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第40話 魔王は一時帰還する

 リゼからの通話で魔王シャロが来た事にレイアは溜息を吐いていた。


「全くあいつは、いつもいつも」


『レイア様?』


「ああ、すまない、シャロは暴れだしたと言ったよな? 被害状況は?」


『はい、幸い死者はいませんが負傷者が多数で・・・・・・ソウガ君が重傷を』


 リゼは今にも泣きそうになっていた。


「そうか、今城内にいる中で一番強いのはソウガだからな」


「ですが、ソウガとシャロ様では実力差がありすぎます」


『はい、せめてシエラ様あたりがいてくだされば良かったのですが』


「あいつは今実家に帰ってるからな、他にも当てはいるが任務に行っているしな」


 レイアは少し間を置き。


「わかった、ただ今すぐ戻る事はできないから明日の夕方辺りになるな、それまであいつは甘い物とかが好きだからお菓子とかを大量に与えておとなしくさせて置け」


『はい、承知しました』


「それから、リゼ、お前回復魔法使えたよな?」


『はい』


「なら、重症を負ったソウガに付きっきりで回復魔法を掛けて看病をしてやれ、他の負傷者はドラギオスとライムに任せて置けば良い」


『承知しました』


「リゼ、男は弱っている時が一番のチャンスですよ」


『お母様!? 何を言ってるんですか!?』 


 リズの言葉にリゼは慌てる。

 それを聞いたリズは笑っていて、レイアはやれやれと言った感じになっていた。


『もう、あ、そうだお母様、ゼナお母様が任務から帰って来ましたよ』


「え? ゼナが?」


『はい、帰って来てお母様がいないと知ってひどく寂しがってましたので、早く帰って会ってあげてください、ただ帰った時には凄い事になると思いますけど』


「・・・わかったわ」


 リゼからゼナが帰ってきた事を聞きリズは先の事に不満を抱えていた。


「まあ、そういう事だリゼ、すまないが明日の夕方ぐらいまで何とか持ちこたえてくれ」


『承知しました、では失礼しますレイア様』


 そう言ってリゼは通話の魔法を解く。


「・・・・・・明日は色々忙しくなりそうだな」


「ええ、私も忙しくなりそうです」


 そう言いながら今日は夕飯を食べ二人はすぐ寝るのであった。

 

 次の日になり、学校に行き授業を受け放課後になる。


「すまないが、今日は早く帰らないといけないから先に帰るよ」


「何か急ぎの用事?」


「まあ、そんなところだ」


「そうか、じゃあ明日真央の家に行くから」


「ああ、待ってるよ」


「それじゃあね、真央ちゃん」


「真央姉さん、明日はいっぱい遊ぼうね」


「明日を楽しみにしていてくださいね」


「ああ、楽しみにしてるよ」


 そう言って真央は手を振って帰るのであった。


「リズ、すぐに行く、転移の準備だ」


「え? この学園の中でするのですか? いくら認識阻害の魔法を使うとしてもせめて人気のない所の方がよろしいかと」


「じゃあ、あそこに行くぞ」



~side 理事長室~


「と言うわけで、フィオナここで転移の魔法を使わせてもらうぞ」


「いや、どう言うわけなのか説明してください」


 レイアは三上理事長こと魔王エリスの元配下ハーフエルフのフィオナに事情を説明する。


「魔王シャロ様が来られたのですか?」


「ああ、そうだ」


「何だか随分ピリピリしていませんか?」


「そうかもな、あいつはいつもそうなんだ事前に何の連絡もなくやって来るから僕が大事な仕事をしている時も、疲れたから少し休憩したい時も、いつもあいつは何の連絡もなく勝手にやって来る、別に来るのは良いんだ、だが連絡もなしに来るからこっちだって対応に困るんだ、事前に来る事を伝えてくれればこっちだってあいつの好きな甘いお菓子とか色々準備とかもできるのに、前から来る度に事前に連絡しろって言ってるのにあいつは」


「何だか、凄く苦労なされたのですね」


「はい、レイア様にとって一番大変なのはシャロ様の相手をする事なのではないかと思っているんですよ」


「エリス様もシャロ様が来た時にはどこか疲れたような感じがしていましたね」


「そうなのですか理事長?」


「ええ、普段の仕事終わりの時よりも疲れていた感じでした」


「それは、何と言いますか」


「そういう事だ、フィオナ一刻も早く行かなければならいないからここで転移を使わせてもらうが良いか?」


 レイアはフィオナに問う。


「ええ、そういう事でしたら」


「よし、リズ」


「はい」


 リズは転移の魔法を使いゲートを出現させる。

 一応念のため認識阻害の魔法も発動している。


「本当に別世界を繋ぐ魔法を作るとはさすが大賢者と呼ばれているだけありますね」


「一緒に来るか? エリスに会いに行く事ができるぞ」


「いいえ、今の私はこの学園の理事長ですからここを離れるわけにはいきません」


 そう言ってフィオナはレイアの誘いを断る。


「そうか、ならリズ行くぞ」


「はい、では理事長、失礼します」


 レイアとリズはゲートの中に入って行き、やがてゲートは小さくなり消えていった。

 静かになった理事長室でフィオナは椅子に座り上を向きながら。


「・・・・・・一番上の立場になってわかりましたがエリス様もレイア様も大変な仕事をしていたのですね」


 そんな事を独り言のように言うのだった。



~side 元の世界~


「まさか、こんなに早く戻って来るとは思わなかったな」


「そうですね、私も思っていませんでした」


「よし、行くぞリズ」


「はい」


 レイアとリズは早急に城へと足を進めるのだった。


 




読んでいただきありがとうございます。

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