第418話 対戦した
ゲームをクリアしたレイアに先程隣でゲームをしていた少女が話し掛けて来た。
「どうした? 僕に何か用か?」
「途中から見ていたんだが、強いな」
少女がレイアに言うと周りの人達も声を出す。
「ああ、このお嬢ちゃんも確かに強い」
「俺チラッと見たけど、最初の二回は負けたのに三回目で勝ち続けてたからびっくりしたよ」
「多分だと思うけど、ゲーセンで格ゲーするの初めてじゃないのか?」
「そうか、最初の二回は操作方法を確かめてたって事か、言われてみれば色々と操作して確かめている感じだったな」
「だからって三回で全クリするなんて、相当な腕だぞ」
(全く気づかなかった、いつから見られてたんだ)
ゲームに集中していたせいで自分が見られていた事にレイアは全く気づけなかったのだった。
「なあ、私と対戦しないか?」
少女がレイアに対戦を申し込む。
「僕と対戦?」
「ああ、強いのは見ていてわかる、どうしても対戦したいと思ったんだが、ダメか?」
「いや、まだ時間もあるし、勝負なら受けるよ」
「そうか、じゃあ、早速始めようか」
レイアと少女は同じ台に座り百円を入れる。
ゲーム画面にある対戦モードを選択してお互いに得意なキャラを選択する。
「三ラウンドで二ラウンド取った方の勝ちで良いか?」
「ああ、それで良いぞ」
『FIGHT』
試合開始の声と共にお互いに攻撃を仕掛ける。
(しまった)
レイアは操作ミスをしてその一瞬の隙をつかれてキャラの体力がゼロになり最初のラウンドは少女が取る。
(一瞬の隙を逃さずについてきたか、やはり強いな、だがこのまま負ける気はない)
『ROUND2 FIGHT』
第二ラウンドが始まったと同時にレイアは猛攻を仕掛ける。
「ん」
最初のラウンドと違う動きをするレイアだが少女はその動きに対応していく。
(さすがにこのまま勝たせてはくれないか、だがこのラウンドは僕が貰う)
今度はレイアが隙をついて少女の操作するキャラの体力をゼロにして第二ラウンドはレイアが勝利し残すは最終ラウンドのみである。
「おお、いよいよ最後のラウンドか」
「凄いバトルだな、下手な奴よりよっぽど魅力があるな」
「この二人小学生だよな? 小学生でこれだけできるって大したもんだ」
二人の互角の対戦に周りで見ている人達も盛り上がっていた。
『ROUND3 FIGHT』
最終ラウンドが始まり互いに攻防が始まる。
(一瞬でも隙を見せたら終わりだな、しかし)
激しい攻防を繰り返しながらもレイアは別の事を考えていた。
(この子の戦い方、僕は知っている、どこかで見た事がある、それも何度も)
見ている時は気づかなかったがこうして戦う事でレイアはこの少女の戦い方に既視感を覚えていた。
彼女とは初対面のはずなのに、それでもレイアは彼女と対戦していると彼女とはどこかで会っている気がしてならないのだった。
(考えても仕方ない、終わったら聞いてみるか)
考えていると集中が乱れると判断したレイアは一旦その考えをやめ、対戦に集中するのだった。
(よし、ここだ)
激しい攻防を繰り返していたが少女に一瞬の隙が生まれ、そこを逃さずにレイアは攻撃を入れ、さらに連続でコンボ攻撃を入れるのだった。
(これで終わりだな)
レイアが必殺技を放ち相手キャラの体力がゼロになりレイアが勝利をするのだった。
『おおー!!』
周りにいた人達も二人の対戦に声を上げる。
「いやー、凄かった」
「ああ、どっちが勝ってもおかしくない、紙一重の差だったな」
「一瞬の隙で左右する戦いだったよな」
周りが盛り上がっている中、対戦相手の少女はレイアを見つめていた。
しかし、その顔は負けたから悔しいとかそういう顔ではなく、何か確信を持っている顔であった。
「どうした?」
「途中から見ていて、まさかと思って戦ってみたけど、やっぱりそうだ」
「うん?」
「お前、Rだろ?」
少女にそう呼ばれたレイアは目を見開くのだった。
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少女の正体とは?
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