄いな」
他の人も顕微鏡を覗くと無数のハートの形の成分が綺麗さっぱりなくなっているのだった。
「どうやら特効薬は完成したようだな」
和久井先生が言うと全員が安堵するのだった。
これでこの異常事態も解決できて元の平和な学園生活を取り戻せるだろう。
「それで、これをどうするのですか?」
「それなら、これを使えばいいぞ」
沙月の問いに梓美は両手で持てる大砲の筒のような形をしたものを出す。
「これに特効薬を入れて空に向かって打ち上げると薬が霧状になってこの地下も含んで学園全体に行きわたる大きさになるだろう、その霧を吸えば感染した子達も元に戻るってわけさ、打ち上げ花火みたいなものを作りたいなと思って作ったが霧の量があまりにも多いから失敗作となったんだが、まさか役に立つ時が来るとは思わなかった」
「何か凄そうだが、打ち上げると言ってもここじゃ無理だろ?」
「確かに、地下ですもんね」
沙月と唯の言う事に全員も頷く。
「なら、屋上に行くしかないな、確かこの学園ってエレベーターがあったし、それで屋上まで行けるんじゃないのか?」
そう真央が提案するのだった。
読んでいただきありがとうございます。
特効薬が完成しました。
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