第431話 地下研究所
梓美に案内されてついて行く真央達。
辺りにはいかにも何かの研究をしているって感じのようなものがそこら中に並んでいた。
「アニメとかで見るような怪しい研究施設って感じだな」
「うわー!! さっちゃん見て見て!!」
「どうした彩音!?」
彩音が突然大声を上げたので沙月や他の子達も彩音を見る。
「ほら、この培養液」
彩音が指を差すとそこには培養液に未知なる生物が浸かっていた。
しかも一つだけでなく複数ある培養液全てに現代には存在しない生物が浸かっているのだった。
「な、何だこれは!?」
「おおー!! 未知なる生物を作る研究でもしているのですか!?」
沙月は驚いているが唯は興奮しているのだった。
「すまない、それはただの作り物だ、それっぽい雰囲気を出すために作ってみたんだ」
「作り物かよ!! 脅かしやがって!!」
「残念です」
沙月は若干キレ気味に言うが唯は残念そうな顔をするのだった。
「しかし、学園の地下に研究施設って、何かのゲームの舞台になれそうだな、案外初代理事長も遊び感覚な部分があって作ったりしてな」
「そう言えば、初代理事長は真面目な事にも遊びを加えたいと言う人だったって学園の記録表みたいなものに書いてあったわね」
「え?」
冗談のつもりで言ったのに佐藤先生の言葉で当たっていた事に沙月は驚くのだった。
およそ学園にあるとは思えない研究施設を見ているうちに進んで行くと梓美がある部屋の前で止まる。
「この部屋が例のあの薬を作った部屋だ、ここで特効薬を作る」
そう言って梓美は部屋の扉を開けると中には学園で理科を担当している和久井先生の姿があった。
「やあ、南条君、無事だったようだね」
「でも和久井先生、被害は既に」
「わかっている、監視カメラで見てたからな、まさか脱走したチュータからの感染が短時間でこれほど広がるとはな、恐ろしいものだ」
「先生、チュータは?」
「安心してくれ、チュータはもう捕まえてある」
和久井先生が指差すと飼育カゴがあり、その中にネズミが一匹入っていた。
「おお、チュータ、無事で良かった」
「チュー!!」
梓美の言葉にチュータは鳴いて答えるとチュータの首についてある動物の言葉を翻訳する機械が反応する。
『申し訳ありません、私とした事がまさかこのような事態になってしまうとは、このチュータ、一生の不覚!! この失態どう償えば』
「何か、凄い性格のネズミだな」
「うん、忠誠心が高いって感じのネズミさんだね」
「チュー、チュチュー!! チュチュチュチュー」
『これは、我が主の友人方!! 自己紹介が遅れました、私は主の忠実な実験ネズミ、チュータと申します、以後お見知りおきを』
「あ、これはどうもご丁寧に」
「凄く礼儀正しいネズミさんですね」
「そうだよぉ、チュータは普通のネズミと違ってとてもかしこいんだよぉ、私の嫁の飼っているネズミだからねぇ」
「チュチュー」
『主の婿殿にお褒めいただき光栄です』
「誰が嫁だ!! それとチュータもこいつに悪ノリするな」
亜子とチュータに梓美はツッコみを入れた後に気を取り直して本題に入るのだった。
「和久井先生、この状況をどうにかできる方法が見つかったかもしれません」
「そうなのか? その方法とは何だ?」
「今説明します」
梓美は和久井先生にこの状況をどうにかできる方法を説明するのだった。
読んでいただきありがとうございます。
地下研究所と言えば培養液がありその中に何かの生物が浸かっているイメージです。
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