第426話 決死の逃走
教室内に入って来た生気のない目をした子達から逃げるために真央達は全力で逃走していた。
「友達や周りの者も気になるが、この状況だ、周りを気遣ってたら自分がやられる、周りを気にせず自分が助かる事だけを考えろ!!」
真央は全員に指示をしながら走る。
「ひえー!! たくさんいるよー!!」
「声出す暇があるなら走れ!! 一瞬でもミスったら私達がやられるぞ!!」
「いきなりこんなにたくさん出て来るなんて、ゾンビ映画でよくあるパターンですね」
「言うてる場合か!!」
走り続ける真央達だが生気のない目をした子達が突然他の教室の入口から飛び出して来る。
「きゃー!!」
「いやー!!」
不意打ちのような状況で犠牲になっていく子達。
「逃げるはいいが、どこに逃げればいいんだ? このまま走り続けてるわけにもいかないだろ?」
沙月の問いは尤もである。
このまま逃げていてもいずれは疲労で限界を迎えてしまうのでどこか安全な場所に避難する必要がある。
「そうだな、教室はまずダメだな、生徒達がいるから生気のない目をした子達が多くいる可能性が高い、人があまり寄らない場所に行くしかない、そこならいくらか安全なはずだ」
「生徒があまり入らない場所ですか、かなり限られてますね」
「先生がいる職員室、もしくは理事長先生がいる理事長室とかか?」
「うーん、職員室は何度か行った事あるけど、理事長室は滅多に行かないから気まずい気がするね、だとしたら行くのは職員室?」
彩音が言うが沙月と唯は首を振る。
「いや、職員室はここから遠いしそこまで全力で走れるかわからない」
「そうですね、職員室に近いクラスもありますし、今頃他のクラスの生き残りの生徒達が避難していて入れないかもしれませんね」
「えー、じゃあ、どうするの?」
「体育館とかも考えたが、あそこもダメだな」
「え? 何で?」
彩音が真央に問うと真央は理由を話す。
「たくさんの生徒が避難している可能性もあるが、同時にたくさんの生気のない目をした子達も言っている可能性がある」
「確かに」
「そうなると体育館は広いですが、生気のない目をした子達もたくさん来ると逃げきれませんね」
「後は図書室とかあるが、そこも難しいな、他には」
「あ、放送室は? あそこなら放送委員の生徒とかしか行かないし」
「確かに、放送室は考えになかったな」
「では、放送室へ急ぎましょう」
すると学園の放送の音楽が流れる。
『皆さん、今学園内は大変な事態になっています!! 無事な生徒は急いで避難してください!!』
『委員長、カギは掛けたから入って来れないわ』
『でも、私達もここから出られないし、放送室に避難した生徒もたくさんいるからこれ以上は入れられないわ』
『わかった、皆さん、申し訳ありませんが放送室は満員状態でこれ以上は受け付けられません、何とか避難場所を見つけてください!!』
その言葉を最後に放送は終わるのだった。
「放送室も無理みたいだな」
「既にたくさんの生徒が避難していたみたいですね」
「じゃあ、私達はどうしたら」
「って、ちょっと待て、いつの間にか私達しかいないぞ!!」
沙月の言葉で後ろを見ると他にも一緒に脱出した子がいるのにいつの間にか真央達だけしかいなかった。
「残念だが、僕達以外は全滅したようだな」
「そ、そんな」
「!! 皆さん!! 前!!」
唯が言うと目の前には生気のない目をした子達がたくさん迫って来ていた。
「うわー!! 後ろからも来てるよ!!」
彩音の言葉で後ろを向くとこちらからも生気のない目をした子達がたくさん迫って来る。
「逃げ場がないな」
「ひえー!! 私達ここで終わりなのー!!」
「バカ、彩音、最後まで諦めるな!!」
「ですが、両側から迫って来ては逃げられませんよ」
「ここまでか」
真央達が諦めかけたその時だった。
「R!!」
真央達に大声で声を掛ける少女の姿があった。
読んでいただきありがとうございます。
危険でも動かなければならない時がある。
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